釜山映画祭2012レポート 第2弾

先日ちびっこOがレポートした釜山映画祭2012を、めがねもちょこっと補足レポ。
釜山映画祭に興味あるけど、行くかどうか迷ってる方の参考に。

最近は釜山映画祭ツアーパックなんかもあるらしいですが、フリープランで行っても映画祭は十分に楽しめます。
ホテルと釜山までのビートルを押さえて、後は現地調達でも大丈夫。

映画祭は開催日から3~4日までが一番盛り上がります。
特に初日にある「オープニングセレモニー&野外上映」はスターが勢ぞろいするイベント。
これだけは事前にチケットを押さえておかないと当日券がないので、参加したい方は公式サイトをしっかりチェックしてください。4000枚が一瞬で売り切れます。

日本みたいに裏口を使わず、スターは表玄関から華やかに登場します。
「映画の殿堂」入場口で早めにスタンバイしておけば、入場券がなくてもスターを見ることができますが、私たちが行った時は既にすごい人ごみだったので、会場前で中継しているテレビ番組を見学してみました。
キムガプス2_R.JPG
ん???
あの人って...もしや...。
ズームアップ。
キムガプス1_R.JPG
あ!キム・ガプスだ!
阪本監督の「KT」にも出ている俳優さんです。

セレモニーが終わったら、スターはホテルに戻ってパーティに出かけます。
ホテルで待ってたら、ユン・ゲサンが。こんな感じで気軽に会えるのが楽しい。

ユンゲサン_R.JPG

さて、「スターも見たし~」ということで明日に備えてホテルへ。
ギリギリに探したのでホテルがどこも満杯。
プサンナビに載っていたヘウンデのゲストハウスに泊まりました。
ここすごく良かったですよ~。ホテルの人も親切だし。

詳しくはこちらから。ナビの説明にないものを付け加えますね。
http://www.pusannavi.com/hotel/574/
→いきなりだけどトイレ。3つあって清潔です(重要)
ゲストハウス3.JPG
→共同シャワー室。仕切りがないし、最初ちょっと抵抗あるかもですが、旅の恥はかきすてって事で。
ちなみに2人部屋にはシャワーがついたバスルームがあるんですが、狭いしシャワーカーテンがないので朝シャンくらいにしか使えません。
ゲストハウス2.JPG
→ドライヤーもあります。
ゲストハウス1.JPG
映画祭の時期、どこのホテルも「ぼり」まくりですが、ここは6泊して15000円(1人あたり)と良心的。

最後に大事な事書いておきますね。
冷蔵庫に食べ物を入れる時は名前を書いた方がいいです。
(...オレのトッポギと豆乳を勝手に食べたのは誰だ...)

さて翌日は8時30分から販売される当日券を買いにセンタムシティへ。
ヘウンデから地下鉄で3駅目、降りてすぐです。

→写真の新世界百貨店前と向かいの「映画の殿堂」前が当日券売り場。
チケットセンター_R.JPG
ズラッと並んでて不安になりましたが、ネットでSOLD OUTになった映画も、GV(舞台挨拶)がある映画も当日券が出ていて無事に購入できました。
鑑賞券は、一枚6000W。だいたい500円くらいです。

舞台挨拶はプレスでなくても写真可なんですよ。
せっかくなので誰もあげてなさそうな写真を並べてみます。

→『Nameless Gangstar』のハ・ジョンウ
ハジョンウ_R.JPG

→『El Condor Pasa』のチョ・ジェヒョン
チョジェヒョン_R.JPG
2日目の夜は、オープニングセレモニーの次にビックなイベント、スターロードです。
ヘウンデの海岸に敷かれたレッドカーペットの上をスターが次々通ります。

→かぶりつきで見る事も可能なんです。
しかし、ものぐさな我々は上から観察。
開けたところだし、一応どこからでも見えます。
スターロード_R.JPG
→ちょっと頑張って近づいてみました。
JUPER JUNIOR
...の一部
の...後ろ姿です(笑)
スターロード2_R.JPG
もっと熱心に撮影している方もいると思うので、写真はそこで見てください(コラ)

同じ海岸沿いに設置されたBIFF舞台ではちびっこOがレポートしていたチュ・ジフンのコンサートや映画の舞台挨拶、クラッシックコンサートなどのイベントが連日目白押し。

センタムシティの新世界百貨店下でもイベントがあってましたよ。
もち自由に出入りできます。

→チェ・ジウ様サイン会です。
こんなに気軽にチェ・ジウを見れる日が来るとは...。
同じ場所で、この後『カンヘ~』のイ・ビョンホントークイベントも行われていました。
チェ・ジウ_R.JPG
ヘウンデに行ったら絶対食べて欲しいお食事もご紹介しますね。

→「馬山蟹蛸蒸」です(よだれ)
http://4travel.jp/overseas/area/asia/korea/pusan/restaurant/10410453/
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映画祭の時期じゃなくても行っちゃうくらい、ここのケジャンうまいです。
このお店の他のメニューは食べなくてもいいんで(おい)、是非これだけでも食べてください。

恒例のオススメお土産も載せておこうかな。

→生理用ナプキン
のりとラーメンに飽きたあなた、たまにはこんなお土産どうですか?
...冗談です。
つか、まじめな話。これ、漢方が練りこんであって、生理通に効くらしいです。
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→良く事務所の飲み会で使う、必殺スンドゥブチゲの素。
ブデチゲ、ヘムルタン、チョングッチャンもあって、簡単に本場の味が再現できます。
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→どうです!このメルヘンなiPhoneケース!
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→なんとなく見た事あるお菓子シリーズ。おっとっと(もどき)はおいしい。オススメです。
ぱち_R.JPG
→家で手軽にホットクミックス。
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来年は「アジアフォーカス福岡国際映画祭」の後に(さりげない宣伝)「釜山映画祭」ってどうですか?
秋の映画のお祭り、一緒に楽しみましょう。
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2012ゆうばり国際ファンタスティック映画祭②/2

ここからはプログラムの部門別に、映画祭をレポート!

1 招待作品部門...公開前の話題作を観られる有料試写会的部門
オープニングの『シャーロック・ホームズ』、クロージングの『僕等がいた<前編>』をはじめ『ヘルプ 心がつなぐストーリー』『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』など全10本を上映。オープニング、クロージング以外はすべて2000円のゆうばりファンタパスポート(通し券)で観られるという太っ腹さ。

『作者不詳』 (配給:ソニーピクチャーズ)は、まだ邦題も決まっていない段階でいち早く上映されていたので鑑賞しました。
監督が『インディペンデンス・デイ』や『2012』のローランド・エメリッヒなんで、勝手に宇宙人モノのSFアクションかと思っていたら、なんと16世紀を舞台にしたコスチュームもの。文学界で長年議論が続いている"シェイクスピアの謎"にまつわる歴史ミステリーでした。
主演はリス・エヴァンス!(出世したな~) 
知識的には着いていけないところも多々でしたが、「え~っ、そうなの?(いや、そうかもしれないの?)」と知的好奇心を刺激される大人の文芸エンタテインメント。
見ごたえありましたよ。邦題、何になるのかな? 


2 オフシアター・コンペ部門
"ファンタスティック"をコンセプトに短編、中編、長編の区別なく公募された313本の中からノミネートされた12作品を上映。グランプリを受賞すると、次回作の制作支援が受けられるとともに翌年の映画祭でお披露目されるというシステム。『どんてん生活』の山下敦弘監督や『SRサイタマノラッパー』の入江悠監督もこのコンペのグランプリ出身です。

本年のグランプリ受賞作は、石原貴洋監督の『大阪外道』
残念ながら映画は未見ですが、監督や出演者はパーティで見かけました。タトゥーとかスーツに毛皮な男性陣...見るからにただ者ではない異彩を放ってました。
あっ、これもスカパーで放送...したみたいです。
http://www.sukachan.com/movie/SJ0000074860/


3 特別プログラム&イベント
『息もできない』で注目された女優キム・コッピの特集や、最新作『ゾンビアス』を含めた異色の奇才・井口昇監督特集、ゆうばり映画祭出身で映画祭常連の山口雄大監督最新作『手鼻三吉』など、ホラーからウルトラマン、アニメ、旧作までゆうばりカラーあふれる何でもありの36本。

出来たてホヤホヤのワールドプレミアだった『手鼻三吉』は、夜10時~の上映だったにもかかわらず会場はほぼ満席。ちなみに、山口監督は2003年『地獄甲子園』で本映画祭ヤングコンペ部門のグランプリ獲得。看板役者・坂口拓とは1998年のデビュー作『手鼻三吉』以来の仲なんですね、きっと。

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山口雄大監督(右)とと三吉役の坂口拓

コチラは、デビュー作『手鼻三吉と2(トゥワイス)志郎が往く』
http://www.youtube.com/watch?v=9otxL9ps45Y

坂口拓、若っ!でも、作風は全然変わってない。
三吉シリーズは山口監督&坂口拓のライフワーク的シリーズなのかな?
ゆうばりのファンには、このノリがお約束らしく、超高速4コマ漫画的なスピード感で、ストーリーもタッチもキャラも自由自在にスイッチングしていく三吉(さんきち)ワールドに、会場はドカンドカンの大爆笑。私もあっけに撮られながら笑いました。
そして、ちゃっかり坂口さんに2ショット写真をとってもらったり(赤面)。
配給や公開はまだ未定らしいです。


4 フォアキャスト部門
これは、どういうコンセプトかな...新人監督部門かな?中編・長編合わせて20本を上映。
『サマータイムマシン・ブルース』や『曲がれ!スプーン』の映画化でも注目される京都出身の人気劇団 ヨーロッパ企画の企画短編集とかもやっていたみたいですが、残念ながらこの部門はまるっと見逃しました。ここからコンペ部門に巣立っていくんだろうな。


5 インターナショナル・ショート・フィルム ショウケース部門
いわゆる短編・中編部門ですね。これは「ホラー&スプラッター」、「スリラー」、「ファンタジー」、「ドラマ」4プログラム編成で、会場の1つホテルシューパロの1階で出入り自由の無料上映をしていたので、空き時間に5本ほど観ました。

面白かったのは、『ハトは飛ばない』(韓国・18分)というアニメ。
飛べないばかりに、自分の目の前であっさり他界してしまう父と母。そんなトラウマから夢も希望も捨て、天涯孤独に地上でサバイバルしてきた主人公のハトが、フライドチキンになるのが夢だという純真無垢なニワトリと出会い...。
ほのぼの、おとぼけな絵のテイストとはミスマッチなシニカルな語り口がセンスいいなあ。
http://fanplus.jp/_cinema247_/goods/contents/3907/

私は見逃しちゃったんですが、会う人に「何か面白いのありましたか?」と聞いたら3人くらいからタイトルを聞いたのがコチラ。
「エンカウンターズ」 (監督:飯塚貴士・30分)
Http://www.youtube.com/watch?v=EtXc-tXXYr4
すごいすっとぼけた語り口の人形アニメですね。
バカバカしそうだけど、観てみたい。


他にも、シンポジウム1つと、ゆうばり映画祭の名物らしいストーブパーティに参加しました。

シンポジウム「夢みる子供たちの未来へ 映像教育フォーラム in ゆうばり」
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 前日の夜、偶然居酒屋で『ナビィの恋』の中江裕司監督とばったり会って誘われたので覗いてみたのですが、これがなかなか面白かった。監督とは『ホテル・ハイビスカス』と『真夏の夜の夢』の福岡キャンペーンで2度ご一緒したことがあるんです。

映画や映像制作を取り入れた教育プログラムは最近各地で行われているようで、この日は、中江監督が金沢で講師をした「こども映画教室」で小学生が撮ったドキュメンタリー(なんとテーマは"愛")や、北海道コミュニティシネマ・札幌のワークショップの2011年作品『命の樹』など、子ども達がとった作品3本を観たあとシンポジウム。
中江裕司監督ほか、埼玉の映像ミュージアム SKIPシティのマネージャー、鈴木みどりさん、北海道コミュニティシネマ・札幌の代表で市民出資のミニシアター、シアターキノの代表、中島洋さんなどがパネリストとして参加していて、司会は映画評論家、寺脇研さん。

正直、小中生が撮る映画なんてオママゴトみたいなものかと思っていたら、なかなかどうして。
中江監督の「子どもは面白い映画撮るよ」という言葉の意味が分かりました。

例えば、"愛"をテーマにしたドキュメンタリーでは、小学生が道行くカップルを捕まえては、「2人は恋人同士ですか?」「キスしたことありますか?」「今ここでキスしてください」と大人では考えられないストレートさでカップルたちに迫り、結果、インタビューされたカップルのいろんな関係性(愛の形?)が浮き彫りになるという計算外の面白さ。

札幌のワークショップ作品『命の樹』は市民公募した脚本を元に、中学生達が脚本のなおしから演出、出演、音楽まで手分けして制作した作品。
親に不満ばかりの普通の中学生のもとに、かつて北海道の貧しい開墾時代に懸命に生きていた同じ年頃のぞ先祖様(少女)が現れて...というファンタジックな物語のですが、中学生達の等身大の感性と演技に、ぐんぐんストーリーに引き込まれました。
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こういう制作過程を体験することで、メディアリテラシーとか仕事に対する意識(役割分担)や自分の特性に気づかせていくことが目的なんですって。
年々、高年齢化していく映画ファン層の若返りを図るためにも、こういうプログラムは有効かも。
個人的には、授業に映画鑑賞の時間を取り入れてほしいです。
読書感想文コンクールと同じように映画鑑賞文コンクールとかもあればいいのに。
うん、絶対いいと思う。


最後に、ストーブパーティ。
結構な寒さにも関らず、屋内ではなく野外で行われるんです。
カンパ箱に気持ちのカンパを入れると、紙コップや紙皿をくれて、広場内のいたるところで振舞われているあったかい鍋やジンギスカン、海鮮バーベキューを食べながらストーブを囲むという。
この寒さの中で飲む日本酒の熱燗は最高!(あっという間に冷酒になりますが...)。

そんな中、30歳のイケメン・鈴木直道夕張市長も、映画ファンにまざってストーブを囲んでました。
なんと鈴木市長の名刺をゲット!(オープニングパーティでお会いしたときに)
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いや~、この好青年ぶり、ファンクラブができそう。

ストーブパーティでは、『デビルズ・ロック』の監督を発見。
酔った勢いで話しかけ、好きなホラー映画とかを聞いちゃいました。
ポール・カンピヨン監督は、『ロード・オブ・ザ・リング』などのピーター・ジャクソン作品のVFXにも参加しているそうで、『デビルズ・ロック』(映画はナチもののオカルトホラー)のセクシーな女悪魔のクリーチャーは自分でデザインしたそうです。
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『エクソシスト』や『死霊のはらわた』など70~80年代の正統派ホラーをリスペクトしているそうで、「リング」や「ほの暗い水の底から」などジャパニーズホラーも結構観ているとか。
ホラー好きな私としては、監督の次回作にも期待したいところです。

<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭>データ
会期:2012年2月23日(木)~2月27日(月)
上映本数:112本(長編・短編含む)
観客動員数:12577人(昨年12577人、※過去最高は2001年の24983人)

オフシアター・コンペティション受賞結果
☆グランプリ 『大阪外道』 石原貴洋監督
☆審査員特別賞 『くそガキの告白』 鈴木太一監督
☆北海道知事賞 『ビートルズ』 坂下雄一郎監督
☆シネガーアワード 『くそガキの告白』 鈴木太一監督

2012 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 ①/2

2月23日~26日まで、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に言ってきました。
書こう書こうと思いつつ、すでに帰ってきて2週間が経過...(汗)。

ゆうばり映画祭に行くのは、13年ぶりに2度目。
2006年、夕張市の財政破綻で一時はその存続もあやぶまれた中、地元ボランティアと配給関係者、映画ファンの有志が一丸となって回を重ねている映画祭です。
毎年、映画祭に参加しているF女史にずっと誘われていたんですが、今年ついに一身発起して行ってきました。

新千歳空港からバスで1時間15分。
あたりは一面の雪。北海道だからこれくらい当然かと思っていたら、夕張でも今年は10年ぶりくらいの大雪だとか。風が吹くと半端ない寒さでしたが、それ以上にきれいに積もった美しいパウダースノーは美しかったです。
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とはいえ、町は過疎化が進み、かつての繁華街もさびしい感じ。夜になると空き家も目立ち、こんなところで映画祭が続いていること事態が奇跡的と思えるほどでした。
正直、食事やお茶できる店もそう多くはなく、みんな映画祭会場付近の食堂を兼ねたサロンに密集している感じ。おかげで映画祭のゲストにも頻繁に遭遇します。
町のあちこちには、かつて映画館を飾ったあんな作品やこんな作品の看板が。
こういうのを観ながら歩くと、やっぱり夕張はやっぱり映画祭の町だなと感じました。

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空港から直行で、上映開始にぎりぎり間に合ったオープニング作品は、「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」
1作目大好きだったんで、ゆうばりでいち早く観れてラッキー!
当然ながら1作目に輪をかけたスピード感とスケール感で、敵も当然、手ごわくなってはいるんだけど、その辺はエッセンスの1つというか。まあ、冴え渡るホームズの変人ぶりが最大の魅力でした。見所はずばりラストの変装。ロバート・ダウニーJr.扮するホームズ、お茶目すぎる!!

「シャーロック・ホームズ」は中洲大洋、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ほかで公開中!
http://wwws.warnerbros.co.jp/sherlockholmes2/
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2日目は、「黒部の太陽 特別編」からスタート。
1968制作、三船敏郎×石原裕次郎の2大スター共演で、監督は熊井啓という超大作。
黒部渓谷に巨大ダム建設するという世紀の難工事に、不屈の精神で挑んだ男たちの実話を基にした"プロジェクトX"的な映画なのですが、『剣岳』も真っ青な山岳シーンからリアルなトンネル工事のシーンまで、CGなんかなかった時代に、こんな映像よく撮れたな~」と驚くスケールの大きさでした。 だから「映画館の大迫力の画面・音声で見て欲しい」という生前の石原裕次郎の遺志もあり、現在もソフト化されていないそう。
全編に垣間見られる高度成長期の日本のイケイケドンドンな社会風潮は、今見ると賛否両論でしょうが、こういう時代を通り過ぎたからこそ今の日本があるんだな、と思える映画でした。ここで観といて良かった。

次に、韓国映画の『探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男』を鑑賞。
この作品は、昨年の映画祭のグランプリを受賞したオ・ヨンドゥ監督が、映画祭×スカパーの支援作品として撮った作品。
不勉強な私はそんな予備知識も何もなしに観たのですが、予想以上に面白かったです!今映画祭一番の拾い物でした。
開発中のタイムマシンをめぐり起こる殺人事件と、依頼に来た直後、自分の目の前で事故にあった依頼者の女性。片腕が義手の気のいい探偵ヨンゴンは、やがて彼女がちょっと先の未来からやって来たことを知り、現在のまだ生きている彼女をなんとか事故から助けようとするのです。
なんとも新発想の探偵SFアクション。
出演者も全然知らない人ばっかりだし、(おそらく低予算だと思いますが)お金かけなくても、こんな面白い映画が作れるかという見本みたいな映画でした。
ちなみに、韓国には探偵という職業は存在しないそう。映画のクレジットに『探偵濱マイク』シリーズでおなじみ林海象監督のクレジットを発見。探偵監修とかしてるのか?
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オ・ヨンドゥ監督(左)

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ヨンゴン役を演じたホン・ヨンゴン(右)とヒロイン役のチェ・ソンヒョン

どうやら、スカパーで3月29日に映画オンエアするよう。
観れる環境の方は、チェックしてみてください。
http://www.bs-sptv.com/program/page/000252.html

この上映があった会場、ホワイトロックKIZUNAと名づけられた仮設の球体型シアター。
これがあればどこでも野外上映会ができるな~。今回は、東北の復興支援で特産品の販売や軽食の販売もしてました。
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「水神」箒木蓬生(新潮社)

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時代は1600年代、有馬藩。
筑後川に堰を築いた百姓たちの物語です。

舞台になる生葉郡は、目の前を水量の多い筑後川が流れているにも関わらず、高台に土地があるため、水の恩恵が受けられない貧しい土地。

それらの村で重要なのが「打水」という仕事。
「両端に長い綱がついた木桶を土手の上から川面に投げ落とし、2人で引っ張り上げて土手の反対側にある畑に流す」
想像するだけで肩がこりそうな作業です。

しかし打水を朝早くから日が暮れるまで毎日続けても、村全体に水が十分に行き渡る事はありません。

出来高とは到底見合わない年貢米に苦しめられ、自分たちの食い扶持も確保できない、貧しさの無限ループ。

高田村の庄屋・山下助左衛門は、現状を打開しようと何年もかけて周囲の山々を歩き周り、筑後川に堰を築く広大な絵図面を完成させます。
彼が発起人になって、先祖代々この"水涸れ地"に住んできた5人の庄屋が立ち上がるわけです。

でも「ここに堰を作るぞ~!」というお殿様のツルの一言で、次のページでもう出来上がってましたーと簡単にいかないところがこの本の面白さ。

主役はあくまで百姓。
百姓の上には庄屋がおり、その上に大庄屋がいて、一段階上がって下級武士がいて、その上に郡奉行がいて、その上に普請奉行がいて...と気が遠くなるくらいの縦社会だった昔の話です。

水があれば周囲の村も豊かになって、それがひいては藩全体を潤すんですから!

...なんてことは本来一番底辺にいる百姓が言いだす事ではなく、さらには「うちの村にはメリットがねえ!」と反対する村々に邪魔をされる始末。

しかし、1人の下級武士が彼らの窮状を理解してくれたことによって、ジリジリと話が動き始めます。

根回しに根回しを重ね、粘りに粘って、まさに不退転の決意で普請奉行様に涙の訴えをするシーンまでたどりついた時にはもう!
一緒になって「おねげえしますだ!マジで~」と土下座するような気持ちに。

その後も五庄屋達にはこれでもかというくらいの試練が待ち受けていますが、自分たちの為ではなく未来のために信念を曲げない彼らの姿は、次第に周囲の人々の心を動かしていくのです。

戦国時代の武将や幕末の剣客が主役というものが多い中、百姓が主役という異色の時代小説。
史実に基づいた、地味ながら感動的なお話です。
福岡出身者には特に読んでもらいたいなあと思って、紹介させていただきました。

※大石堰(福岡県うきは市HPから)
http://www.city.ukiha.fukuoka.jp/imgkiji/pub/detail.aspx?c_id=70&id=56

今年もやります「紺屋2023 夜会2012」

夜会の季節がやってきました。
去年は入居したばかりで勝手が分からず、てんやわんやでしたが、今年は受け入れ態勢を万全にして、気合を入れてがんばります。

「紺屋2023 夜会2012」

紺屋2023の4周年、イタリアンバーkasaの3周年を記念して行う建物全体を使ったワインイベント。
いつもはオフィスやアトリエとして使われている部屋も、この1日だけすべてオープンになり、各部屋を巡りながら、ワインと食事と会話を楽しんでいただけます。
紺屋2023が1日限りのワインバーに変身する、大がかりなエイプリルフール。
今年の4月1日は日曜なので、お昼の15時から20時までの時間帯でお待ちしています。
日曜の昼下がり、ご家族、ご友人と、あるいはお一人でふらりと、いかがですか?

日時:4月1日(日)15:00 - 20:00
場所:紺屋2023全体
チケット:1,000円 / 3cup(ワインorカップフード)

★同時開催★
イベント1 / 福岡演劇フェスティバル2012前夜祭(仮)

◎場所 : konya-gallery 企画 : アートマネジメントセンター福岡(AMCF)
◎クロストーク
15:30~ 菜月チョビ(劇団鹿殺し)×松野尾亮(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)
17:30~ 石橋美砂(九州日仏学館)×スウェイン佳子(NPO法人コデックス)

イベント2 / ORIGINAL SHOP「Oove」 場所 : konya-stay(#501)

イベント3 / 混浴温泉世界カフェVol.2 in 福岡 場所 : ART BASE 88(#306)

503号室プロジェでも映画に関する催し物を予定。
温かい食べ物を用意してお待ちしております。