見逃せなくなった朝ドラ「カーネーション」

いまひとつ、見るのを楽しみにできなかった「カーネーション」でしたが、主人公の糸子が愛する男性として綾野剛クンが出演してからというもの、毎朝楽しみになりました。

綾野剛くんといえば、NHKで話題になった「セカンドバージン」で鈴木京香のダメダメ息子を演じていましたし、さらに2年前の「Mother」、あの芦田真菜ちゃんに泣かされたドラマで、真菜ちゃんを虐待する母親に尾野真千子さん、そのダメダメ愛人役が綾野剛くんでした。

そんなダメダメ役とは大きくイメージを変え、素敵なテーラーとして出演、いきなり注目を集めました。
でも残念ながら、あっという間に糸子の子どもが大きくなり、綾野クンの出演もなくなりました。

しかし!ここからさらに見逃せなくなってしまいました。

というのも、私が高校時代から働きたくてたまらなかった出版社が「文化出版局」。
そう、長女と次女が東京でファッションを勉強したいと入学したのが、文化服装学院。
文化出版局が出版している「装苑」はこの文化服装学院が母体となっています。

大学4年の就職時期に、私はこの文化出版局を受験に行きました。
ま、落ちたんですけど。
高校時代から「装苑」が好きで好きで、今週、役名・直子が受賞したのがこの「装苑賞」です。

コシノジュンコさんは文化服装学院に入り、2年の基礎コースを1年で終え、飛び級で小池千枝の担当するデザイン科へ進んだとか。
同級の9期生には、ケンゾーの高田賢三、ニコルの松田光弘、ピンクハウスの金子功ら、後のファッション界をリードする人材が揃っており、「花の9期生」と呼ばれていました。
ドラマに出てくる3人の男性たちです。

あの4人そろった写真も有名な写真です。コシノジュンコはデザイン科在学中の1960年(昭和35年)、この装苑賞を最年少の19歳で受賞。
ケンゾーも同時に受賞しています。
そして、番組では原口先生という男性になっていますが、モデルは小池千枝さんでしょう。

日本人に合う立体裁断用の人台(ボディー、トルソー)を開発し、また1957年から文化服装学院として男子学生の入学を開始するなど、日本のファッション界を世界的レベルに押し上げた人です。
その実績から日本ファッション界の"ゴッドマザー"であり、日本以外でも"マダム・コイケ"として有名です。
まだご存命ではないでしょうか。

最後に蛇足ながら、綾野剛クンの話題です。
なんと、今年の8月、新感線のいのうえひでのりが演出をし、音楽を布袋寅泰、共演に橋元じゅん、右近健一という音楽劇・雪之丞一座~参上公演「サイケデリック・ペイン」が東京サンシャイン劇場で上演です。

こりゃあ、見ないといかんです。
サイケデリックペイン_R.jpg

こんなの福岡にもほしい!大人のための「蔦屋書店」

芝居のついでに、ぜひ訪れたかったのがここ「おとなTSUTAYA」です。
若者をターゲットにしていたTSUTAYAが、いわゆるおとな、団塊世代に向けて商品を発信することに決めた場所。

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東京・代官山の約4,000坪の敷地に、「代官山 蔦屋書店」を中心とした複合施設、「代官山T-SITE」が誕生しました。Tの文字をモチーフにしたファサードが印象的です。

建築は指名制プロポーザルで、イギリス出身のマーク・ダイサムとイタリア出身のアストリッド・クラインのユニット、クライン ダイサム アーキテクツが選ばれました。デザインワークは原研哉さん、空間演出は池貝知子さんが手がけたそうです。

「ほぼ日刊イトイ新聞」の対談で、TSUTAYAの社長・増田宗昭さんが「代官山オトナ計画」として、今までになかった店舗を展開すると言っていたのを楽しみにまっておりました。
→「ほぼ日刊イトイ新聞」はコチラhttp://www.1101.com/president/masuda-index.html

対談では2011年初夏にオープンといっていたのに、オープンしたという噂もなく、秋に延びたらしいと聞いて心待ちにしていたら、結局12月にオープンだったようです。

建物は3つ。その3つにまたがってマガジンストリート(雑誌コーナー)があり、
その両側に文学、アート、クルマ、料理などと分野分けがされています。

つたや地図.jpg

映画のジャンルでは、廃盤になったりDVD化されていない名作をその場でDVDにしてくれるという画期的なサービスがあります。

音楽のジャンルでは、クラプトンの来日にあわせ、エリック・クラプトン使用のギターが飾ってあったとか。

もっともこだわっているのが人材だそうで、それぞれのジャンルにコンシェルジュと呼ばれる人たちがいる。
1000人ぐらいから選ばれた精鋭たち。
ジャズのライブハウスをやってた人、老舗の大手書店に長年勤めていた人、大手出版社の編集者、旅の達人とか...。

中でも、福岡にほしいと思ったのは、中央部分2階に位置するラウンジ部分。
図書館とカフェバーを融合させたような雰囲気。

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中央にあるカウンター台は本屋美術展のカタログで出来ています。

そして何よりすごいのは、このラウンジの壁をより囲んでいるのは雑誌のバックナンバーです。
平凡パンチやガリバー、アンアンなどマガジンハウスの雑誌はもちろん、エルやエルデコ、新建築、03、写楽など、いまや廃刊、休刊となった雑誌までもがひととおりそろっています。

雑誌好きとしてはたまりません!
毎朝、出勤前に、夜はアフター5に通いたくなる空間です。

お腹がすいたら、cafeダイニング「アイヴィープレイス」へ。
ランチタイムもディナータイムも1時間待ちの大盛況ですが、暇つぶしはいくらでもできますから、名前を記入しておけば、○○時にお越しくださいと案内されます。

今行っておくべき空間でしょう。

「下谷万年町物語」と「寿歌(ほぎうた)」、いずれも1980年前後に初演です

1981年、現在はパルコ劇場である西武劇場で、作・唐十郎&演出・蜷川幸雄のコンビで上演されたのが「下谷万年町物語」

出演者数は男娼役だけで100人以上、本水を使った大きな池や舞台を覆う長屋のセットとその大規模な舞台に驚いた初演だったそうで。
残念ながら見ていません。

その再演は実現不可能として語り継がれていました。
しかし、それから20年あまり経った2012年、シアターコクーンの再オープン杮落としに、あの舞台がよみがえったのです。

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唐十郎が幼年期をすごした「下谷万年町」を舞台にした超大作です。
敗戦直後、社会の底辺で力強く生きる人間たちのすさまじいエネルギーを描きます。

出演は宮沢りえ 藤原竜也 AAAの西島隆弘くん。
この西島くんが良かった!

昭和の少年を見事に演じてました。
音楽グループAAAのメインボーカル、オーディションに合格してAAA結成したらしいです。
園子温監督の話題作、「愛のむきだし」では主演を務めています。

さすが、蜷川さんの男を見る目(?)は確かですねえ。

初演では、宮沢りえの役はもちろん李礼仙が、そして藤原くんの役を当時新人だった渡辺謙さんが演じていたそうです。

3時間半の長丁場、ストーリーの意味はほとんど分かりません。

そこで、思い出しました!
唐さんの舞台は、赤テントで見たときも延々4時間くらいあって、その間、ほとんどストーリーは分からないし、狭いテントの中で芝居を見続けるって修行みたいだなあと思ったことを。
それでも、迫力がすごくてずっしり何かは伝わってきてたんです。

でも今回は、舞台は美しくなったしお金もかかってるけど、エネルギーは伝わってこなかったです。
西島くんを見られたことが収穫かな。

さて、もう1本は劇作家の北村想が1979年に書いた「寿歌(ほぎうた)」を見ました。

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こちらは主役の堤真一が見たくて。
共演は戸田恵梨香と新感線の橋本じゅんさん。

この舞台、私は知らなかったのですが、80年代の小劇場演劇の幕を開けたエポックメーキングな作品であり、現在の高校演劇の基礎までも作ったという作品らしいです。

物語は近未来、核戦争で全てが瓦礫となった世界。誰もいなくなった世界に、芸人のゲサクとキョウコはリヤカーをひいて歩いている。行く先々で芸を見せながら食いつないでいく。しかし回りは、人の気配などまるでない。そこへ、ヤスオという男が現れる。

そういう3人だけの舞台です。
ゲサクは戯作、キョウコは虚無、ヤスオはヤソ。テーマは世界の終わり。

でも、オール関西弁で乗り切り方が妙に明るい。
前向きなのです。
この上演は東日本大震災の前に決まっていたそうですが、放射能が降ってくるとか、ガレキの世界とか、この時期に見ると、身近に感じてしまいます。

この作品が日本の演劇史に残した意味はとても大きいらしい。
演出は千葉哲也、また再演されたら見てください。

でもこれも、ストーリーはほとんど分かりません。
ま、見た!ということに意味があるということで。

恐るべし!フードスタイリストの飯島奈美さん

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1月20日(金)から天神イムズの8階にあるギャラリー「アルティアム」で、「飯島奈美の仕事展」という展覧会が始まり、18時半から飯島さんも来られてのレセプションがあるのでうかがいました。

あまり早く行ってもなあと思い、時間つぶして18時20分ころに到着すると、会場の前にずらりと人が並んでいます。
呆然としてみていたら、展覧会場の中からもぞくぞくと人が出てきて、行列に参加。
ますます行列は伸び続け、とうとう、イムズ8階の円形スペースを1周するほどになりました。

友人と待ち合わせていたのですが、皆、一様に驚くばかり。
レセプションでは、飯島さんが用意したフードとドリンクを提供と書いてあったので、それが目的です。
私たちももちろん、それでした。
しかし、これではフードやドリンクにはありつけないだろうと判断。

展示だけ見る分なら入ってかまわないということだったので、フードを配る飯島さんを横目で見ながら展覧会場に。
もう中にも人がいっぱいです。
若い女性ばかりではなく、男性もいて、フードスタイリスト・飯島奈美さんの人気ぶりが分かりました。

飯島さんは、2006年の映画「かもめ食堂」からフードスタイリングを手掛けるようになり、その後「東京タワー」や「めがね」、テレビドラマの「深夜食堂」シリーズなども担当している売れっ子のフードスタイリストさん。

私は毎日見ている「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載からファンになりました。
連載されていたレシピは「LIFE」というタイトルで全3巻のシリーズとなっています。

ミュージアムショップでは、本や飯島さんが作ったスパイスやハーブティーなども売れに売れていました。
恐るべし!飯島奈美人気なのでした。

福祉をかえる「アート化」セミナーに参加

平成23年度の福岡市共働事業提案制度として採択された「障がい者アートプロジェクト事業」のプロジェクトのもう一つの催しとして、1月14日(土)~15日(日)の2日間「福祉をかえる『アート化』セミナー福岡」が開催されました。

九州で初めての開催、障がいのある人たちのアート活動を仕事として開拓するために、人材育成とともに障がいのある人たちの新しい仕事を生み出すノウハウを学ぶというセミナー。

障がいのある人たちのアート活動は全国的に盛んになり、福岡市内でも活動の中心としている事業所や作業所が増えてきています。
しかし、Tシャツやカレンダーなど事業所ごとのオリジナル商品としての展開は増えつつも、著作権の2次使用や企業などとの商品展開、また、作品を販売する巡回展など、施設外での販路や公共へのアウトプットは未だ発展途上の状況です。

このセミナーでは「障がいのある人たちのアート活動の可能性を広げる」を目的に、福祉施設スタッフや表現活動をサポートする人たちを対象に、アート活動の可能性を考える講義をはじめ、作品や著作権などの管理、アートを仕事に展開するノウハウなどを学ぶというもの。

なぜ、私が参加したかというと、実は、このセミナー主催者のひとつである障害福祉サービス事業所「工房まる」の理事なんかをしとるのです。

きっかけは、10年ほど前、九州大学大学院の修士課程時代に、福岡市内の福祉作業所、福祉施設の実態を調査するというアルバイトをして、30ヵ所ほど回りました。
その中に、まだ無認可の福祉作業所だった「工房まる」と出会い、それ以来応援してきたわけです。

福祉作業所の多くが、アルミ缶の収集やビーズ刺繍、クッキー、石鹸などを作って収益をあげているなか、障がい者の人たちが描いた作品で収益をあげているのを見て、可能性を感じました。

そして、それらのモデルとなっているのが、奈良県にある「たんぽぽの家」だと知りました。 

今回のセミナーで基調講演をされたのが、「たんぽぽの家」を創設した播磨靖夫さんです。

播磨さんは平成21年度の芸術選奨 文部科学大臣賞(芸術振興部門)を受賞されています。

受賞理由は「早くから社会福祉活動の中にその重要な要素として芸術活動を位置づけてきた先駆者の一人。特に、周縁にあると考えられていた「障害者アート」を大きく見直し、それぞれの表現の違いを個性として捉え、障害者の表現こそが、芸術活動の全体を多様化し、芸術運動として既存の規範を超えるものとして「エイブル・アート」を提唱した。これにより福祉の分野と芸術分野の双方に大きな果実をもたらした。国際的な貢献も大きく、播磨氏は、長年にわたる活動のひとつである「わたぼうし音楽祭」をアジア太平洋にも広げ、平成21年には10以上の国際ネットワークを樹立するに至った。」というもの。

播磨さんはもともと新聞記者で、高度成長期に取材をしながら、この繁栄の中で置き去りにされている人たちがいると感じ、置き去りにされてきた人たちをどうにかしたいとの思いから障がいのある人たちの施設づくりを思い立ったそうです。

もう人間的にも魅力たっぷりの方で、話してても飲んでても楽しい!
ずっと話をしていたいと思わせる方です。
機会があったら、ぜひ奈良県の「たんぽぽの家」を訪問してください。

播磨さんの影響を受けて福祉施設を運営している人が、いまや全国にたくさんいます。このアート化セミナーも、運営母体となっている「アート・エイブル・カンパニー」も「たんぽぽの家」から出発しました。

これを読んでちょっとでも興味を持たれたら「工房まる」でも遊びにきてください。

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→Able Art Companyのアート作品をご覧になりたい方はこちらから
http://www.ableartcom.jp/top.php