「構造構成主義」を具現化する(?)ふんばろう東日本支援プロジェクト

西條 剛央(さいじょう たけお、1974年 - )さん、先週までこの方の名前すら知りませんでした。

毎日見ている糸井さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」を開いたら、トップにこの方との対談がアップされていました。
読んだら、もう糸井さん、この方の活動と考え方に絶賛の嵐!!

早稲田大学大学院(MBA)専任講師で、本業は「構造構成主義」というメタ理論を体系化した学問的研究者だとか。
実家が宮城県仙台市だったということもあり、東日本大震災の支援活動「ふんばろう東日本支援プロジェクト」をスタートさせました。

活動は
1) 各避難所ごとに欲しいものの要望リストをまとめ、本部を介さず直接メールや電話、FAXでサイト運営者に伝える。
2)サイトに情報をアップ。
3)Twitterで募集する。
4)送れる人が郵送する。
5)必要な分量が集まり次第打ち切る。

これによって被災者が本当に必要とする物を、必要な分、必要な場所に送ることができます。
しかも本部は仕分ける必要がなく、直接避難所に届きます。
ボランティアですから無料で税金も使わない、シンプルかつ最も実効性の高いシステムです。
これを導入しない手はないと思います。

と、紹介されています。
西條さんはこの仕組みを全国に広げていきたいようです。

「震災が忘れ去られる前に、電化製品などの必要な物資を集めて置いた方がよいのです。避難所ごとに地元近くの倉庫を確保して(人脈はあるから可能なはずです)、必要な物をリストアップし、比較的新しいものを送ってもらい在庫をストック(管理)しておくのです。倉庫に入りきらないものは、贈呈登録契約だけ今のうちにしておいて各家庭で保管しておいて頂き、仮設住宅が建つなどして先方が必要となったときに送ってもらいます。」

現在は「家電のプロジェクト」を立ち上げたそうですが、その仕組みがおもしろい。
すべては、Twitterでつぶやくことから始まっています。

詳しいことを知りたい方は、「ほぼ日刊イトイ新聞」を!

ちなみに西條さん、はっきり言ってイケメンでずぞ!!

釜山トタトガ訪問記

紺屋2023の306号室居住者でもある「ART BASE 88」の初ちゃんに誘われて釜山に出かけました。

目的は、プサン市がバックアップしているアーティスト支援「トタトガ」の活動を視察するためです。

トタトガは造語で、およそ次のような意味がこめられているとのこと。
ト tolerance(それぞれが違う、というニュアンス)
タ 別々である
ト 同じ
ガ 道または街

釜山広域市の「中区」(ちゅうく)にあるのですが、ここはもともと釜山市役所があったのに、約15年前に市役所が開発地区に移転したため、周りの金融会社や商業施設も移転し、20万人ほどいた住民が5万人に減少し、空き店舗が増加、小規模の印刷会社も仕事がなくなったのを釜山市が、トタトガのなんとか「ART」の力で地域を再生できないかという提案を受けて、実施しています。

空き店舗や空き事務所にアーティストを3年間無料で、工房として貸してあげますが、3年間の間に彼ら、彼女らは自立しなければなりません。
そのまま居ることもできますが、そのときは家賃支払いが発生します。

アーティストといっても、アートだけでなく、文学や詩、パフォーミングアーツや伝統芸能関係者も対象になっています。

アーティストたちのミッションは
①3年で自立できるちからを持ちなさい
②1カ月120時間、その工房に滞在しなさい
③市や地域が主催するイベントには参加、もしくは作品を出品しなさい

というもの。

釜山市は家賃を払ってあげますが、建物のオーナーが協力しないと成り立たないし、地域の住民が受け入れてくれないとこれまた成り立たない仕組みなんです。

ここらへんは「紺屋2023」に似ていますよね。

たとえば、地域の高齢者が引きこもろがちになったら「写真教室」を開催して写真家が高齢者に写真技術を教え、展覧会も開いてあげるというもの。

すごいのは、釜山市が引きこもりがちな高齢者や障害者の人たちに「何がしたいか」というアンケートを取って、「似顔を描いてほしい」「コンサートに行きたい」「作品を作ってみたい」といった要望があると、所属しているアーティストを派遣します。
派遣されたらその家でコンサートやったり一緒に作品を作ったりするんです。

それをトタトガでは「才能寄付」と呼んでいました。

才能がある人は寄付することが、ある意味、義務付けられているのです。

今回は、所属するアーティストたちの工房めぐりを中心に発表している現場にもお邪魔しました。
はっきり言って、若者が一生懸命がんばっているのを大人が応援していこうという仕組みがそこにありました。
文化活動に行政が口やお金を出すと問題も起こりますが、家賃補助など自立することに支援するのは良いことだと実感しました。

「ART BASE88」がやろうとしているのは以下のようなこと。
転載します。

8月から9月にかけてTOTATOGAの協力を得て、福岡市内、主に博多駅や川端周辺で、プサン作家のパフォーマンスやアート作品の展示がいろいろな会場でおこなわれます。
それぞれ、主催の仕組みや予算建てなどはばらばらです。
8月 キャナルシティ博多でプサン トタトガのチームがパフォーマンス公演がおこなわれることになりそうです 博多阪急ART CUBEでプサン作家が展示するかも ※交渉中
9月 JR博多シティ(アミュプラザ博多)でプサン作家と福岡作家のコラボレーションアート作品展示 ※関連企画(九州アートゲート関連)
福岡アジア美術館8Fでプサン作家の展示 福岡アジア美術館7Fでプサン作家と福岡作家の展示(上記と1週違い)
アジ美展示に連動して、川端周辺でプサン作家の展示
JR博多シティ(アミュプラザ博多)でプサンアート情報とグッズの販売 ※関連企画(九州アートゲート関連)
JR博多シティ(アミュプラザ博多)でプサンアート作品展示とパフォーマンスおこなう可能性あり
その他市内でパフォーマンスをおこなう可能性あり 以上はあくまで予定です。
日程や作家など改めてお知らせします よろしくお願いします。

トタトガの関係者が美味しい店にいっぱい案内してくれました。

初日の昼は「大宮サンゲタン」、夜は国際市場の近くにあるデジカルビの店「山海カルビ」、2日目のあわびのお粥、夜は花村という地域でカニのキムチ・ケジャンを、3日目の昼は国際市場でスンドゥフの店「ドルゴレ」へ。

もちろん、帰ってきて体重計に乗ったら大変なことになっていました。
今日から粗食です。


→釜山で上映されている映画のチラシ
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→釜山の港を背景に、トタトガのアーティストが描いたダイナミックな作品
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→国際市場にあるドルゴレのスンドゥフ
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久しぶりに上海、行ってきました!

3年ぶりくらいに上海に行ってきました。

今の研究「高齢社会」に関する専門家会議があったのでそれに出席するため、出張してきました。
万博以前の上海しか知らないので、どんなに変わっているか、物価がどれほど上がっているか気になったのですが、なにせ、学会発表みたいなもので、ずっと会議室に缶詰め。
朝は8時半から夕方6時まで発表を聞いて、その後は用意された上海料理の宴会場でご飯を食べる...。それで終わりです。

でも、この専門家会議がすごいのは、日本、韓国、中国の高齢者研究者たちが40人ほど集まってきて最新のデータや課題を報告することです。今年で17回目だとか。
日本、韓国、中国で会場を1年ごとに変えながらこの会議を続けているそうです。
昨年は上海万博だったため、昨年も上海、だから2年続けてということです。

今回の会場は上海社会科学院というところ。
中国で社会科学院というのは、最高レベルの人文科学の学術研究機関であると同時に中央政府機関であり、中央政府あるいは地方政府政策立案のシンクタンクでもあります。
上海社会科学院は中国社会科学院に次ぐもので、地方ではもっとも大きいアカデミー。なので学生などはいません。政府のブレーンといった立場でしょうか。

日本でも中国でも、そして韓国でも大問題なのが少子高齢社会の到来です。

日本が先に高齢社会を迎えていますが、韓国は2019年に、中国は2024年に高齢社会を迎えます。
ちなみに高齢化社会というのは、65歳以上の人口が全人口の7%、高齢社会は14%になったとき。
日本は1994年に高齢社会となりました。
そのために制度としてつくってきた年金や介護保険など、これから韓国や中国が必要に迫られてくるということです。
制度だけではなく、サービスや住宅、交通や建築のバリアフリーの取り組みなども重要なんです。

共通する課題は、いかに元気な高齢者でいてもらうかということ
 
WHO(国際保健機構)が提唱しているのはアクティブ・エイジング(Active Ageing) 、人が有意義に年をとるには、長くなった人生において健康で、社会に参加し、安全に生活する最適な機会が常になければならない としています。

...こんな研究もしていますという報告でした!


→高齢者専門家会議風景
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→上海社会科学研究院の前で
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→宴会後に披露された上海の高齢者たちのダンス 皆さん、きれいです!
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糸井重里という人...

1948年生まれというから、いわゆる団塊の世代の人。
昔なら西武デパートの名コピーライターとして有名だけど、私が面白いなあと思い始めたのはパルコ出版が作っていた「ビックリハウス」の読者投稿ページ「ヘンタイよいこ新聞」です。

「シティ情報ふくおか」の創刊のころ、ちなみに創刊は1976年(福岡に天神地下街ができ、天神コアもできた頃)「シティ情報ふくおか」は父なる「ぴあ」母なる「ビックリハウス」と言ってました。

つまり、情報ページは「ぴあ」に習い、読者ページは「ビックリハウス」を参考にしておったとです。

私自身は「ぴあ」よりも「ビックリハウス」を隈なく読んでおりました。
そしてパルコというところに憧れ、西武というグループ会社に注目し、渋谷の街が若者の街に変わっていくのを福岡の地から遠く眺めておりました。流通と媒体と街がこんなふうに融合していくのだなと。
ま、こんな話はまたいずれ。

今回は糸井さんの話です。

「ヘンタイよいこ新聞」の前には沢田研二の「TOKIO」を作詞し、矢沢永吉の自伝本「成りあがり」の構成・編集を手がけ、スナックなどの飲み屋で自慢げにマッチやナプキンを使って披露する芸をまとめた「スナック芸大全」をまとめ、NHK教育では「YOU」という若者番組の司会をしてました。

そして1998年に「ほぼ日刊イトイ新聞」なるサイトをスタートさせました。

そう、糸井重里は時代とともに歩いている人だと思うんです。
たぶんそれは、糸井さん自身の興味対象が時代とともに変わってきてるからでしょう。

すごいのはそれを仕事にしていること!

「ほぼ日刊イトイ新聞」は1日の総ページビューが約140万という有名サイトです。
ここから「ほぼ日手帳」とか土鍋とか料理本とかいろいろなオリジナル商品が生まれています。  

私も毎日サイトを開いている一人ですが、何よりも読み物が面白い
執筆者や対談相手も多彩。
タモリ矢沢永吉鶴瓶さんイチロー明石家さんまから谷川俊太郎天海祐希市川染五郎などなど。

シリーズ連載がこれまた毎日チェックしたくなるような見せ方と文章なんです。
要はとても優れた編集者と聞き手、ライターがいる編集プロダクションの成せる技なんですね。
文字ばかりでなく写真やイラストが有効に使われ、対談形式も思わず読んでしまう構成です。
バックナンバーがすべて読めるのでチェックしてお気に入りを見つけてください。

おすすめは「われら、ほぼ日感劇団。」
この1回目は劇団・新感線の「朧の森に棲む鬼」ですから。
市川染五郎と糸井さんが対談していて、それはDVDの副音声になっています。

それから「社長に学べ!」シリーズ
任天堂やTSUTAYAの社長など、糸井さんが気になっている社長との対談。

そしてそしておすすめは、荒俣宏さんの「めくるめく愛書家の世界」。
荒俣さんは大の古書好きで知られていますが、それは半端な古書じゃないことがこれを読むと分かります。

今連載中の太田和彦プラス大沢在昌 居酒屋幼稚園」、これ笑えます。
居酒屋探訪家の太田さんのマニアともいえる大沢さんが居酒屋の指南を受けるわけです。
六本木のクラブには一人で行ける大沢さんがなぜか、居酒屋には一人で行けないと。

どんな雑誌よりも今、チェックすべきはこのサイトです。
先日の「BRUTUS」では全編、糸井重里特集でした。

気になる人は多いんですよ。