「下谷万年町物語」と「寿歌(ほぎうた)」、いずれも1980年前後に初演です

1981年、現在はパルコ劇場である西武劇場で、作・唐十郎&演出・蜷川幸雄のコンビで上演されたのが「下谷万年町物語」

出演者数は男娼役だけで100人以上、本水を使った大きな池や舞台を覆う長屋のセットとその大規模な舞台に驚いた初演だったそうで。
残念ながら見ていません。

その再演は実現不可能として語り継がれていました。
しかし、それから20年あまり経った2012年、シアターコクーンの再オープン杮落としに、あの舞台がよみがえったのです。

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唐十郎が幼年期をすごした「下谷万年町」を舞台にした超大作です。
敗戦直後、社会の底辺で力強く生きる人間たちのすさまじいエネルギーを描きます。

出演は宮沢りえ 藤原竜也 AAAの西島隆弘くん。
この西島くんが良かった!

昭和の少年を見事に演じてました。
音楽グループAAAのメインボーカル、オーディションに合格してAAA結成したらしいです。
園子温監督の話題作、「愛のむきだし」では主演を務めています。

さすが、蜷川さんの男を見る目(?)は確かですねえ。

初演では、宮沢りえの役はもちろん李礼仙が、そして藤原くんの役を当時新人だった渡辺謙さんが演じていたそうです。

3時間半の長丁場、ストーリーの意味はほとんど分かりません。

そこで、思い出しました!
唐さんの舞台は、赤テントで見たときも延々4時間くらいあって、その間、ほとんどストーリーは分からないし、狭いテントの中で芝居を見続けるって修行みたいだなあと思ったことを。
それでも、迫力がすごくてずっしり何かは伝わってきてたんです。

でも今回は、舞台は美しくなったしお金もかかってるけど、エネルギーは伝わってこなかったです。
西島くんを見られたことが収穫かな。

さて、もう1本は劇作家の北村想が1979年に書いた「寿歌(ほぎうた)」を見ました。

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こちらは主役の堤真一が見たくて。
共演は戸田恵梨香と新感線の橋本じゅんさん。

この舞台、私は知らなかったのですが、80年代の小劇場演劇の幕を開けたエポックメーキングな作品であり、現在の高校演劇の基礎までも作ったという作品らしいです。

物語は近未来、核戦争で全てが瓦礫となった世界。誰もいなくなった世界に、芸人のゲサクとキョウコはリヤカーをひいて歩いている。行く先々で芸を見せながら食いつないでいく。しかし回りは、人の気配などまるでない。そこへ、ヤスオという男が現れる。

そういう3人だけの舞台です。
ゲサクは戯作、キョウコは虚無、ヤスオはヤソ。テーマは世界の終わり。

でも、オール関西弁で乗り切り方が妙に明るい。
前向きなのです。
この上演は東日本大震災の前に決まっていたそうですが、放射能が降ってくるとか、ガレキの世界とか、この時期に見ると、身近に感じてしまいます。

この作品が日本の演劇史に残した意味はとても大きいらしい。
演出は千葉哲也、また再演されたら見てください。

でもこれも、ストーリーはほとんど分かりません。
ま、見た!ということに意味があるということで。

華がある!キレがある!すごいぞ!堂本光一くんのパフォーマーぶり

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とうとう「博多座」に「Endless SHOCK」が登場です。

これまた超・超プレミアチケット!
チケット入手の倍率たるやどれほどなんだろう?
そんなチケットを何とか手に入れ、観劇しました。

そして驚きました!その舞台の完成度と光一くんのパフォーマンスに!

堂本光一くんが座長・主演を務めるミュージカル作品シリーズで、2000年11月、「MILLENNIUM SHOCK」が帝国劇場にて初演、以後タイトルや演出を変えて毎年帝国劇場で上演されています。

作・演出は、ギネスブックにも演出数の多さで登録されたジャニー喜多川さん。
2008年には「Endless SHOCK」の高い舞台成果に対して、スタッフ・出演者一同が第33回「菊田一夫演劇大賞」を受賞しています。納得です!

誰もが知っているようなミュージカルナンバーや、オリジナル曲を組み合わせ、ニューヨークのブロードウェイを物語の主な舞台としています。
でも、この舞台の見所は、大規模なマジック(イリュージョン)も盛り込み、あの有名な8メートルの高さから落ちるという階段など、「5分に1回は観客を驚かせる」と、派手かつ危険な演出でしょう。

私が何より、美しいと感じたのはフライング!
シルク・ド・ソレイユのフライングにも負けてません。
特に赤い布を手と腕だけに巻きつけながら命綱もなしに飛び上がる様は天使です。

そして、こんなにもダンスが上手いとは知りませんでした。
ハードな振り付けにもかかわらず、誰よりもキレがあり、華がある光一くんのダンス。
テレビではまったく想像できないパフォーマーとしての光一くんが見られます。

また来年の博多座公演を期待したいですねえ。

福祉をかえる「アート化」セミナーに参加

平成23年度の福岡市共働事業提案制度として採択された「障がい者アートプロジェクト事業」のプロジェクトのもう一つの催しとして、1月14日(土)~15日(日)の2日間「福祉をかえる『アート化』セミナー福岡」が開催されました。

九州で初めての開催、障がいのある人たちのアート活動を仕事として開拓するために、人材育成とともに障がいのある人たちの新しい仕事を生み出すノウハウを学ぶというセミナー。

障がいのある人たちのアート活動は全国的に盛んになり、福岡市内でも活動の中心としている事業所や作業所が増えてきています。
しかし、Tシャツやカレンダーなど事業所ごとのオリジナル商品としての展開は増えつつも、著作権の2次使用や企業などとの商品展開、また、作品を販売する巡回展など、施設外での販路や公共へのアウトプットは未だ発展途上の状況です。

このセミナーでは「障がいのある人たちのアート活動の可能性を広げる」を目的に、福祉施設スタッフや表現活動をサポートする人たちを対象に、アート活動の可能性を考える講義をはじめ、作品や著作権などの管理、アートを仕事に展開するノウハウなどを学ぶというもの。

なぜ、私が参加したかというと、実は、このセミナー主催者のひとつである障害福祉サービス事業所「工房まる」の理事なんかをしとるのです。

きっかけは、10年ほど前、九州大学大学院の修士課程時代に、福岡市内の福祉作業所、福祉施設の実態を調査するというアルバイトをして、30ヵ所ほど回りました。
その中に、まだ無認可の福祉作業所だった「工房まる」と出会い、それ以来応援してきたわけです。

福祉作業所の多くが、アルミ缶の収集やビーズ刺繍、クッキー、石鹸などを作って収益をあげているなか、障がい者の人たちが描いた作品で収益をあげているのを見て、可能性を感じました。

そして、それらのモデルとなっているのが、奈良県にある「たんぽぽの家」だと知りました。 

今回のセミナーで基調講演をされたのが、「たんぽぽの家」を創設した播磨靖夫さんです。

播磨さんは平成21年度の芸術選奨 文部科学大臣賞(芸術振興部門)を受賞されています。

受賞理由は「早くから社会福祉活動の中にその重要な要素として芸術活動を位置づけてきた先駆者の一人。特に、周縁にあると考えられていた「障害者アート」を大きく見直し、それぞれの表現の違いを個性として捉え、障害者の表現こそが、芸術活動の全体を多様化し、芸術運動として既存の規範を超えるものとして「エイブル・アート」を提唱した。これにより福祉の分野と芸術分野の双方に大きな果実をもたらした。国際的な貢献も大きく、播磨氏は、長年にわたる活動のひとつである「わたぼうし音楽祭」をアジア太平洋にも広げ、平成21年には10以上の国際ネットワークを樹立するに至った。」というもの。

播磨さんはもともと新聞記者で、高度成長期に取材をしながら、この繁栄の中で置き去りにされている人たちがいると感じ、置き去りにされてきた人たちをどうにかしたいとの思いから障がいのある人たちの施設づくりを思い立ったそうです。

もう人間的にも魅力たっぷりの方で、話してても飲んでても楽しい!
ずっと話をしていたいと思わせる方です。
機会があったら、ぜひ奈良県の「たんぽぽの家」を訪問してください。

播磨さんの影響を受けて福祉施設を運営している人が、いまや全国にたくさんいます。このアート化セミナーも、運営母体となっている「アート・エイブル・カンパニー」も「たんぽぽの家」から出発しました。

これを読んでちょっとでも興味を持たれたら「工房まる」でも遊びにきてください。

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→Able Art Companyのアート作品をご覧になりたい方はこちらから
http://www.ableartcom.jp/top.php

年末年始の芝居・コンサート報告

2011年の年の瀬から2012年の年明けまで、観劇三昧でした。

12月23日は、もう福岡で恒例行事となった「博多座文楽」人間国宝6人が毎年来てくれます
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昼の部、夜の部、ずっと博多座におりました。
必見は義太夫の竹本住太夫さんと、人形遣いの吉田蓑助さんですが、住太夫さんは87歳、蓑助さんは78歳というご高齢ながら、その義太夫節の心のこもり方と蓑助さんが操る人形のあだっぽさは耳と目を見張るばかりです。

ほとんどの場合、住太夫さんと蓑助さんは昼の部と夜の部に分けられるので、どちらも見なければならない状況となります。
文楽未見の方は、今年ぜひ!

翌日の24日は久保田利伸のコンサート、福岡市民会館というキャパ1,100人ほどの比較的小さなホールで行われました。(この市民会館好きなミュージシャンは多いらしい。3階席までが舞台に近いので、ライブハウスのような空間。山下達郎もここが好き。)

25周年記念ライブなので、懐かしい曲が中心。
会場はもう踊りだす客もいて、ディスコ状態でした。
10年ぶりくらいの久保田のライブ、幸せな時間でした。

27日は辻井伸行くんのソロリサイタル
辻井くんのツアーにはUBSグループというスポンサーが付いておりましたが、ここ、スイスに本店を置く個人富裕層を顧客にしている金融会社。
会場のアクロスにも、お金持ちそうな方々がいらっしゃっておりましたよ。

曲目はモーツァルトとベートーヴェン。
初めての鑑賞でしたが、ランランもビックリの速弾きでした。
アンコールで弾いてくれたカーネギーホール公演のために作ったという「ジェニーへのオマージュ」まで、心が洗われるような演奏です。

そして、31日の大晦日にふさわしい「ローキーホラーショー」!!
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そう、あの伝説のロックミュージカル!
主役は劇団新感線の古田新太、演出はいのうえひでのり、これまでの日本公演に出演した藤木孝、ROLLY,岡本健一も総出演です。

古田新太が痩せたのは、このためだったのか!と認識。
2時間ほどの公演でしたが、アンコールでは大晦日ということで、観客も混じって「第九」の大合唱
いやあ、楽しかったああ!!

2012年、年明けはタイガースですよ。
沢田研二のコンサートとしか知らされてなかったのですが、実はサリーもタローも、ピーも復帰のタイガース公演。
曲は全曲、タイガース時代のものなので歌えるんですなあ。
観客もほとんどがアラ60。

ジュリーが太ったとはいえ、その歌声は変わらず。
驚くのはピーの変わらない体型とドラムの技術
高校の教師をしていたので、ハンディは大きいはず。なのに、技術と体力は衰えず!すごい!
タイガースは1967年から1971年までのたった4年間しか活動してなかったことを初めて知りました。

1月8日は北九州芸術劇場で「90ミニッツ」。
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三谷幸喜生誕周年記念最後の芝居です。
登場人物は西村雅彦と近藤芳正二人だけ。
実際に起こったことを題材にした医療問題がテーマですが、なぜ今、このテーマを選んだのか。

三谷さん生誕50周年の新作は4本。
「国民の映画」「ペッジパードン」「ろくでなし啄木」とこれ。
ナチス時代の映画政策、夏目漱石、石川啄木、そして医療の話。
ペッジパードンだけは見逃しましたが、三谷さんのテーマ選び、興味あります。

新年早々にあった「中居のかけ算」は萩本欽一×三谷幸喜×中居正広の初顔合わせが面白かった。
もっとも感心したのは、中居くんのインタビュー力でした。

今年も芝居にミュージカル、コンサートと楽しむ1年とします!

福岡のクリスマスイルミネーションです!

天神の警固公園
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キャナルシティ博多
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博多駅前
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どのイルミネーションが好きですか?