運転免許証の更新に行ってきた
自分がこの時期に生まれたのだから仕様が無いのだが、冬の寒い中交通の便が悪いところまでバイクで行くのはなかなか堪える。
さて、講習会で配布される資料の中に、自転車に関する欄がかなり最初の方にあった。
どうやら最近改正されたらしい。
<自転車安全利用五則>
1.自転車は、車道が原則、歩道は例外
2.車道は左側を運行
3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
4.安全ルールを守る
飲酒運転・二人乗り・並進の禁止
夜間はライトを点灯
交差点での信号遵守と一時停止・安全確認
5.子どもはヘルメットを着用
おそらく、最後のサブカルチャーとも言われている自転車ブームの影響で、法が改正され、講習会でも強く呼びかけるようになったのだろう。
ちょっとドキッとする項目もあるが、基本的には1と2以外は誰から見ても当たり前のことだろう。
しかし、1と2の様に、自転車が車道を走ることを法的にここまでしっかり規定しているとは思わなかった。
一昨年東京に行った際にバスの中の車内放送で、「自転車は車道を走りましょう。車の方は自転車の走行にご理解とご注意をお願いします」みたいなことを言っていたのを聞いて、いよいよ自転車車道通行が日本でも一般的になってきたか、と感じたが、実はマナー程度ではなく法的に整備されていたのだ。
しかし、なかなか自転車利用者の人にこのことが浸透するのは難しいだろう。
どうしても歩道を走る癖がついている。
自分は昨年クロスバイク型の自転車を購入したことで、車道を走る必要性を実感として感じるようになったものの、ママチャリやチビチャリはじめ普通の自転車の人にとってはおそらく車道は怖くて走れないのが本音だ。
たださっきも言ったが、軽くて速い自転車の人にとっては、むしろ歩道の方が怖い。
車は絶対に急に横移動することは無いが、人は不意にいきなり横移動する。まっすく歩いているつもりでも、実はふらふらと歩いている(これを建築業界ではスラローム歩行という)。
なので、そういうタイプの自転車の人には、車道を走りましょう、の傾向は歓迎なのだ。
とは言え、一方で、車の運転者にとっても、大変うっとうしいはずだ。
原付やバイクでもうっとうしいだろうに、更に遅くて無防備な自転車が車道の端を走るのは、もっと邪魔な上にドキドキすると思う。
歩道の中での人と自転車との関係が、まさに車道においては自転車と車との関係になるわけだ。縁石(歩道と車道の間を仕切っている石の舗装)を境に、自転車は強者から弱者に一変する。
いずれにしろ、新しいマナーが習慣化するには相当な時間がかかる。
法的な正しさと習慣的な正しさが一致するのは簡単ではない。
やはりしばらくはまだまだ、自転車は歩道を走るものだ、という認識が一般的だろうし、
それが変わるまでは、速い自転車の人達はその板挟みの中で耐えないといけない。要するにしばらく悪者扱いだ。
そして、仮にいつか全ての自転車が車道を走るようになっても、そこからまた新たな問題も出てくる。
車と自転車の接触事故が増えたり、かつての中国の様に車道を自転車が占拠して交通渋滞が起こるかもしれない。
そうなると、ヨーロッパの様に自転車専用道の整備が求められるだろう。
その時、車道を削るのか歩道を削るのか、みたいなせめぎ合いもあるだろうし、新たに街などの再開発で区画整理する際は自転車道を考慮しないといけなくなる。
格好いい自転車が生まれたことから、
ファッションとして広がり、法整備にも影響を与え、人の習慣を変え、都市計画にも影響する。
些細な一つのアクションがどれだけ波及効果を持っているかは計り知れないのだ。