こんなの福岡にもほしい!大人のための「蔦屋書店」

芝居のついでに、ぜひ訪れたかったのがここ「おとなTSUTAYA」です。
若者をターゲットにしていたTSUTAYAが、いわゆるおとな、団塊世代に向けて商品を発信することに決めた場所。

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東京・代官山の約4,000坪の敷地に、「代官山 蔦屋書店」を中心とした複合施設、「代官山T-SITE」が誕生しました。Tの文字をモチーフにしたファサードが印象的です。

建築は指名制プロポーザルで、イギリス出身のマーク・ダイサムとイタリア出身のアストリッド・クラインのユニット、クライン ダイサム アーキテクツが選ばれました。デザインワークは原研哉さん、空間演出は池貝知子さんが手がけたそうです。

「ほぼ日刊イトイ新聞」の対談で、TSUTAYAの社長・増田宗昭さんが「代官山オトナ計画」として、今までになかった店舗を展開すると言っていたのを楽しみにまっておりました。
→「ほぼ日刊イトイ新聞」はコチラhttp://www.1101.com/president/masuda-index.html

対談では2011年初夏にオープンといっていたのに、オープンしたという噂もなく、秋に延びたらしいと聞いて心待ちにしていたら、結局12月にオープンだったようです。

建物は3つ。その3つにまたがってマガジンストリート(雑誌コーナー)があり、
その両側に文学、アート、クルマ、料理などと分野分けがされています。

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映画のジャンルでは、廃盤になったりDVD化されていない名作をその場でDVDにしてくれるという画期的なサービスがあります。

音楽のジャンルでは、クラプトンの来日にあわせ、エリック・クラプトン使用のギターが飾ってあったとか。

もっともこだわっているのが人材だそうで、それぞれのジャンルにコンシェルジュと呼ばれる人たちがいる。
1000人ぐらいから選ばれた精鋭たち。
ジャズのライブハウスをやってた人、老舗の大手書店に長年勤めていた人、大手出版社の編集者、旅の達人とか...。

中でも、福岡にほしいと思ったのは、中央部分2階に位置するラウンジ部分。
図書館とカフェバーを融合させたような雰囲気。

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中央にあるカウンター台は本屋美術展のカタログで出来ています。

そして何よりすごいのは、このラウンジの壁をより囲んでいるのは雑誌のバックナンバーです。
平凡パンチやガリバー、アンアンなどマガジンハウスの雑誌はもちろん、エルやエルデコ、新建築、03、写楽など、いまや廃刊、休刊となった雑誌までもがひととおりそろっています。

雑誌好きとしてはたまりません!
毎朝、出勤前に、夜はアフター5に通いたくなる空間です。

お腹がすいたら、cafeダイニング「アイヴィープレイス」へ。
ランチタイムもディナータイムも1時間待ちの大盛況ですが、暇つぶしはいくらでもできますから、名前を記入しておけば、○○時にお越しくださいと案内されます。

今行っておくべき空間でしょう。

韓国の映画チラシ

韓国で映画を見たら「記念に何か持って帰りたい!」のが日本人。
しかしなんと、韓国にはパンフなどの映画グッズがありません。

映画館で唯一手に入るのは映画のチラシ。
ちなみに韓国では人物にフォーカスしたイメージ写真を使う傾向があります。
チラシに書いてある文字が読めないので、実際映画館で見てみたら想像していた内容と違ったりすることもしばしば。

どちらかと言うと内容とドラマ性を重視する日本では、同じ映画でもビジュアルが全く違うものになることも。

日韓のチラシを比べると文化の差まで見えてきて、なかなか面白いので、いくつかピックアップして並べてみました。

原題『きみはペット』→邦題『きみはペット』
→韓国はゴージャス、日本はナチュラル。大ヒット漫画が原作で松潤×小雪でドラマ化されたし、既に日本での知名度は充分。韓国のビジュアルを使わず、あえて作りなおした日本版チラシはチャン・グンソクファンじゃない人にも見に来てほしいという思いが伝わってきますね。

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原題『キム・ジョンウク探し』→邦題『あなたの初恋探します』
→イム・スジョンが"初恋探し株式会社"を運営するコン・ユと一緒に、初恋の人キム・ジョンウクを探すというお話です。韓国のチラシは何の話かさっぱりわからんな...。

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原題『おじさん』→邦題『アジョシ』
→韓国はウォン・ビンいち押し。日本は大ヒットした『レオン』を彷彿とさせるようなドラマ性のあるキャッチとビジュアルです。たくさん賞をとってるすごい映画だよ!という猛アピール。

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原題『下女』→邦題『ハウスメイド』
→韓国もティーザーと本ビジュアル2パターン作るようですが、今回は手に入ったチラシだけを入れてます。もう一枚の韓国のチラシはもろホラーって感じのおどろおどろしいビジュアルです。めがねは日本のチラシの方が好き。サスペンス風でありながら、どこかエロティックな雰囲気。「この家の欲望には果てがない」ってキャッチもいい。

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原題『キム氏漂流記』→邦題『彼とわたしの漂流日記』
→とある小島に流れ着いたキムさん。街は眼と鼻の先なのに、カナヅチで向こう岸まで渡れず、SOSサインもことごとく見過ごされる。仕方なくサバイバル生活を送ることになるんですが、そんな彼の様子を超引きこもり少女が望遠カメラで日々観察するという爆笑映画。この内容で、日本のチラシはなぜ「アート可愛い系」なのだ...。

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原題『糞ハエ』→邦題『息もできない』
→タイトル変えて良かった例ナンバー1ですね。この主演の男性は監督でもあるんですが、韓国であんまり知られてないのに、やっぱりチラシは人物押しするんです。「誰だこの人」のアップで、タイトルが『糞ハエ』って...日本なら即ボツじゃね?

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原題『マザー』→邦題『母なる証明』
→実はこのビジュアルは両方とも韓国で使われています。2種類ある内の1つが日本でも採用されました。最初のビジュアルだったら完全にホラーです。邦題の力もあって、想像を刺激する絶妙なあいまいさが生まれました。

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どっちのビジュアルに惹かれますか?

洋画はこんな感じです。
『コンテイジョン』の韓国のチラシがすごいわ~このビジュアルだと日本では入らないと思う。

『インモータルズ』

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『コンテイジョン』
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『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』

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今週の映画はじめは、
11月7日(月)、天神東宝で行なわれた
『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』完成披露試写会
天神東宝に導入されたばかりの3Dシステムでいち早く見せてもらいました。

作品は、言わずと知れたスティーブン・スピルバーグの監督最新作にして
初のアニメ作品(ですよね?)。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソンと共同プロデュースということで、
そのVFXも世界最強。

これ実写じゃないの?と思わず目を見張るリアルな背景やディテールとともに、
童顔のヒーロー(というか、少年記者か)のタンタンやキュートな相棒犬スノーウィーが
生き生きと活躍する見ごたえある作品でしたよ。

ある日、蚤の市で見事な船の模型を手に入れたことから、
17世紀に海で忽然と姿を消した伝説のユニコーン号をめぐる冒険に巻き込まれていくタンタン。
その模型は伝説の船長が3人の息子に残したもので、
それぞれの模型には宝地図が...とシンプルなストーリーながら、
全編がアニメならではのアイデアとユーモアいっぱいの
スペクタクルな見せ場とアクション・シーンの連続。

特に、砂漠から妄想(回想?)シーンで、海上のシップ・バトルが始まるところとか、
宝のありかが記された3枚のメモをめぐって繰り広げられる
鷹(あるいは鷲?)×犬(スノーウィー)が入り乱れたカーチェイス・シーン
アニメならではの楽しさで、子供に見せたら死ぬほどリピート見するだろうな~と思われるユニークさと痛快さでした。

イラストを観たことがある程度で、全然予備知識なかったのですが、
「タンタンの冒険」はもともとベルギー漫画なんですって。

原作の雰囲気を残しつつも、かなりリアルなルックスの映画版タンタンは、
若干、ディカプリオ似? 
彼のパートナーになる酔っ払いのハドック船長は
かなりのトミー・リー・ジョーンズ似でした。
ちなみにハドックの声は、今話題のアンディ・"猿の惑星"・サーキスです!

女子的には、もう少し感動エッセンスがあればな~!とは思いましたが、
エンタメ冒険モノの3Dアニメとしては、破格の出来。
相棒犬スノーウィーの愛くるしさも半端なく、
見た後は、確実にスノーウィーのぬいぐるみが欲しくなりました(メロメロ)。

『陰陽師 醍醐ノ巻』夢枕獏(文藝春秋)

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夢枕獏の大人気シリーズ。
いろいろとヒット作がある中で、やはり年1回出るこのシリーズが一番好きです。

安部清明と源博雅が、清明の屋敷の簀子縁で庭を眺めながら酒を飲んでいるシーンから始まります。
酒をつぐのは、どこからともなく現れる美しい女の形をした清明の式神。

やがて最近都で起こる怪異の噂話や清明の元に持ってこられた相談事の話になり、お互いに誘いあって「ゆくか」「ゆこう」という事になる。

事件が解決すると、また清明の屋敷で酒を酌み交わします。

春は桜の木の下、あるいは藤の花が薫る中で、夏は鈴虫の声に耳を澄まし、冬は火鉢にあたりながら、四季を通じてゆるゆると酒を酌み交わす2人の様子が何とも風情があっていい。

やたらと酒が飲みたくなる本です。

朗読執事

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朗読執事」は、利用者が買った本を執事が朗読してくれるというタイトルそのままのアプリです。

「お嬢様、おぼっちゃま、ご主人様、奥様」の四種類から"呼ばれ方"が選べます。

ちょいちょい執事のマークから「『高瀬舟』は森鴎外先生の名作です。二人の兄弟愛の形ぜひ聞いてください」とか
「太宰先生の『ヴィヨンの妻』を書庫から見つけたのですが、お読みしますか?」という内容のメールが来ます。

発想は素晴らしい。
...ただ、執事に読んでもらえるラインナップが地味すぎます。

『変身』フランツ・カフカ、『ごんぎつね』新美南吉、『幸福の王子』オスカー・ワイルド、『ガリバー旅行記』、ジョナサン・スウィフト、『まだらの紐』コナン・ドイル、『羅生門』芥川龍之介、『白雪姫』グリム、『眠る森のお姫さま』シャルル・ペロー、『ヴィヨンの妻』太宰治、『高瀬舟』森鴎外、『アッシャー家の崩壊』エドガー・アラン・ポー、『雪女』小泉八雲

...なんだこれ。

『ごんぎつね』はとてもいい話ですが、わざわざ執事に読んでほしくて買う本ですか。
あるいは『変身』なんて気持ち悪い描写満載の小説を、あえて執事に読ませましょうという高度な逆萌え発想なのか。

製作会社の意図が見えません。

そこでめがねが勝手に執事に読んでほしい本をセレクトしてみました。
ちょいちょい執事のコメントを挟んでいただきたい。

坂東眞理子『女性の品格』を読んでもらいながら「お嬢様も立派なレディにおなりください」と言わせたい。

あるいは、三島由紀夫『レター教室』も真面目に朗読されると楽しいかも。

イギリスにいる同僚の話という設定でカズオ・イシグロ『日の名残り』もいいですね。

執事が読むハーレクインロマンスも捨てがたいなあ。
「続きは明日。お嬢様、今夜はもうお休みください」と言われて、もどかしく就寝したい。

試しに買った『羅生門』以降、どんなに執事が勧めてきても買う気になれない本ばかりですが、今後の進化に期待して、このアプリは消さないで残しておきます。

ちなみに男性の皆様向けには「朗読少女」があるので、チェックしてみてください。