古田新太のオッカケやってます

年に4~5回は東京まで出向き芝居を見ていますが、必ず見るのは「劇団☆新感線」

それに合わせてスケジュールを調整し、2~3日間で芝居を4本くらい見ます。

同じ時期にやってくれていると嬉しいのは、野田秀樹の野田地図、蜷川幸雄、三谷幸喜などの芝居。
今年は三谷幸喜生誕50周年記念なんで、1年中三谷さんの芝居は何かやってますよ。

で、ほとんど15年くらいオッカケをしているのは
「新感線」の看板役者・古田新太

「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」を見て、なんてカッコ良い芝居をする人なんだとココロ奪われました。
それ以来、古田新太が出る芝居をチェックしています。

新感線はもちろんですが、話題の演出家の作品にはほとんど声がかかってますから。

たとえば野田秀樹の野田地図では1997年の「キル」から「パンドラの鐘」「走れメルス」「贋作 罪と罰」、そして昨年の「ザ・キャラクター」などに出演。野田作品では常連です。
蜷川幸雄では2001年の「真情あふるる軽薄さ」から2007年の「薮原検校」、そして今年の「たいこどんどん」。
三谷幸喜作品は「VAMP SHOW」、
松尾スズキは「キレイ」、
ケラリーノ・サンドロヴィッチは2003年「SLAPSTICKS」に2007年の「犯さん哉」、こちらも今年夏に公演予定。

名だたる演出家が使いたくなる役者なんです。

昨年は野田作品や新感線の「薔薇とサムライ」出演などで第45回紀伊國屋演劇賞・個人賞も受賞しています。

新感線は別にして蜷川作品での古田さんには迫力があります。
薮原検校」は井上ひさしさんの脚本でもあるのですが、ものすごくワルの検校を演じていて好きでしたねえ。
なので、これまた井上さんの追悼芝居となる「たいこどんどん」も見たいと思ってます。

で、今回なぜ古田さんの話題なのかというと博多駅にできた「T・ジョイ博多」でのオープニング記念として、新感線の舞台を映画にした「ゲキ×シネ」特集が上映されているからです!

この上映は6月25日に公開される「薔薇とサムライ」まで続きますので、これまで新感線の舞台を見たことがない人、私も古田新太好きという方はお見逃しなく!の企画です。

おすすめは「髑髏城の七人
これは染五郎バージョンもぜひ!

歌舞伎役者の市川染五郎は「阿修羅城の瞳」を見て「これぞ、現代の歌舞伎だ!」と感動し、自ら松竹に話を通して新感線と染五郎とのタッグマッチが始まったとか。

その真骨頂ともいえるのが「朧の森に棲む鬼」。

舞台で見て鳥肌がたちました。そのカッコ良さに!
すべてがカッコ良い。
この作品の阿部サダヲがすごいですよ。

ゲキ×シネでも3回は見ました。
もちろんまた見に行くつもりです。

ということで、古田新太&ゲキ×シネのご観覧をおすすめです。

メディア芸術オープントークなるものに参加

文化庁が主催している「メディア芸術オープントーク」、意図は以下の通り。

文化庁では,マンガ,アニメ,ゲーム,メディアアートなどのメディア芸術の関係者・関係機関のネットワークを構築し,メディア芸術に関する情報の収集・発信と関係機関等の連携・協力を推進することでメディア芸術の一層の振興を図る「メディア芸術コンソーシアム構築事業」を平成22年度から実施します。

とのことで、会場の福岡アジア美術館に足を運びました。

隣の会場ではなんと!萩尾望都先生のトークショーが。
こちらのトークショーは20倍という倍率で抽選に当たった人たちが集まっていたとか。

メディア芸術の方はというと、偶然通りかかった人たちも参加というのんびりさでした。

トークの参加者は京都国際マンガミュージアムを関わった京都精華大学芸術学部の島本浣さん
アーティストでもある東京藝術大学大学院映像研究科の藤幡正樹さん
カルチュラルスタディーズの中心的な存在である東京大学大学院情報学環の吉見俊哉さん
そして「趣都の誕生 萌える都市アキハバラ」の著者である明治大学国際日本学部の森川嘉一郎さんの4人。
森川さんが基調講演でした。

出席してはじめて知りました。
今日のテーマは「オタク」...。

大学院生時代、私の回りにも「オタク」研究者はたくさんおり、ず~っと話を聞いているのは苦手かもと思ったのですが、
森川さんの話がおもしろかったああ。
彼は、元々建築の出身、ある時、福岡・九州にも縁が深い磯崎新さんにヴェネチア・ビエンナーレの日本館コミッショナーをやれと声をかけられたのだとか。

そして開催されたのが「おたく:人格=空間=都市」展。

これが評価され、現在は明治大学において「東京国際マンガ図書館」(仮称)を2014年度に開設すべく、準備を行っているそうです。

国をはじめとする自治体が文化、特にこのようなサブカルチャーに関与してくるというのはいかがなものか?という疑問があるので出席したんですが、森川さんの明快な答に目からウロコが落ちました。

要はアーカイブの重要性なんですね。

森川さんいわく、国会図書館でもマンガはすべて保存されていないし、保存されているマンガもすべてカバーが取り外されているらしい。
基本的に国会図書館に集まっているのは、出版社が自主的に送るシステムらしく、送ってないものは当たり前のように保管されてないってことです。
ましてや、同人誌などは問題外ってこと。
だから同人誌や絶版になったマンガは今、ボランティアグループが収集し、自分たちがお金を出し合って倉庫を借り保存しているとか。
なので、国や自治体はこれらペイしない保存をやってほしいと言うのです。

好きなものばかりを集めるコレクションではなく、網羅して集めることが重要なのです。

そのモノの価値が定まらないものにお金をかけることが最も苦手なのが日本でしょう。
浮世絵など、海外で評価されてはじめてその価値に気付くのですよ。
藝大の藤幡さんが言ってました。「藝大には、浮世絵も漫画も教える人はいない」と。

同時代に発生しているマンガを収集し分類して後生に残すこと。
50年、100年経ったときに重要な資料となることを信じて森川さんの図書館づくりが始まっています。

応援したいですねえ。


 

とんでもない番組を見ました... 

昨日夜中に目が覚めて、眠れそうもなかったのでテレビをつけた。

NHKにチャンネルを合わせると(もはやチャンネルではないが)
「オォ、これは見たかった番組の再放送ではないか」と分かり、眠気も吹っ飛び見てしまいました。

それはワンダー×ワンダーで放送された「世界記憶力選手権」の特集。

毎年12月に開催されているもので、1991年に始まった選手権らしい。
イギリス発祥の協議会でその種目たるや大変なもの。
3日間で10種目の競技を行い世界一の座を争う。

たとえば2400にも及ぶ数字の羅列を1時間かけて記憶し、2時間かけて記入する。
たとえば480もの数字の羅列を5分で記憶し、10分で書くとか、たとえば架空の歴史の出来事と年代を覚え、年代順をぐちゃぐちゃにされた出来事だけの表示に年代を記入していくとか。
英語で読み上げられる数百の数字を聞いて記憶し書いていくとか。
最後の種目はバラバラにされたトランプ1組の並びをできるだけ速く記憶した者が手を挙げ、別のバラバラにされたトランプを並べ直し、出題者が持った正解のトランプと順番を合わせていく。

1つでも順番を間違えれば得点は0点。
そんな出題に世界各国から記憶力の天才たちが集まってくるのだ。
 
そして、今回注目されたのが、中国勢の圧倒的な強さ!

開始以来8度も優勝し続けてきたチャンピオンはランク外となり、ワン・フェンという中国人が世界記録をいくつも樹立して優勝を遂げました。

そこで紹介されたのが、中国国内でブームになっている記憶力活性化の塾。

各地方にあり、そこに通う子どもたちがめきめきと学力を伸ばしてさらに注目を浴びているらしい。
夏期合宿もあり、子どもたち1人にかかる1週間の費用が、その地方の平均月収の3倍。
平均月収が4万円で、合宿費用13万円。
そんなところにわんさと通っているのですよ。

いわゆる記憶力のコーチング。
数字も英単語もイメージに変換してストーリーを組み立て覚えていくというもの。
 
ちなみに優勝したワンさんは2400もの数字の羅列をほとんど覚えており、480の数字の羅列はパーフェクトでした。
これは世界記録。

ゲストの茂木健一郎が、出題者の予想を遙かに超える記憶力だったのだとコメントしてました。

この2400に及ぶ数字の羅列種目で中国勢がベスト3を独占しました。

ついでにワンさん、英語で読まれる数字を中国語に翻訳してストーリーを組み立てるには時間がかかりすぎるので、英語をそのままイメージに変換しストーリーを組み立てられるように1年間かけて訓練したそうです。
最後のトランプ記憶にかかったワンさんの時間は22秒でした。
 
2位になったのはドイツで全身の筋肉が衰えていく難病と闘っているヨハンス・マロー氏。
筋肉は衰えていくので、せめて脳だけは鍛えたいと記憶力トレーニングに励んでいるのです。

残念ながら日本人の紹介はまったくなし。
でも、2005年から記憶力日本選手権が始まっているらしいので優勝者は世界大会に出場しているはず。

もう一人のゲスト、アグネス・チャンが言っていました、
「中国人は子どもの教育と食べ物にはお金をかけます。この2つだけは体に入っていくもの。誰も取り上げることができないから」。

中国らしいコトバですよね。

アカデミー賞受賞「英国王のスピーチ」に見る才能の集結

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「金閣寺」の溝口も吃音で悩んでいたが、もう一人、海を越えて悩んでいたのが英国のジョージ6世、現エリザベス女王のお父さんです。

兄エドワード8世の「王冠を賭けた恋い」ばかりが注目されていて、陰に隠れ目立たない存在だった弟が主人公。
この人がいたので、現在も英国王室は庶民に愛されている存在になっているといわれています。

幼い頃の精神的なトラウマが彼を吃音にしていたのですが、演じているのはコリン・ファース。
「ブリジット・ジョーンズの日記」や「ラブ・アクチュアリー」などラブコメでまじめな役を演じていましたが、その持ち味を残したまま英国王を演じているのがすごい!

監督のトム・フーパーはまだ38歳、自分でもコメディが好き!と言ってました。
でもコメディの裏にあるシリアスな面を描くのが英国の持ち味であり、深みなのです。

なんと、この役、最初はヒュー・グラントに依頼があったそうですが、断られてコリン・ファースのところにきたそうです。
今頃はヒューくん、地団駄踏んでいることでしょうねえ。

妻のエリザベスを演じるのは実生活でティム・バートンのパートナーでもある「アリス・イン・ワンダーランド」のヘレナ・ボナム・カーター。
献身的に夫を助けますが、それが明るいところが良い!
また吃音を治療するスピーチ矯正専門家をジェフリー・ラッシュがこれまた上手い!

ほとんどこの3人のドラマですが、笑いながら泣きながら2時間の上映時間はあっという間です。

監督も役者も脚本も美術も衣装も音楽も素晴らしい!

トム・フーパーという若き才能に集まった才能の集結が見事な作品になりました。
アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の4冠は納得です。