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11.04.21
1948年生まれというから、いわゆる団塊の世代の人。
昔なら西武デパートの名コピーライターとして有名だけど、私が面白いなあと思い始めたのはパルコ出版が作っていた「ビックリハウス」の読者投稿ページ「ヘンタイよいこ新聞」です。
「シティ情報ふくおか」の創刊のころ、ちなみに創刊は1976年(福岡に天神地下街ができ、天神コアもできた頃)「シティ情報ふくおか」は父なる「ぴあ」母なる「ビックリハウス」と言ってました。
つまり、情報ページは「ぴあ」に習い、読者ページは「ビックリハウス」を参考にしておったとです。
私自身は「ぴあ」よりも「ビックリハウス」を隈なく読んでおりました。
そしてパルコというところに憧れ、西武というグループ会社に注目し、渋谷の街が若者の街に変わっていくのを福岡の地から遠く眺めておりました。流通と媒体と街がこんなふうに融合していくのだなと。
ま、こんな話はまたいずれ。
今回は糸井さんの話です。
「ヘンタイよいこ新聞」の前には沢田研二の「TOKIO」を作詞し、矢沢永吉の自伝本「成りあがり」の構成・編集を手がけ、スナックなどの飲み屋で自慢げにマッチやナプキンを使って披露する芸をまとめた「スナック芸大全」をまとめ、NHK教育では「YOU」という若者番組の司会をしてました。
そして1998年に「ほぼ日刊イトイ新聞」なるサイトをスタートさせました。
そう、糸井重里は時代とともに歩いている人だと思うんです。
たぶんそれは、糸井さん自身の興味対象が時代とともに変わってきてるからでしょう。
すごいのはそれを仕事にしていること!
「ほぼ日刊イトイ新聞」は1日の総ページビューが約140万という有名サイトです。
ここから「ほぼ日手帳」とか土鍋とか料理本とかいろいろなオリジナル商品が生まれています。
私も毎日サイトを開いている一人ですが、何よりも読み物が面白い。
執筆者や対談相手も多彩。
タモリや矢沢永吉、鶴瓶さんやイチロー、明石家さんまから谷川俊太郎、天海祐希や市川染五郎などなど。
シリーズ連載がこれまた毎日チェックしたくなるような見せ方と文章なんです。
要はとても優れた編集者と聞き手、ライターがいる編集プロダクションの成せる技なんですね。
文字ばかりでなく写真やイラストが有効に使われ、対談形式も思わず読んでしまう構成です。
バックナンバーがすべて読めるのでチェックしてお気に入りを見つけてください。
おすすめは「われら、ほぼ日感劇団。」
この1回目は劇団・新感線の「朧の森に棲む鬼」ですから。
市川染五郎と糸井さんが対談していて、それはDVDの副音声になっています。
それから「社長に学べ!」シリーズ。
任天堂やTSUTAYAの社長など、糸井さんが気になっている社長との対談。
そしてそしておすすめは、荒俣宏さんの「めくるめく愛書家の世界」。
荒俣さんは大の古書好きで知られていますが、それは半端な古書じゃないことがこれを読むと分かります。
今連載中の「太田和彦プラス大沢在昌 居酒屋幼稚園」、これ笑えます。
居酒屋探訪家の太田さんのマニアともいえる大沢さんが居酒屋の指南を受けるわけです。
六本木のクラブには一人で行ける大沢さんがなぜか、居酒屋には一人で行けないと。
どんな雑誌よりも今、チェックすべきはこのサイトです。
先日の「BRUTUS」では全編、糸井重里特集でした。
気になる人は多いんですよ。
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11.03.30
九州新幹線全線開業記念として開催された博多座の3月の「桜壽博多座大歌舞伎」、
ご存じのように体調不良のため、中村勘三郎が休演することとなり、長男の中村勘太郎が代役公演となりました。
夜の部はコクーン歌舞伎や平成中村座でお馴染み「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」。
これは串田和美演出・美術で、ニューヨークやベルリンなど海外でも大評判だった話題作。
大阪で見ましたが、勘三郎だからこそ演じられるという評判の舞台です。
たぶん、大勢の方がそう思い、勘三郎の「夏祭...」、それも九州では初演となるこの舞台を見たくて18000円もするチケットを買ったことでしょう。
私ももちろんその一人です。
それが勘三郎休演、勘太郎が代役をやると聞いて、「大丈夫だろうか?」とこれまた多くの人が感じたはずです。
しかし私は何を隠そう、勘太郎のファンでして、彼の成長を見守っている一人なのです。
2月には東京で勘太郎と藤原竜也の「ろくでなし啄木」も見てきました。
博多座の初日は3月2日。
実は勘太郎、その「ろくでなし啄木」に2月26日まで出演していました。
それも半端じゃない台詞の量と動きでした。
いったいいつ「夏祭...」の練習をするのだろうか?と心配もしました。
もうこれは見守るしかないだろう!失敗と言われてもいいじゃないか!
でももしかしたら、歴史的な舞台を見ることになるかもしれないという予感もありました。
というのも、いずれ勘太郎がこの舞台をやるはずで、
その初演をどこよりも早く、博多で見られるのだと思ったら、急に楽しみになったのです。
そして...歴史的な舞台に立ち会ったと確信しました!
若いので台詞の深みはまだまだと思いましたが、立ち居振る舞い、動きに切れがあり、若さあふれる芝居です。
そして表情がすごい!写楽の役者絵を思わせる迫力あるものです。
コクーン歌舞伎、平成中村座で主人公・団七にどろどろになりながら殺される義理の父親・義平次を演じる笹野高史さん(淡路屋の屋号も持ってますが、歌舞伎界のひとではありません。自称・民間出身)が自身のツイッターでこんなことをつぶやいているのを発見しました!
「中村勘太郎さんの、団七が見ものだと発信いたします!相手役からの発信です!すでに若手歌舞伎俳優ではピカイチの存在ですが、父上様の当たり狂言という、もう一つプレッシャーがプラスされての役!光が発射されているかのような、立ち姿は惚れ惚れします!!」
これがすべてを物語っています。
最後の捕り物場面「屋根上」は団七を捕らえようとする立ち回りが見ものですが、
この場面での勘太郎の動きがタダモノではない!
串田演出独特のセットが斬新で、この最後の場面で大いに盛り上がり幕を閉じました。
幕が終わっても拍手が鳴りやまず、オールスタンディングで拍手をするなんて、歌舞伎ではあまり体験しないことも起こりました。
演出の串田和美さんも博多座においでで、出演者に呼ばれて檀上に。
勘太郎にふさわしい演出をされていたのかなあと想像しました。
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11.03.18
残念ながら3月18日で映画は終了してしまいましたが、もしチャンスがあればぜひご覧ください。
⇒映画公式HP『ハーブ&ドロシー』
ニューヨークに住む普通の夫婦の話です
でも違っていたのは!
夫妻はものすごいアートコレクターだったのです!
ハーブ・ヴォーゲルは1922年生まれ、高校を中退して郵便局に勤めていました。
ドロシー・ヴォーゲルは1933年生まれ、大学院を卒業後、公立図書館に司書をしていました。
1962年に結婚し、それからハーブは夜学で美術を学びます。
ドロシーは特に美術には興味なかったのですが、ハーブの影響で猛烈に美術に詳しくなっていきました。
そして、二人がはじめたのがアートコレクションです。
ドロシーの給料を生活費に充て、ハーブの給料をすべて現代美術品を購入する費用に充てました。
1LDKのアパート住まいだったので、二人が決めたアート購入の約束は
①ハーブの給料で買えることと
②アパートに入ること
でした。
そこで、作品をミニマルアートとコンセプチュアルアートに絞ります。
ニューヨークである展覧会にはほとんどすべて足を運び、直接アーティストと交渉して購入します。
彼らが買いたいと思う作品の基準は「美しい・きれい」「気にいった」だけ。
展覧会の初日、客たちがワインなどを片手に語り合っている中、二人は真摯に作品を見て回ります。
そして40年の歳月をかけて集めた作品の数、4,782点。
購入した作家たちの顔ぶれは、
ドナルド・ジャッド、クリストとジャンヌ・クロード、リチャード・タトル、チャック・クロース
など、今や世界的なアーティストたち。
こんなドラマチックな話は実話で、このドキュメンタリー映画を撮ったのが日本人の女性監督・佐々木芽生(めぐみ)さん。
夫妻のことはアメリカでは有名で、映画にしたいと申し出る監督やプロデューサーは数多くいたようですが、実現させたのは彼女だけでした。
撮影には4年間の歳月をかけたので、夫妻はすっかり監督を信頼していたようです。
ただ1場面、カメラが外に出されたことがありました。
それは、作家との値段交渉場面でした。
クリストのドローイングが欲しいとアトリエを訪れたら、あまりに高価で手が出なかったそうですが、後日、クリストのパートナーであるジャンヌが夫妻に電話してこう告げたとか。
「私たちは制作で家を長期間空けるけど、その間、猫を預かってくれたらドローイングを譲っても良いけど」と。
夫妻、大の猫好きで、もちろんすぐにOKの返事をして、クリストの有名な「ヴァレー・カーテン」(コロラド州ロッキー山脈の400メートルに及ぶカーテン)を手に入れたのです。
夫妻は収集したコレクションを1点もお金に換えることなく、1992年、コレクションのすべてをアメリカ国立美術館ナショナルギャラリーに寄贈することを決意しました。
1000点余りは同美術館の永久保存となり、残りは全米50州の美術館に50点ずつ寄贈したのです。
まるで、嘘のような本当の話。
アートとともに生きるって、地位やお金がなくとも可能だということをハーブ&ドロシーが教えてくれました。
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11.03.08
年に4~5回は東京まで出向き芝居を見ていますが、必ず見るのは「劇団☆新感線」。
それに合わせてスケジュールを調整し、2~3日間で芝居を4本くらい見ます。
同じ時期にやってくれていると嬉しいのは、野田秀樹の野田地図、蜷川幸雄、三谷幸喜などの芝居。
今年は三谷幸喜生誕50周年記念なんで、1年中三谷さんの芝居は何かやってますよ。
で、ほとんど15年くらいオッカケをしているのは
「新感線」の看板役者・古田新太。
「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」を見て、なんてカッコ良い芝居をする人なんだとココロ奪われました。
それ以来、古田新太が出る芝居をチェックしています。
新感線はもちろんですが、話題の演出家の作品にはほとんど声がかかってますから。
たとえば野田秀樹の野田地図では1997年の「キル」から「パンドラの鐘」「走れメルス」「贋作 罪と罰」、そして昨年の「ザ・キャラクター」などに出演。野田作品では常連です。
蜷川幸雄では2001年の「真情あふるる軽薄さ」から2007年の「薮原検校」、そして今年の「たいこどんどん」。
三谷幸喜作品は「VAMP SHOW」、
松尾スズキは「キレイ」、
ケラリーノ・サンドロヴィッチは2003年「SLAPSTICKS」に2007年の「犯さん哉」、こちらも今年夏に公演予定。
名だたる演出家が使いたくなる役者なんです。
昨年は野田作品や新感線の「薔薇とサムライ」出演などで第45回紀伊國屋演劇賞・個人賞も受賞しています。
新感線は別にして蜷川作品での古田さんには迫力があります。
「薮原検校」は井上ひさしさんの脚本でもあるのですが、ものすごくワルの検校を演じていて好きでしたねえ。
なので、これまた井上さんの追悼芝居となる「たいこどんどん」も見たいと思ってます。
で、今回なぜ古田さんの話題なのかというと博多駅にできた「T・ジョイ博多」でのオープニング記念として、新感線の舞台を映画にした「ゲキ×シネ」特集が上映されているからです!
この上映は6月25日に公開される「薔薇とサムライ」まで続きますので、これまで新感線の舞台を見たことがない人、私も古田新太好きという方はお見逃しなく!の企画です。
おすすめは「髑髏城の七人」
これは染五郎バージョンもぜひ!
歌舞伎役者の市川染五郎は「阿修羅城の瞳」を見て「これぞ、現代の歌舞伎だ!」と感動し、自ら松竹に話を通して新感線と染五郎とのタッグマッチが始まったとか。
その真骨頂ともいえるのが「朧の森に棲む鬼」。
舞台で見て鳥肌がたちました。そのカッコ良さに!
すべてがカッコ良い。
この作品の阿部サダヲがすごいですよ。
ゲキ×シネでも3回は見ました。
もちろんまた見に行くつもりです。
ということで、古田新太&ゲキ×シネのご観覧をおすすめです。