糸井重里という人...

1948年生まれというから、いわゆる団塊の世代の人。
昔なら西武デパートの名コピーライターとして有名だけど、私が面白いなあと思い始めたのはパルコ出版が作っていた「ビックリハウス」の読者投稿ページ「ヘンタイよいこ新聞」です。

「シティ情報ふくおか」の創刊のころ、ちなみに創刊は1976年(福岡に天神地下街ができ、天神コアもできた頃)「シティ情報ふくおか」は父なる「ぴあ」母なる「ビックリハウス」と言ってました。

つまり、情報ページは「ぴあ」に習い、読者ページは「ビックリハウス」を参考にしておったとです。

私自身は「ぴあ」よりも「ビックリハウス」を隈なく読んでおりました。
そしてパルコというところに憧れ、西武というグループ会社に注目し、渋谷の街が若者の街に変わっていくのを福岡の地から遠く眺めておりました。流通と媒体と街がこんなふうに融合していくのだなと。
ま、こんな話はまたいずれ。

今回は糸井さんの話です。

「ヘンタイよいこ新聞」の前には沢田研二の「TOKIO」を作詞し、矢沢永吉の自伝本「成りあがり」の構成・編集を手がけ、スナックなどの飲み屋で自慢げにマッチやナプキンを使って披露する芸をまとめた「スナック芸大全」をまとめ、NHK教育では「YOU」という若者番組の司会をしてました。

そして1998年に「ほぼ日刊イトイ新聞」なるサイトをスタートさせました。

そう、糸井重里は時代とともに歩いている人だと思うんです。
たぶんそれは、糸井さん自身の興味対象が時代とともに変わってきてるからでしょう。

すごいのはそれを仕事にしていること!

「ほぼ日刊イトイ新聞」は1日の総ページビューが約140万という有名サイトです。
ここから「ほぼ日手帳」とか土鍋とか料理本とかいろいろなオリジナル商品が生まれています。  

私も毎日サイトを開いている一人ですが、何よりも読み物が面白い
執筆者や対談相手も多彩。
タモリ矢沢永吉鶴瓶さんイチロー明石家さんまから谷川俊太郎天海祐希市川染五郎などなど。

シリーズ連載がこれまた毎日チェックしたくなるような見せ方と文章なんです。
要はとても優れた編集者と聞き手、ライターがいる編集プロダクションの成せる技なんですね。
文字ばかりでなく写真やイラストが有効に使われ、対談形式も思わず読んでしまう構成です。
バックナンバーがすべて読めるのでチェックしてお気に入りを見つけてください。

おすすめは「われら、ほぼ日感劇団。」
この1回目は劇団・新感線の「朧の森に棲む鬼」ですから。
市川染五郎と糸井さんが対談していて、それはDVDの副音声になっています。

それから「社長に学べ!」シリーズ
任天堂やTSUTAYAの社長など、糸井さんが気になっている社長との対談。

そしてそしておすすめは、荒俣宏さんの「めくるめく愛書家の世界」。
荒俣さんは大の古書好きで知られていますが、それは半端な古書じゃないことがこれを読むと分かります。

今連載中の太田和彦プラス大沢在昌 居酒屋幼稚園」、これ笑えます。
居酒屋探訪家の太田さんのマニアともいえる大沢さんが居酒屋の指南を受けるわけです。
六本木のクラブには一人で行ける大沢さんがなぜか、居酒屋には一人で行けないと。

どんな雑誌よりも今、チェックすべきはこのサイトです。
先日の「BRUTUS」では全編、糸井重里特集でした。

気になる人は多いんですよ。

あの「家族」にまた会いたかった!

4月16日土曜日、北九州芸術劇場で行われる話題の舞台「焼肉ドラゴン」を見に行きました。

この舞台、2008年に東京・ソウルで上演され、どちらの国でもで毎回スタンディング・オベーションとなる熱狂的な反応で迎えられた舞台です。
その年の演劇賞を総なめにした話題作でもあり、東京で今年再演されると聞いて、2月に新国立劇場にも見に行きました。

1970年開催の大阪万博に合わせ、急ピッチで開発された1969~71年の関西の地方都市が舞台。
国有地を不法占拠する在日韓国人集落が立ち退きを迫られる物語でもあります。
一生懸命働いているのに貧しい、でも家族や近所の付き合いが人間くさい時代のありふれた風景が消えてゆく様子が描かれます。
在日韓国人の家族がモデルではありますが、日本人も同じような貧しさの中で明るく懸命に生きていた時代だからこそ、見ていて懐かしい気持ちになるのです。

なんといっても、お父さん、お母さんも演じる役者の存在感がすごい!
演じるのは韓国人の申哲振、高秀喜さん。

作・演出は在日3世の鄭義信(チョン・ウィシン/てい よしのぶ)さん。
映画「血と骨」「月はどっちに出ている」などで在日を描いています。

舞台のあと、アフタートークで出演されました。
国有地からの立ち退きは、兵庫県姫路市の実家の体験が元にあるとか。
実際に万博で消えていった集落も取材したそうです。
「1970年前後は、日本の共同体そのものが崩壊を始めた時代。万博が日本のターニングポイントだったと思う」
と語っていました。
新国立劇場とソウルの「芸術の殿堂」という日韓の国立劇場が制作する舞台ですが、そんな立派な劇場を焼肉の匂いでいっぱいにしたかったとも。

いまや、堤 真一&草彅 剛の二人舞台「K2」などの演出家としても知られる千葉哲也さんが、在日の問題を一人で抱え込む青年として出演。

開演前に会場に入ると、もうそこでは舞台が始まっています。
韓国の音楽を演奏しながらホルモン焼きの臭いが漂っています。

"語り部"である一人息子・時生(トキオ)が、最初と最後、屋根の上から思いを伝えるのですが、これに泣かされました。
最初と最後、時生が語るときに桜の花びらが舞台に散ってくるのですが、これがまた美しくて哀しいのです。

ちょうど、桜散るこの季節に、またこの家族に出会えて嬉しかったなあ。

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これが舞台となった焼肉ドラゴン。ホルモンの臭いがしてきます。(模型)

TSUTAYA福岡ビル店に行ってビックリ!

福岡ビル(中央区天神1)に4月11日、「TSUTAYA(ツタヤ)天神駅前福岡ビル店」がオープンしました。
場所は「丸善書店」の跡、2階・3階です。総売り場面積は964坪という広さで、2階は中古本「ecobooks」、
それに中古DVD・CDがあり、新刊書籍もそろっています。
ついでに、「カフェ・ド・クリエ」では、未購入の本が読めるとか。
オープンすぐというのもあるのでしょうが、とにかく良く揃っています。

中古本は文庫・文芸・雑誌・専門書など24万冊、中古DVD・CDは4万枚だそうです。
3階はDVD・CD・コミックレンタル、ゲーム販売。レンタルは西日本最大の7万タイトル、10万枚。
昼休みの時間では見足りない。それに海外作家の文庫本は1冊105円ですし、日本作家の文芸物も105円。
ばったり会った椎葉ユウさんは、町田康の書籍が105円だったので、救出してあげなくては!と購入していました。
DVDもミュージシャンもの、アジア系映画など、500円以下です。これは早い者勝ちでしょうね。
新聞によると、「『ツタヤ=若者』のイメージが強いが、福岡ビルの特性に合わせて40~50代向けに
アーティストの懐かしい作品も豊富にそろえたほか、内装も他店舗に比べて落ち着いた雰囲気に仕上げた」と
櫻澤圭一店長が言っています。

そしてそれを裏付けるように特別コーナーが設置してあって、私は驚きましたよ!
なんと、「シティ情報ふくおか」のバックナンバーがずらりと揃っていたからです!
それも、プレ創刊号から。ま、そこから関わった者としては複雑な気持ちでした。
飾ってあるだけかと思ったら、売ってました。プレ創刊号と創刊号はなんと!2500円でした。
判型がA5判の小さい頃のは1500円。いったい、誰が持っていたのか、誰が売ったのか??と素朴な疑問が。
ちなみに、私はバックナンバー、1冊も持っていません。
どうも、これがこのTSUTAYA福岡ビル店オープンの目玉の一つのようです。
シャメでもしようかと思いましたが、その勇気はありませんでした。
他にも、福岡の音楽バー店主らがすすめるCDを集めた「音・店・人(おとてんじん)福岡」コーナーなども展開するそうです。
欲しいものをゲットしたいなら、早めの来店をお勧めします。

天神経済新聞の「シティ情報ふくおか」コーナーを伝える記事

こんな時期ですが、花見をしました。

今年は寒い時期が長かったこともあり、久しぶりに、4月中旬まで桜が美しく咲いていました。
桜の下で宴会するというのは、ちょっと心苦しく感じるようにも思いましたが、
せっかく今年も咲いてくれた桜に感謝しながら、花見をしました。

桜といえば、日本のシンボルとなっていますが、先日NHKの「歴史秘話ヒストリア」を見ていたら、
日本で最初に桜を愛してやまなかった天皇の話がありました。
平安時代のお話です。
それまで日本で花見といえば、中国の影響もあり「梅」だったんです。
しかし、平安時代の嵯峨天皇は偶然見かけた桜の美しさに心奪われます。
その桜を見るため乗っていた牛車を3回も戻らせたという嵯峨天皇。
やがて平安貴族のあいだで桜は大ブームとなりました。
それ以来、桜は歌にも詠われ、源氏物語などにも登場して、日本人に愛される花になったようです。

ところが時代は移り、桜の花に危機が訪れます。
それは明治時代、時は文明開化、洋館の建築ラッシュによって江戸の桜は次々と伐られていました。
江戸の植木職人たちは生き残った桜を東京の荒川土手に根づかせるべく試行錯誤を始めます。
あまたの苦難と歳月を経て、3千本以上の桜並木が完成。
それは戦争の惨禍を越え、日本の桜を現代に守り伝える場所にもなります。

桜という木は、放っておくと数十年で枯れてしまうそうです。
福岡にも桜の名所はいくつかありますが、どれも数十年前に植えられたものです。
それを絶やさないように、桜を愛する団体が桜を植樹してくれていますが、
ずっとそれを続けていかないと桜を楽しむことはできません。
誰かが植え続けてくれているのです。
それに感謝しながら舞鶴公園のしだれ桜並木のところで花見をいたしました。
桜 アストロさん小.jpg
新緑の緑とピンクのコントラスト、風が吹くと起こる桜吹雪、花びらが地面に落ちて美しい花むしろ...
花むしろ アストロさん.jpg
...心から楽しめる花見はいつになったらできるでしょうか?


河出文庫30周年のキャンペーンは要注目!

昼休みの楽しみは職場近くの本屋さんをぐるぐる回ること。
以前は丸善さんもありましたが、JR博多シティに移転されましたので、
もう1つの巨大書店・ジュンク堂さんにお邪魔しています。
でもこの二つの書店は統合されたんですよね。
だから丸善&ジュンク堂書店です。

ネットで本を買うのも良いですが、書店めぐりで楽しいのは思いがけない本に出会えることです。
今日もそうでした。
思いがけないといいうよりは、懐かしい本たちだったんですけど。
文庫が並ぶ棚に特集してあったのが、河出書房の文庫。

河出文庫30周年記念キャンペーンだそうです。
「30周年に掲げたキャッチフレーズは、
読み継げば、どこへだって行ける」。
知的好奇心に満ちた電車に乗り、ジャンルを超えてどこまでも旅を続けられる――
そんな文庫を目指します。
皆さんもぜひ河出文庫という切符を手に、新しい旅に出かけてみてください。

その中に私の青春時代に読みふけったものがありました。
澁澤龍彦の著書たちです。
唐十郎状況劇場寺山修司天井桟敷などにはまっていた頃、その周りには澁澤龍彦の名前がありました。
澁澤の手にかかると、善と悪、天使と怪物、普通の人と奇人、太陽と月...
どちらが魅力的かといえば、善より悪、怪物、奇人、月のほうが魅力的に感じてしまうのです。
世俗的なものが何の魅力もないものに思えてしまう感性が、私の中に養われていきました。
たとえば「幻想の画廊から」で、初めてシュルレアリスムを知り、バルテュス、マグリット、ダリ、
マックス・エルンスト、エッシャーの名を知りました。
美術に惹かれたきっかけでもあります。
澁澤の文章はちょっと難解ですが、それがまた大人な感じで、なんとか理解したいと頑張ったもんです。

河出文庫コレクションは...
「東西不思議物語 」 「世界悪女物語」 「妖人奇人館」 「異端の肖像」 「幻想の肖像」 「幻想の彼方へ」 
「黒魔術の手帖」 「毒薬の手帖」 「秘密結社の手帖」 「華やかな食物誌」 「女のエピソード」  
「エロスの解剖」 「記憶の遠近法」 「夢の宇宙誌」 「思考の紋章学」 「胡桃の中の世界」 
「ヨーロッパの乳房」 「黄金時代」 「悪魔の中世」 「サド侯爵あるいは城と牢獄」 
「城 夢想と現実のモニュメント」 「太陽王と月の王」 「旅のモザイク」 「夢のある部屋」 「洞窟の偶像」
 「世紀末画廊」 「幸福は永遠に女だけのものだ」

タイトルだけ読んでも心ときめきます。