久しぶりに上海、行ってきました!

3年ぶりくらいに上海に行ってきました。

今の研究「高齢社会」に関する専門家会議があったのでそれに出席するため、出張してきました。
万博以前の上海しか知らないので、どんなに変わっているか、物価がどれほど上がっているか気になったのですが、なにせ、学会発表みたいなもので、ずっと会議室に缶詰め。
朝は8時半から夕方6時まで発表を聞いて、その後は用意された上海料理の宴会場でご飯を食べる...。それで終わりです。

でも、この専門家会議がすごいのは、日本、韓国、中国の高齢者研究者たちが40人ほど集まってきて最新のデータや課題を報告することです。今年で17回目だとか。
日本、韓国、中国で会場を1年ごとに変えながらこの会議を続けているそうです。
昨年は上海万博だったため、昨年も上海、だから2年続けてということです。

今回の会場は上海社会科学院というところ。
中国で社会科学院というのは、最高レベルの人文科学の学術研究機関であると同時に中央政府機関であり、中央政府あるいは地方政府政策立案のシンクタンクでもあります。
上海社会科学院は中国社会科学院に次ぐもので、地方ではもっとも大きいアカデミー。なので学生などはいません。政府のブレーンといった立場でしょうか。

日本でも中国でも、そして韓国でも大問題なのが少子高齢社会の到来です。

日本が先に高齢社会を迎えていますが、韓国は2019年に、中国は2024年に高齢社会を迎えます。
ちなみに高齢化社会というのは、65歳以上の人口が全人口の7%、高齢社会は14%になったとき。
日本は1994年に高齢社会となりました。
そのために制度としてつくってきた年金や介護保険など、これから韓国や中国が必要に迫られてくるということです。
制度だけではなく、サービスや住宅、交通や建築のバリアフリーの取り組みなども重要なんです。

共通する課題は、いかに元気な高齢者でいてもらうかということ
 
WHO(国際保健機構)が提唱しているのはアクティブ・エイジング(Active Ageing) 、人が有意義に年をとるには、長くなった人生において健康で、社会に参加し、安全に生活する最適な機会が常になければならない としています。

...こんな研究もしていますという報告でした!


→高齢者専門家会議風景
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→上海社会科学研究院の前で
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→宴会後に披露された上海の高齢者たちのダンス 皆さん、きれいです!
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13の顔を持つ男・伊丹十三

今年の連休は地味に四国に行きました。
それも別府からフェリーで...。
4月29日に別府鉄輪の冨士やギャラリーというところで、ヴィオラの世界的奏者・川本嘉子さんのリサイタルがあり、それを楽しんだ翌早朝、5時半出発のフェリーで四国・八幡浜へ。
そこからJR四国で松山に行き、さらにバスで「伊丹十三記念館」にたどりつきました。
ほぼ5時間の移動です。

伊丹さんのお父さん、伊丹万作さんの出身地で伊丹さん自身が高校生時代を過ごした、松山。
夏目漱石の『坊っちゃん』の舞台としても有名な松山に伊丹十三記念館があります。
黒い平屋で落ち着いた建物の真ん中が明るい庭になっています。

建築家は住宅建築で有名な中村好文さん。
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伊丹さんを知っている人は少なくなってきたかもしれませんが、本当に多才(多彩)な人でした。
商業デザイナー、俳優、エッセイスト、TVマン、雑誌編集長、映画監督と興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮した人でした。
また、音楽愛好家、猫好き、乗り物マニア、料理通など、趣味人としても一流の見識を持っていたことは有名です。

私は伊丹さんの「ヨーロッパ退屈日記」を読んでスパゲティにアルデンテという湯がき方があること、カクテルのこだわり、フランス料理店には星があること、車はやっぱりヨーロッパ車がカッコいいとか知りました。
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「常設展示室」には、伊丹十三の足跡を具体的な資料でたどることができるよう、十三の名前にちなむ13のコーナーが設けてあります。
狭いスペースなのに、作品の並べ方やイラストの見せ方が凝っていて、見るのに1時間くらいはゆうにかかりました。

見終わって庭をぐるっと回ってベンチなどに腰掛けて、ゆっくり時間を過ごします。
そして小腹がすいたので併設された「カフェ・タンポポ」へ。
ここでは、記念館の形を模して作られたチョコレートケーキや人気のチーズケーキ、それに愛媛県特産のみかんのジュースがあります。
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伊丹さんがCMを手がけて有名になった「一六タルト」が作った十三饅頭がこれまた美味しかった!

壁には伊丹さんが描いた映画のポスターの原画や、お父さんの万作さんが伊丹さんが生まれたときに描いたという絵も展示されています。

カフェでお茶しているとスタッフの方が来られて、写真とコメントを記念館のホームページに掲載していいかと言われたので、喜んでOKしました。
5月6日金曜日から12日木曜日まで掲載されています→コチラ
ぜひのぞいてみてください。


→車は最後の愛車、意義深かったのベントレー。ウィリアム王子の結婚式もこれでした!
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岡本太郎記念館に行ってきました!

東京に出張してました。
噂どおり、東京は暗い!
コンビニも百貨店もレストランも地下道も昼間なのに暗い!
地下鉄もエスカレーターが動いてないため、すべて階段です。
スーツケースを持って移動している人や高齢者は大変だと思います。

仕事が表参道だったので、近くのホテルに宿泊し、午前中は根津美術館で杜若屏風を見ようよ張り切って行ったら休館でした。
しかたないので、その近くにある岡本太郎記念館に行くことにしたんです。

岡本太郎は1911年生まれなので、今年が生誕100年
だからさまざまなイベントや展覧会、そしてテレビドラマや特集が組まれているのです。

岡本太郎記念館は私立美術館。ここは、岡本太郎が1953年から1996年、84歳で没するまでアトリエを兼ねた住居として使用していた建物を記念館としたものです。
膨大な数の彫刻、デッサンなどが展示保存されており、1階には岡本が使用した筆や絵具、また応接間が再現、そこには岡本太郎の人形が立ち、ちょっと驚かされます。
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2階にはあの「太陽の塔」のミニチュア版や、その塔の中にうごめいていた「生命の樹」の20分の1のフィギュアが飾られています。
小さいとはいえ、フィギュア製作では有名な海洋堂が復元したもので、単細胞生物から恐竜、人類まで、進化する生物がびっしり張り付いていました。
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楽しいのは庭!
生前はこの庭で彫刻を彫っていたそうです。

狭い庭に所狭しと大きな彫刻がランダムに置かれていますが、迫力なのは「若い太陽」像と「乙女像」

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あまりに気に入ったので、携帯の待ち受け画面にしてしまいました。
入場料は600円、すべて写真撮影OKです。

どうしても見たかった「国民の映画」でした!

今年、生誕50周年を迎える三谷幸喜さん。
この記念すべき1年を「三谷幸喜大感謝祭」と銘打ち、4本の新作舞台を書き下ろします。

その中の1本が「国民の映画」。
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「国民の映画」は4本の新作の中で唯一三谷幸喜自身の企画であるとのこと。

出演者にはなんと!
三谷作品初出演という段田安則、風間杜夫をはじめ、ミュージカル界で活躍のシルビア・グラブ、新妻聖子、そして三谷作品には欠かせない俳優陣である小日向文世、石田ゆり子、小林隆、そして、2003年の「オケピ!」ぶりの登板となる白井晃。

1月の「ろくでなし啄木」に続いて、どうしても見たかった芝居でした。
しかし、震災があって3月のパルコ劇場には行けず、大阪の公演もタイミングが合わず、神奈川芸術劇場で最後の公演があると聞き、チケットを関係者に無理やりお願いして見に行きました。 

物語は1941年のベルリン。
ヒトラー内閣の宣伝大臣ゲッベルス(小日向文世)とその妻マグダ(石田ゆり子)は、映画監督のヤニングス(風間杜夫)やリーフェンシュタール(新妻聖子)ら映画関係者や、自著が焼き払われながらもナチスに立ち向かう人気作家ケストナー(今井朋彦)を自宅に招き、パーティーを開いています。
映画好きのゲッベルスは、アメリカ映画の『風と共に去りぬ』を超える、全ドイツ国民が誇りに思えるような「国民の映画」を作ろうと考えており、そのプレゼンテーションをするために皆を集めていたのです。しかし呼んでもいない客、ナチス親衛隊指導者・ヒムラー(段田安則)や、空軍総司令官ゲーリング(白井晃)まで自宅にやって来て波乱が起こるのですが。

重たいテーマを笑いを交えて演出しながら、最後はグサッと大きな衝撃を胸に突き刺してくる舞台でした。

三谷さんが、このテーマに興味を持ったのは、小学生の頃に読んだ水木しげるさんの漫画「劇画ヒットラー」だったので
「構想約40年の壮大な企画」だとか。
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普通の人がヒットラーに出会ったことで、狂気の世界に入り込んでいく様を描きたかったと語っています。

だからこそ、普通の人にしか見えない小日向さんにゲッペルスを演じさせたかったのでしょう。
巨漢だったとされるゲーリングを白井さんが演じてますが、衣装の下には肉襦袢付けてました。
三谷作品初とは信じられない段田さんのヒムラー、滑稽さと怖さが入り混じる役を、あの声で演じています。
これまた三谷作品初という風間さんもしたたかな、そして時代の権力者に調子を合わせて生きてきた映画監督を軽やかに演じていました。
そして時代の権力者に調子を合わせて生きてきたけど、最後は権力にはっきり反旗を翻す映画監督を「らしく」演じていました。

生のピアノ演奏に合わせて、さも当時のドイツで歌われていたかのような歌を、高らかに歌い上げるのはシルビア・グラブと新妻聖子さん。
せっかく歌が上手い女優がいるのだから、歌を聴きたいと三谷さんが望んだそうです。
なので、歌われるのは舞台オリジナルの曲。

そして、何より最後にグサッと胸に刺さるのが小林隆さん演じる、ゲッペルスの執事・フリッツです。

思い出しても恐ろしい言葉と光景です。

結局、ゲッペルスが「風とともに去りぬ」に対抗して製作したのは「ほら男爵の冒険」という映画だったそうで、後世の私たちが知らないということは全く話題にもならなかったってことでしょうね。

掘り出し物を見つけに通っています。

今のささやかな楽しみは、毎日昼休みに「TSUTAYA福岡ビル店」に通って掘り出し物を見つけることです。

本日の収穫は「デラックスカラーシネアルバム イギリスの貴公子たち」
サブタイトルがすごいです、「誇り高き魔性の麗人」ですから。

1988年に芳賀書店から発行されています。
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目次を見ると

ダニエル・デイ・ルイス―その性的アッピール  (これは長沢節さんが書いています)
世紀末美男スターの系譜・ヴァレンティノからダニエル・デイ・ルイスへ
ダニエル・デイ・ルイスは崇高なエイリアンだ!!
その後の"モーリス"たち
イギリス型美青年の条件
ブリティッシュ・フィルム・ナウ
英国貴公子語録
イギリスの貴公子たち・フィルモグラフィー

ダニエル・デイ・ルイスをはじめ、「モーリス」のヒュー・グラント、ルパート・グレイヴズ、ジェイムズ・ウィルビィ、「英国王のスピーチ」とはまるで別人の「アナザー・カントリー」のコリン・ファース、ルパート・エヴェレットたちが、美しい写真とともに紹介されていました!

見ているだけでも幸せになれる雑誌です。

映画も見たくなりましたなあ。