耳に染みます、このコマーシャル

うえをむーいてあるこおおお...
思わず、テレビ画面の近くに座り込んでじっくり見てしまいました。
何のコマーシャルだろうと思ったら、最後に「サントリー」と流れました。
歌っていたのは、
三浦友和、小栗旬、大森南朋、矢沢永吉、ベッキー、宮沢りえ...そうです、
サントリーのコマーシャルに出ている人たちです。

急遽製作された特別バージョンだと思い、調べたらやっぱりそうでした。

【3月11日の東日本大震災後、日本が明日に向かって前進するためにサントリー
グループとして何かメッセージをお届けすることはできないか。
そこで、弊社の広告宣伝にご登場いただいている方々のご協力をいただき、
希望の歌のバトンリレーを行うことで、
少しでもたくさんの人の気持ちに絆の和を広げていくことが出来ればと考えました。
日本中で幅広く愛されている名曲『上を向いて歩こう』
『見上げてごらん夜の星を』の2曲を、ご厚意で参加いただいた総勢71名の皆さん一人一人が、
心を込めて歌い上げてくださいました。】

ということです。

「上を向いて歩こうA」編(60秒)の出演者は
和田アキ子/近藤真彦/竹内結子/富司純子/檀れい/本木雅弘/小栗旬/
ベッキー/堺正章/宮沢りえ/岡田将生/松田聖子

「見上げてごらん夜の星をA」編(60秒)は
矢沢永吉/宮沢りえ/萩原健一/ベッキー/近藤真彦/小雪/堺正章/
三浦友和/本木雅弘/松平健/檀れい/永瀬正敏

「上を向いて歩こうA」編(30秒)は
三浦友和/高島彩/小林克也/堀北真希/近藤真彦

「上を向いて歩こうB」編(30秒)は
竹内結子/高橋克実/榮倉奈々/小栗旬/大森南朋

「上を向いて歩こうC」編(30秒)は
大滝秀治/本木雅弘/ベッキー/加藤茶/仲本工事/堺正章

いずれも、この順番でワンフレーズずつ歌っていますよ。
たぶん、期間限定で流れるはずなので、お見逃しなく。
耳と心に染みわたりますから。
どのバージョンに出会いたいですか?

福岡だから鑑賞できる美術展なのです。

福岡市博物館と市美術館で浮世絵展が同時スタートしました。

葛飾北斎の名画が展示された"大北斎展"と、
歌川広重など日本が誇る人気絵師の作品を集めた"浮世絵コレクション展"が、
同時に楽しめるという粋な企画です。

まず、北斎の名画300点が大集合する「生誕250周年 大北斎展」は、福岡市博物館で、5月22日(日)まで。
博物館の北斎展.jpg
世界に誇る天才絵師・葛飾北斎の一大コレクションです。
連作錦絵の中でも特に有名なのは、荒れ狂う海の様子を描いた「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」、
花魁・町屋の娘など、当時の美女を描いた「婦女風俗画」(肉筆画)、
そして18m×12mの巨大な「達磨(だるま)図(復元)」など、
代表的な作品約300点が展示されています。
驚異的な集中力で晩年まで絵を描き続けた北斎。
30回も名前を変え、90回も引っ越したと言われている、その実態は忍者だったとか、隠密だったのでは?
とも言われている謎の絵師の作品が存分に楽しめます。
4月17日(日)には緒形拳が北斎に扮して話題を呼んだ「北斎漫画」(監督・新藤兼人)が上映されます。要申し込み。


そして、もうひとつが福岡市美術館で開催されている
ハンブルク浮世絵コレクション展」で、5月8日(日)まで。
市美の浮世絵展.jpg
ドイツ・ハンブルク美術工芸博物館所蔵の5000点を超える浮世絵の中から、
ほとんどが日本初公開となる約200展を展示。
歌麿・写楽・広重という人気絵師たちの作品が一堂にそろっています。
美人画の喜多川歌麿が"心中もの"を描いた「流行模様哥麿形 お染 久松」や、
謎の天才絵師・東洲斎写楽があの役者絵ではなく、
普通に役者を描いた「松本米三郎のけはい坂の少将実はしのぶ」などが見られます。

実はこの展覧会が開催されていることは、とてもラッキーなことなのです。
というのも、大震災以来、海外の美術館また個人が日本には作品を貸さない
ということが起こっているからです。

共同通信社によると、
横浜美術館(横浜市)は、ロシアのプーシキン美術館が所蔵するフランス絵画約65点を展示する
「プーシキン美術館展」(4月2日~6月26日)を中止しました。
また三井記念美術館(東京)でも、アメリカ・ホノルル美術館所蔵品による「北斎展」(4月16日~6月19日)を
「東日本大震災によるホノルル美術館側の事情」で中止になりました。
さらに、フランス政府が美術品の日本向け輸出停止を命じたため、山梨県立美術館(甲府市)の「モーリス・ドニ」展
(4月16日~6月12日)と広島県立美術館(広島市)「印象派の誕生」展(4月5日~5月29日)も中止となったようです。

そして、根津美術館(東京)の「KORIN展」(4月16日~5月15日)では、
尾形光琳筆の国宝「燕子花図屏風風(かきつばたずびょうぶ)」(館蔵品)をアメリカのメトロポリタン美術館所蔵
「八橋図屏風」と並べる予定でしたが、八橋図の出展が延期されたため、燕子花図を中心にした館蔵品展に変更しています。
欧米の美術館から優品を集める東京国立博物館の「写楽」展も、4月5日開幕を5月1日に延期しましたが
「海外からの出展作品が予定通り全てそろう確証はない」ということです。

だからこそ、この貴重な二つの美術展をじっくり見ていただきたいと思います。
時期がちょっとずれていたら見られなかったかもしれません。
福岡だからこそ享受できるもの、演劇にもコンサートにも美術展にも足を運びましょう。
震災にあった美術館や博物館の作品がどうなったのかも、気がかりですね。

今年は忘れられない春の高校野球になりました。

開催が危ぶまれていましたが、「がんばろう!日本」をスローガンに、
応援の鳴り物は禁止、進行のスピードアップが図られた特別な大会でした。

そんな中、福岡代表の九州国際大付属高校が準優勝を成し遂げています。
この監督は元東北高校の若生正廣監督です。
で、あえて高校野球の話題を掲載したのは、
開会式で岡山の創志学園・野山慎介主将が行った選手宣誓を
記録に残したかったからです。

通常、選手宣誓では名前などを読み上げるだけらしいのですが、
今回は全文を読み上げました。
監督からは1,000回練習しろといわれたとか。
見事な選手宣誓でした。

以下は全文です。


◆宣誓全文◆ 
宣誓。
私たちは16年前、阪神大震災の年に生まれました。
いま、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。
被災地ではすべての方々が一丸となり、仲間とともに頑張っておられます。
人は仲間に支えられ、大きな困難を乗りきることができると信じています。
私たちに今できること。
それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。
「がんばろう!日本」。
生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。

客席オールスタンディングで勘太郎に拍手

勘太郎③.jpg
九州新幹線全線開業記念として開催された博多座の3月の「桜壽博多座大歌舞伎」、
ご存じのように体調不良のため、中村勘三郎が休演することとなり、長男の中村勘太郎が代役公演となりました。

夜の部はコクーン歌舞伎や平成中村座でお馴染み「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」。

これは串田和美演出・美術で、ニューヨークやベルリンなど海外でも大評判だった話題作。
大阪で見ましたが、勘三郎だからこそ演じられるという評判の舞台です。

たぶん、大勢の方がそう思い、勘三郎の「夏祭...」、それも九州では初演となるこの舞台を見たくて18000円もするチケットを買ったことでしょう。
私ももちろんその一人です。
それが勘三郎休演、勘太郎が代役をやると聞いて、「大丈夫だろうか?」とこれまた多くの人が感じたはずです。

しかし私は何を隠そう、勘太郎のファンでして、彼の成長を見守っている一人なのです。
2月には東京で勘太郎と藤原竜也の「ろくでなし啄木」も見てきました。

博多座の初日は3月2日。
実は勘太郎、その「ろくでなし啄木」に2月26日まで出演していました。
それも半端じゃない台詞の量と動きでした。
いったいいつ「夏祭...」の練習をするのだろうか?と心配もしました。
もうこれは見守るしかないだろう!失敗と言われてもいいじゃないか!
でももしかしたら、歴史的な舞台を見ることになるかもしれないという予感もありました。
というのも、いずれ勘太郎がこの舞台をやるはずで、
その初演をどこよりも早く、博多で見られるのだと思ったら、急に楽しみになったのです。

そして...歴史的な舞台に立ち会ったと確信しました!

若いので台詞の深みはまだまだと思いましたが、立ち居振る舞い、動きに切れがあり、若さあふれる芝居です。
そして表情がすごい!写楽の役者絵を思わせる迫力あるものです。

コクーン歌舞伎、平成中村座で主人公・団七にどろどろになりながら殺される義理の父親・義平次を演じる笹野高史さん(淡路屋の屋号も持ってますが、歌舞伎界のひとではありません。自称・民間出身)が自身のツイッターでこんなことをつぶやいているのを発見しました!

「中村勘太郎さんの、団七が見ものだと発信いたします!相手役からの発信です!すでに若手歌舞伎俳優ではピカイチの存在ですが、父上様の当たり狂言という、もう一つプレッシャーがプラスされての役!光が発射されているかのような、立ち姿は惚れ惚れします!!」

これがすべてを物語っています。
勘太郎①.jpg
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最後の捕り物場面「屋根上」は団七を捕らえようとする立ち回りが見ものですが、
この場面での勘太郎の動きがタダモノではない!

串田演出独特のセットが斬新で、この最後の場面で大いに盛り上がり幕を閉じました。

幕が終わっても拍手が鳴りやまず、オールスタンディングで拍手をするなんて、歌舞伎ではあまり体験しないことも起こりました。

演出の串田和美さんも博多座においでで、出演者に呼ばれて檀上に。
勘太郎にふさわしい演出をされていたのかなあと想像しました。

ザ・シェイプ・オブ・シングス~モノノカタチ~、このタイトルが語るモノ

シェイプオブシングズ.jpg
超プラチナチケットを手に、ももちパレスに向かいました。

客の99.9%は女性、
それもそうでしょう、主役はあの向井理くんなのですから。

原作はアメリカの脚本家・ニール・ラビュート。
2001年ロンドンで賞賛と波紋を呼んだ舞台の翻訳もの。
ロンドンでは異例なことに、テレビ番組でこの作品についての討論番組が放映されたそうですから。
見終わったらそうしたくなるのも分かります。

演出は演劇ユニット・ポツドール主宰の三浦大輔さん。
昨年、彼の「裏切りの街」を見て、キャスティング(田中圭・秋山奈津子・松尾スズキ・安藤サクラ)独特の音楽と演出ぶりに圧倒されたのでした。

前回の「裏切りの街」も男女4人のお話。
今回もそうです。

美大生のイブリン(美波)は美術館でアルバイトをする小太りで冴えない姿のアダム(向井くん)に出会います。美術品にある落書きをしようとするイブリン、それを止めることも面倒くさい弱気なアダムに関心を抱いたイブリンと彼は付き合うことになるのですが、その目的は...というお話です。

この芝居、原作が良い!脚本が良い!台詞が生きている!
そして演出・音楽が良い!
女優・美波が良い!
もちろん、向井くんの頑張りもありますが、これは見るべき芝居でした。

ラストの美波扮するイブリンが卒業制作で発表した作品とは何だったのか?
これは衝撃です!
真っ赤なスーツを着て美波が語るのを観客席に椅子を持ってきて、残りの3人が聴いています。
最初の二人の出会いがラストを暗示していることが、終わって分かるのですねえ。
素晴らしい演出でした。

三浦大輔さんの舞台には、本当に上手い役者しか登場しません。
そして背が高い、ちょっと気弱な役を演じられる役者(田中圭・向井理)と、役になりきって強い女性を演じられる役者(安藤サクラ・美波)が好きなのだなあと改めて感じました。

三浦大輔、美波、要注目です!
美波は野田秀樹、蜷川幸雄、長塚圭史にも気に入られ、彼らのミューズとして舞台に出ています。
福岡に来たらお見逃しなく!