めがねブログはじめます

『ラーメン侍』の製作宣伝と並行してやってきた、『奇跡』のキャンペーンが、やっとこさ終わりました。

この2作は、いわゆる"ご当地映画"と呼ばれるものです。
『ラーメン侍』は"『ラーメン侍』10.22公開までの道"でも書いてますが、福岡・久留米で撮影された福岡を舞台にした映画。
一方『奇跡』は九州新幹線全線開業をモチーフに、福岡・熊本・鹿児島を中心に撮影された九州を舞台にした映画です。

地元で撮影された映画は、当然興行的にも一番成功しなければいけないとされているので、当の"ご当地"ではプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、まさに死に物狂いの宣伝攻防が繰り広げられます。
つまり宣伝マンとしては、一番体力、気力を吸い取られ、しまいには息も絶え絶えになるのが"ご当地映画"なのです。

思えば、福岡ギャガさんとは懐かしのご当地映画『ロッカーズ』からのお付き合い。
10年たった今でも、「あの『ロッカーズ』の時は...」と例をひきたくなるくらい、ご当地映画宣伝のノウハウを勉強させてもらった先輩的配給です。

『奇跡』はご当地映画なうえに是枝裕和監督の最新作で、九州新幹線全線開業という実際の一大トピックスが絡んでいる作品。
公開直前の宣伝活動の肝になる福岡キャンペーンのお手伝いをさせていただいたのですが、果たしてお役に立てたかどうか(汗)

ともあれ良い映画なので、是非ヒットしてほしいと願ってます。
6月4日(土)から九州先行上映(6月11日~全国ロードショー)です。
皆様、是非劇場に足をお運びください。

ということで、そのキャンペーンを終えたばかりのヨロヨロした体で、舞台『焼肉ドラゴン』を北九州まで見に行ってきました。
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2008年に上演され数々の演劇賞を総なめ。高度成長期の日本を舞台にした、在日コリアンの家族の物語です。
演劇にさほど詳しくないめがねでも、超話題作だと言う事と映画界でも脚本家として知られる鄭義信作品だと言うだけで期待度MAX。

鄭義信さんは、崔洋一監督の『月はどっちに出ている』、『血と骨』、平山秀幸監督の『愛を乞うひと』、そしてプロジェで宣伝させていただいたご当地映画『信さん・炭坑町のセレナーデ』と素晴らしい脚本を数多く作った人です。

めがねの実家の近くには朝鮮学校があって、チョゴリで登校する女の子を日常見かけていました。しかし同じ地元の学校同士とはいえ交流もなく、というよりしょっちゅう学校の不良たちと諍いを起こす朝鮮学校はなんとなく怖い存在。

その後、大人になって『パッチギ!』を宣伝し、韓流ドラマきっかけで韓国を良く知るようになった事もあって、やっと在日問題を意識し、本や映画で知る機会も増えました。それで、基礎的な歴史だけはなんとなく分かったような気でいましたが、舞台で生き生きと生活する家族の物語にどっぷり浸りながら、"知識"だけでは分からない生身の人間の悲哀と生き様に、とにかく圧倒されたのでした。

身を寄せ合うように立っているバラック。
頭上をひっきりなしに行き交い、神経をかき乱される飛行機のブーンという音。
長屋の共同水場でかしましく世間話するおばちゃんたち。
どぶの臭いと焼肉を焼くいい匂いが混然とする中、韓国語が飛び交う騒がしくエネルギッシュな在日コリアンの家族の日常が繰り広げられます。
時は高度成長期で、諸外国に追い付き追い越せと日本中が沸きかえる中、在日という理由でまともな仕事につけない大人が昼間から酒をくらってごろごろしている"焼肉ドラゴン"。
家族は、太平洋戦争で片腕を失った父親・ヨンギル、
働き者で家族の中心的存在でもある母親・ヨンスン、
そして父親の先妻との間にできた2人の娘
足に大きな傷を持つ長女の静花と静花の元彼氏・哲男と結婚した次女の梨花、
母親の連れ子で歌手を目指す三女の美花、
そしてヨンギルとヨンスンの間にできた私立高校に通う長男の時生。

この1つの家族の歴史を追いながら、2世代間にわたる在日の歴史が縮図のように描かれていきます。

本当に素晴らしかった!

終わっても涙が止まらなかったです。
在日コリアンの話だけど、「その歴史をほとんど知らない韓国でも、彼らを差別してきた日本でも共感と感動を呼んだ」というのも納得です。

これは<家族>の物語。

家族が離れ離れになる時、オモニがみんなに言った「どこにいても家族だから」という台詞が重く響きます。

ところで、パンフレットの鄭義信さんのこのコメントが意外でした。
「歴史認識が芸術の核となっていた韓国でも、近年は個人主義への傾倒が著しくて。血縁で結ばれた同心円状に広がる社会だったのに、その構造すら崩れつつあるんです。だから日本ではある種の懐かしさ含め、上の年齢層の観客を中心に受け入れられた『焼肉ドラゴン』が、韓国では若い人たちが『目の前で壊れつつある自分の家族の物語』として強く共感をもってくれた。」
韓国を少し知ると、彼らが自分の家族や仲間を大切にする民族で、いかにその絆が社会で細かく繋がっているかを感じますが、現代ではそれも少しずつ変化してきているんですね。

そうそう!
始まる前にろくにキャストも確認していなかったので、実際に舞台を見て、出演している役者にびっくりでした。
アボジ(お父さん)役にシン・チョルジン、オモニ(お母さん)役にコ・スヒ!
...ちょっとマニアックに韓国映画を知っている人なら、名前は知らなくても顔を見れば「ああ!」となる役者です。
日本の役者も良かったけど、とにかくこの韓国の俳優陣のうまさに舌をまきました。

韓国映画を見始めて知ったんですが、韓国には「ザ・職業俳優」って感じの演技がうますぎる俳優がわんさかいるんです。
ちなみにめがねはチェ・ミンシクのファン。キャッ☆

タイトルだけ決めて、あまりに長く(準備中)のままにしてきた「めがねブログ」。
いきなり舞台の事を書いちゃいましたが、本当は趣味の宝塚と読書のことを書こうと思ってます。
つーことで無理やりですが、在日コリアン、日本人、韓国人交えての映画作りのドタバタを面白おかしく描いたこちらの本。
「シネマ・シネマ・シネマ」ヤンソギル.jpg
梁石日の「シネマ・シネマ・シネマ」がお勧めです。
鄭義信はもちろん、在日の交友関係ってこんな風につながっていて、あの映画ってこうやって作られたんだなーって、映画が2倍楽しめると思いますよ。


『ベンダ・ビリリ!』上映会の御礼

『ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡』の上映会にお越しいただいた皆様ありがとうございました!

お客様への御礼の言葉を選んでいるうちに思わぬ時間がたってしまいました。

まず上映会前に起こった東日本大震災の事から。
大地震が起きた事をラジオで聞き、慌ててテレビをつけました。
最初の混乱、続く大津波、千葉の石油コンビナートの大爆発...まるで映画かと思うほど現実感のない凄まじい映像の連続に、しばし呆然としました。
しばらくして東京の配給会社から地震による東京都心の機能停止情報が続々入り、もう仕事どころではなく「日本はどうなるんだ...」という不安の中、祈るような気持ちでテレビを見続けました。

そして日々被害の状況があきらかになる中、何本もの映画の上映自粛、延期が決定。

映画を上映するはずだった映画館はもちろん、広告が中止になるメディアやその対応をする代理店に至るまで、とにかく現場は大混乱。
プロジェが関わる作品も2本公開延期が決定。一方で製作宣伝をしている『ラーメン侍』は久留米で撮影中で、出演者が現場入りできなくなったり、予定していたロケ取材を中止せざるを得なくなるなど、事態収拾にてんやわんやでした。

そんな中、今"映画に出来る事"、今"映画を宣伝する意味"を何度も考えました。

作品によっては上映会自体中止していたかもしれません。
でもこの『ベンダ・ビリリ!』は、今やる意義があると信じて実施しました。

「来るかどうか迷ったけど来てよかった」

「今苦しんでいる東北の方たちにこそ見せたい映画ね」

お客様にそう言っていただけて、私たちもたくさん勇気をもらいました。
足を運んでくださったお客様、トークゲストの皆様、サポートしてくださったスタッフの方全てに感謝しています。

これからも映画の可能性を信じ、日々精進してまいりたいと思います。

改めましてこの度の東日本大震災により被災された皆様にお見舞い申し上げます。
個人としてできることはもちろん、仕事を通してできることを模索しながら、1日も早く皆様が元気を取り戻せるよう心からお祈りしております。
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ザ・シェイプ・オブ・シングス~モノノカタチ~、このタイトルが語るモノ

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超プラチナチケットを手に、ももちパレスに向かいました。

客の99.9%は女性、
それもそうでしょう、主役はあの向井理くんなのですから。

原作はアメリカの脚本家・ニール・ラビュート。
2001年ロンドンで賞賛と波紋を呼んだ舞台の翻訳もの。
ロンドンでは異例なことに、テレビ番組でこの作品についての討論番組が放映されたそうですから。
見終わったらそうしたくなるのも分かります。

演出は演劇ユニット・ポツドール主宰の三浦大輔さん。
昨年、彼の「裏切りの街」を見て、キャスティング(田中圭・秋山奈津子・松尾スズキ・安藤サクラ)独特の音楽と演出ぶりに圧倒されたのでした。

前回の「裏切りの街」も男女4人のお話。
今回もそうです。

美大生のイブリン(美波)は美術館でアルバイトをする小太りで冴えない姿のアダム(向井くん)に出会います。美術品にある落書きをしようとするイブリン、それを止めることも面倒くさい弱気なアダムに関心を抱いたイブリンと彼は付き合うことになるのですが、その目的は...というお話です。

この芝居、原作が良い!脚本が良い!台詞が生きている!
そして演出・音楽が良い!
女優・美波が良い!
もちろん、向井くんの頑張りもありますが、これは見るべき芝居でした。

ラストの美波扮するイブリンが卒業制作で発表した作品とは何だったのか?
これは衝撃です!
真っ赤なスーツを着て美波が語るのを観客席に椅子を持ってきて、残りの3人が聴いています。
最初の二人の出会いがラストを暗示していることが、終わって分かるのですねえ。
素晴らしい演出でした。

三浦大輔さんの舞台には、本当に上手い役者しか登場しません。
そして背が高い、ちょっと気弱な役を演じられる役者(田中圭・向井理)と、役になりきって強い女性を演じられる役者(安藤サクラ・美波)が好きなのだなあと改めて感じました。

三浦大輔、美波、要注目です!
美波は野田秀樹、蜷川幸雄、長塚圭史にも気に入られ、彼らのミューズとして舞台に出ています。
福岡に来たらお見逃しなく!
 

『ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡』開始時間の訂正とお詫び

3月19日(土)と20日(日)の16時の回は上映時間調整の為、最大で15分程度ずれこむ予定です。お客様に大変ご迷惑をおかけしますことを、関係者一同心よりお詫び申し上げます。この度の反省を踏まえ、より良い上映会になるよう努めてまいりますので何卒ご容赦ください。

湯布院玉の湯楽しみました!

毎年この時期に、10人ほどの大人数で湯布院 玉の湯 宿泊贅沢ざんまいツアーやっております。
このツアーに参加するため、東京やロスアンゼルス(たまたま)からやって来るメンバーもいます。

こんなツアーを始めてなんと9年になりました!
来年は10年を迎えるので、「目指せ!連泊」です。

旅館玉の湯の素晴らしいおもてなしスピリットは、何年経っても変わりません。
フレンドリーなのにきちんと距離も保っています。
部屋もお風呂も楽しみですが、なんと言っても料理ですね!

ご堪能ください!

2日目の朝は雨でした。
雪の日もよし!
雲ひとつない快晴の日もよし!
そして雨の日もまたよし!の湯布院・玉の湯であります

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おひな様の季節なのでまずちらし寿司が出てきました

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この前菜から始まります

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今回は「しゃぶしゃぶ」と「すき焼き」をお願いしました。
しゃぶしゃぶはクレソンとシャキシャキのレタスでいただきます

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これはすき焼き、本当に肉の味と野菜の味が堪能できます

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デザートは5種類ほどから選べますが、今回は「あんみつ」にしてみました

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これは、朝食、迷うことなく洋食を選び、この名物・クレソンスープをいただくのを楽しみにしています

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さて、宴で飲んだワインたち。
すみません!持ち込みさせていただきました

CHAMPAGNES:
・GHマム N.V.
・ボランジェ・スペシャル・キュベ N.V.
VINS BLANCS:
・シャブリ タイユバン 2008
・マコン・ビラージュ コント・ラフォン 2009
・マルグラ・ガヴィ・デ・ガヴィ 
VINS ROUGES:
・ブルゴーニュ・ルージュ ルロワ 2000
・シャトー・ランシュバージュ 2004
・ムートン・カデ(80周年記念エチケット)2008
・フェイティクリネ・ポムロール 2002
・キャンティ・クラシコ マキャヴェリ 2006

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毎年このチーム。万障繰り合わせて集まります!

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