7月公開のオススメ映画!

7月6日(土)公開の「ダークスカイズ」は、これからの季節にぴったりなホラームービー。

あの「パラノーマル・アクティビティ」シリーズ、『インシディアス』、『フッテージ』と"予算をかけずに"大ヒット作を世に送り出してきた制作会社ブラムハウスの代表ジェイソン・プラムを筆頭に、そのスタッフたちが集結して完成させた作品です。"ホラー映画はダメ"という方は、本当にダメかもしれません。だって、予告編だけでも相当怖いから!
予告編はコチラ



監督は、『レギオン』『プリースト』の監督でもあるスコット・スチュワートという人。
好きな怖い映画は「日常にブギーマンがもたらすような恐怖を扱う心理的なタイプ」ということもあり、特に、窓ガラスに大量の鳥がぶつかってくるシーンは、ヒッチコック?という感じの心理スリラーになっています。
最後に登場する男のコの「呪怨」としお君ぶりも必見!

背筋ゾクゾクで冷房いらずのエコなホラームービーということで、よろしくお願いします。



そして、もう1本は先月のリリースで予告もさせていただいた、7月13日(土)公開の「ベルリンファイル」。

ただ一つ、個人的にご注目いただきたいと思っているのは、北朝鮮の保安監察員ミョンス役のリュ・スムボムです。
一度見たら忘れられない個性派中の個性派役者。実は、監督リュ・スンワンの実弟なのですが、その得体の知れない存在感がすばらしい。
主人公たちを容赦なく追い詰める冷血無比な彼の存在こそが、この作品に一層の緊迫感を与えています。
予告編はコチラ



ということで、長くなりましたが、上記2作品よろしくお願いします!

花見の宴前に、ぜひ読んでほしい「実さえ花さえ」

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ご無沙汰してました。
あまりに面白く、紹介したくなりました。
ぜひ、花見の前に読んでください。

コピーライター歴25年の浅井まかてさん、書いた初めての小説で講談社の第3回小説現代長編新人賞 奨励賞受賞したのが「実さえ花さえ」。
この本、実は音楽プロモーターBEAの社長、通称サブちゃんが「これ、おもしろいけん、読んでみてん」と言って貸してくれました。

一気に読み終えてしまいました。
1作目とは思えない熟練の味です。ページをめくるのが楽しみでもあり、読み終わるのが寂しくもあり。

物語は松平定信が先の老中として登場するので、時代は19世紀に入ろうという頃かな。武士だけではなく、庶民の間にも花いじりが道楽として愛されていた時代の話です。

登場人物すべてが魅力的で、しゃべる言葉も美しい。
日本の美しさが花に、樹木に、景色に食べ物に、人柄に表現されている稀有な物語となっています。
桜草から始まり、ソメイヨシノで終わる花尽くしのお話、自然の中から生まれた草木が人の手を介すことで、さらに美しく生まれ変わる様子が、興味深く描かれます。

登場人物をめぐって、これがまたミステリーのような展開で、胸をドキドキさせながら読みました。
そして読み終えると、「ぜひ読んでみてん」と薦めたくなる、サブちゃんの気持ちが良く分かりました。

タイトルは、「命あるものはすべて、実さえ花さえ、その葉さえ、今生を限りと生きてこそ美しい」この一節から生まれました。
テレビドラマにでもしてほしい作品です。

今年の花見では、この本で得た知識を偉そうに講釈していると思います。

『僕等がいた』

監督:三木孝浩 原作:小畑友紀(小学館「月刊ベツコミ」連載) 脚本:吉田智子
主題歌:Mr.Children 前篇「祈り~涙の軌道」 後篇「pieces」
出演:生田斗真、吉高由里子、高岡蒼佑、本仮屋ユイカ、小松彩夏、江本佑、比嘉愛未、須藤理彩、麻生祐未 
(2012/日本/前篇2時間3分、後篇2時間1分)
配給:東宝 アスミック・エース
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オーバー40女子としては当然なのだが、最近の恋愛少女マンガにはとんと疎い。
とはいえ、少女マンガ的なものにはいくつになってもときめくもの。
だって、別マ(別冊マーガレット)、週マ(週刊マーガレット)で少女時代を過ごした世代なんだもん。

この永遠の少女マンガ魂が、「冬ソナ」に始まる韓流スター(マンガから飛び出してきたような王子ぶり)ブームを起こし、いまや若者層にまで広がるK-pooアイドル人気につながっていると、個人的には踏んでいます。
王道少女マンガ・エッセンスは、老若女子にとって永遠のときめきのツボです!

ということで、いよいよ先週末公開になった前後編2部作連続ロードショーの映画『僕等がいた』

先週の土曜、3月17日よりTOHOシネマズ天神ほかで前編が公開され、「ドラえもん」に次いで週末の興行ランキング堂々の2位。
ミドル・ティーン・エイジャー層が、きちっと劇場に詰め掛けているそうです。
彼らにとっては、そりゃあもう等身大の憧れラブストーリーなんでしょうね...(遠い目)。

で、前編見た人は、なんで後編がすぐ観られないの!!!!?
と、もやもやな気持ちで劇場を後にするに違いない。

というのも、この映画、「そりゃ、前編見たらの速攻後編見たくなるでしょ!」という究極の"つづく"映画なんですから。

ありがたいことに私は、公開前のマスコミ試写でいっきみさせてもらいましたよ。
ありがたや、ありがたや。
1000万部突破の国民的コミックの映画化だから、若い女のコ衆は読んでストーリー知ってるかもしれないけど、読んでない人にとっては、もう前編の後ろについてる予告編が衝撃的。

学年イチのモテ男、矢野(生田斗真)に一目ぼれしたヒロイン、七美(吉高由里子)。
高校生にしてはいろいろワケあり(ヤバイ方じゃありません)の矢野となんだかんだ高校生ならではのすったもんだあった挙句、やっとこ両思い。
そりゃもう17歳にして、人生の絶頂なラブラブシーズンを過ごす2人が、いきなり遠距離。
「離れていても、思いは変わらないよ~」と誓いあって別れるんだけど...。つづく。

まあ、ここまでは想定内なんだけど、その後に続く後編のダイジェストが、
「えーっ、何? その後の一体何が起こって、そうなって、ああなって、こういうことになってんの!!!!!」
と、とにかく予想しがたい怒涛の展開。
それこそ、ビハヒルをワンシーズン飛ばして観た時の衝撃に近いというか、冬ソナを2話とばして見たときの着いていけなさというか。
まあ、とにかく"つづく"心をつかみまくった予告編なわけです。

この予告編を見るだけで、この映画を観る価値がありました(きっぱり)。

もちろん、王道少女マンガの映画化ならではのみどころも満載!

吉高由里子のマンガから飛び出してきたようなヒロインぶりだとか
(どんなときもまっすぐで健気!)
七美と矢野を筆頭に、だれもかれもが気絶しそうなキュン死にキラーフレーズをキメまくるとことか
「これまでのこと、私と逢ったことでプラマイゼロにならないかな」(七美)
「プラマイゼロじゃなくてプラマイプラスだった」(矢野)
 
ひえ~っ!...ぜぇぜぇ。

前編「祈り~涙の軌道」、後編「Pieces」と、ここぞというところに流れるミスチルの主題歌に至っては、青春映画の様式美さえ感じる、堂々の直球ぶり。

生田斗真の学ラン姿...ぎりぎりOK?、
高岡蒼佑の学ラン姿...それは、さすがに...
と、いろいろと突込みを入れながらも、結構楽しめた王道少女マンガの純愛ストーリーの映画化でしたよ。
ときめき不足の女性達は、アンチエイジングとリハビリをかねて観てみてはいかがでしょう?

ちなみに、後編は4月21日(土)~公開。
個人的には、前編をなるべく後編公開近辺にみて、テンションキープなまま後半みるのがオススメです!

ちびっこOのおススメ度 ★★★☆☆

2012 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 ①/2

2月23日~26日まで、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に言ってきました。
書こう書こうと思いつつ、すでに帰ってきて2週間が経過...(汗)。

ゆうばり映画祭に行くのは、13年ぶりに2度目。
2006年、夕張市の財政破綻で一時はその存続もあやぶまれた中、地元ボランティアと配給関係者、映画ファンの有志が一丸となって回を重ねている映画祭です。
毎年、映画祭に参加しているF女史にずっと誘われていたんですが、今年ついに一身発起して行ってきました。

新千歳空港からバスで1時間15分。
あたりは一面の雪。北海道だからこれくらい当然かと思っていたら、夕張でも今年は10年ぶりくらいの大雪だとか。風が吹くと半端ない寒さでしたが、それ以上にきれいに積もった美しいパウダースノーは美しかったです。
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とはいえ、町は過疎化が進み、かつての繁華街もさびしい感じ。夜になると空き家も目立ち、こんなところで映画祭が続いていること事態が奇跡的と思えるほどでした。
正直、食事やお茶できる店もそう多くはなく、みんな映画祭会場付近の食堂を兼ねたサロンに密集している感じ。おかげで映画祭のゲストにも頻繁に遭遇します。
町のあちこちには、かつて映画館を飾ったあんな作品やこんな作品の看板が。
こういうのを観ながら歩くと、やっぱり夕張はやっぱり映画祭の町だなと感じました。

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空港から直行で、上映開始にぎりぎり間に合ったオープニング作品は、「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」
1作目大好きだったんで、ゆうばりでいち早く観れてラッキー!
当然ながら1作目に輪をかけたスピード感とスケール感で、敵も当然、手ごわくなってはいるんだけど、その辺はエッセンスの1つというか。まあ、冴え渡るホームズの変人ぶりが最大の魅力でした。見所はずばりラストの変装。ロバート・ダウニーJr.扮するホームズ、お茶目すぎる!!

「シャーロック・ホームズ」は中洲大洋、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ほかで公開中!
http://wwws.warnerbros.co.jp/sherlockholmes2/
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2日目は、「黒部の太陽 特別編」からスタート。
1968制作、三船敏郎×石原裕次郎の2大スター共演で、監督は熊井啓という超大作。
黒部渓谷に巨大ダム建設するという世紀の難工事に、不屈の精神で挑んだ男たちの実話を基にした"プロジェクトX"的な映画なのですが、『剣岳』も真っ青な山岳シーンからリアルなトンネル工事のシーンまで、CGなんかなかった時代に、こんな映像よく撮れたな~」と驚くスケールの大きさでした。 だから「映画館の大迫力の画面・音声で見て欲しい」という生前の石原裕次郎の遺志もあり、現在もソフト化されていないそう。
全編に垣間見られる高度成長期の日本のイケイケドンドンな社会風潮は、今見ると賛否両論でしょうが、こういう時代を通り過ぎたからこそ今の日本があるんだな、と思える映画でした。ここで観といて良かった。

次に、韓国映画の『探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男』を鑑賞。
この作品は、昨年の映画祭のグランプリを受賞したオ・ヨンドゥ監督が、映画祭×スカパーの支援作品として撮った作品。
不勉強な私はそんな予備知識も何もなしに観たのですが、予想以上に面白かったです!今映画祭一番の拾い物でした。
開発中のタイムマシンをめぐり起こる殺人事件と、依頼に来た直後、自分の目の前で事故にあった依頼者の女性。片腕が義手の気のいい探偵ヨンゴンは、やがて彼女がちょっと先の未来からやって来たことを知り、現在のまだ生きている彼女をなんとか事故から助けようとするのです。
なんとも新発想の探偵SFアクション。
出演者も全然知らない人ばっかりだし、(おそらく低予算だと思いますが)お金かけなくても、こんな面白い映画が作れるかという見本みたいな映画でした。
ちなみに、韓国には探偵という職業は存在しないそう。映画のクレジットに『探偵濱マイク』シリーズでおなじみ林海象監督のクレジットを発見。探偵監修とかしてるのか?
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オ・ヨンドゥ監督(左)

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ヨンゴン役を演じたホン・ヨンゴン(右)とヒロイン役のチェ・ソンヒョン

どうやら、スカパーで3月29日に映画オンエアするよう。
観れる環境の方は、チェックしてみてください。
http://www.bs-sptv.com/program/page/000252.html

この上映があった会場、ホワイトロックKIZUNAと名づけられた仮設の球体型シアター。
これがあればどこでも野外上映会ができるな~。今回は、東北の復興支援で特産品の販売や軽食の販売もしてました。
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「解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯」ウェンディ・ムーア著、矢野真千子翻訳(河出書房新社)

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ジョン・ハンターは1728年イギリス生まれ。
後に「近代外科学の父」と呼ばれる偉人です。

最初は兄の解剖教室の助手をしていたジョン。
死体を手に入れる為に墓泥棒までしながら何千体も解剖する内に、生命の不思議に魅入られてしまいます。
やがて独立したジョンは、動物や人間の遺体を使って解剖を続けながら、実験的な手術を実践。

例えば、当時蔓延していた性病の治療法を見つける為、己の性器を実験台にして経過を観察。死に至る性病もあると知っている現代人からするとゾッとしますよね。

またある時は、金と引き換えに健康な人の歯を抜き、虫歯で歯が抜けた口元を気にする金持ちの歯ぐきに差し込んで糸で固定するという、今で言う入れ歯治療を実践。抜きたてが一番くっ付きやすいと、治療室の隣に歯を抜く人を待機させたというんだから驚きです。

自分の死体を狙うジョンを恐れるあまり、ノイローゼ気味になってしまう巨人症の男との攻防戦は、まるで漫画。「どっちが勝つか賭けようぜ」なんて言ってる町の人たちの様子まで出てきて、死体を狙われてる人には申し訳ないけど、あまりに荒唐無稽で笑わずにいれません。

うーむ...アンビリバボー。

天才とバカは紙一重とはこのことですかね。
完全に常軌を逸した頭のおかしいおじさんです。

「...だって、やってみたかったんだもん」ですんだら警察は要りません。

しかし、ほとんどの医者が「瀉血」(静脈を切って血を出す)を最高の治療法と信じていた時代。世間の風当たりも強い中、ジョンは好奇心の赴くままに突き進んでいきます。

また、ジョンが騒動を起こす度に「あいつがまたこんなバカをやった」と批判本を出す事が生きがいのジェシー・フットやジョンが作った数々の珍しい標本を「弟のモノは俺のモノ」とばかりに片っ端から奪っていく兄・ウィリアムの存在も、この本を面白くする最高のエッセンス。

自己犠牲の精神で人を救った聖人のような医者ではなく、好奇心旺盛で自由に生きた変人が医学を何年も進歩させた痛快さに、なんだかこっちまで刺激されて「こうしてはいられない」とお尻がムズムズするようなハイな気持ちに。

ハードカバーな上にちょっと値段が高いですが、損はしませんので是非読んでみて下さい。

ところで、現代の医者がタイムスリップして過去に行く「JIN-仁」というドラマがありましたが、逆にジョンが現代にタイムスリップしたらどうなるか。
意外と医学にサッサとあきて、他の面白そうな分野に飛びつくかもなあ。
想像すると楽しくなります。