マスメディアの真意と真価って

中国との尖閣諸島問題を各メディアがこぞって取り上げている。

流れてくるメディアの情報だけを見て聞いていれば、
「中国が無人島への領有権を100年たって急に主張してきた。
 東アジアおよび世界への玄関、そして海底にねむる石油をにらんでの、
 私利私欲的行動。日本のみならず東南アジアの国々にとっても脅威。
 アメリカも危機感を抱いている。」
といった、かなり一方的な中国批判の報道だ。
これを聞いていると、こっちも嫌でも煽られて、
「まったく中国という国はなんて国だ」
「理解に苦しむ国だ」
という気持ちになってくる。

しかし、本当に報道されている内容が正しいのかどうか。
いや、報道から受ける「印象」が正しいのかどうか。

そこがすごく重要だ。

ささやかながらでも取材を受けたことのある身の経験から言えば、
メディアというのは、かなり独自の台本に基づいた報道をする傾向がある。
既に自分の中でストーリーをつくってから現場にやってくる。
はっきり言ってドキュメント映画と変わらない。
ディレクターはあたかも監督のようにシナリオを書いて取材し編集し報道する。

例えば今回の問題も、各社ほとんど同じ様な内容で、煽るような報道だ。

全てが同じ、というのはどうにも気持ちが悪くはないか。

8割同じで2割違う なら その8割や2割には信憑性があるが、
10割同じというのは、どうにも信用がならない。
ほんとに現場に行って、しかもそもそも現場に数年間滞在して、
そこまでの国の経緯や空気感などを知った上での、その上での報道だろうか。

中国と日本を頻繁に行ったり来たりしている商社の知人がいるが、
いつも彼から聞く中国の話は、まったくメディアから感じるものとは違う。
少なくとも「よく分からない国」という印象はない。
いいも悪いもはっきりとした方向性があってビジネスも政治もしている国
といった印象で、そういう意味ではアメリカなどと変わらない。
むしろ日本の方がビジネスも政治も方向性がはっきりせず、「よく分からない国」ではないか。

マスメディアがイデオロギーを持っているのは悪いものではないし、むしろそうあってしかるべきだろう。
しかし今のマスメディアははっきりとしたイデオロギーがあるわけではない。
冷戦構造が崩壊して、主義らしい主義は無くなった。
あるとしたら視聴率主義だろうか。そして大衆煽動主義だろうか。
要するにマスメディアこそが「よく分からない」時代なのだから、
そこが報道する情報ははっきり言って「嘘半分」で聞かなければいけないわけだ。
だってどの局も同じ報道ってそれは絶対におかしいのだから。

今は僕らメディアから情報を受け取る側がある意味試されている時代と言っても過言ではない。

高い意識が必要だ。

これは、用心していてもかなり影響を受けるのだから、かなり難しいことだ。

それは中国国民だってそうだ。
おそらく中国国民や北朝鮮国民を見て、「国の言うことばっかり信じてるなんてなんて馬鹿な」
と思っている日本人は少なからずいないだろうか。
でも彼らが僕らの環境と実はさほど変わらないとしたらどうだろうか。
向こうも自国のメディアの情報を頼りにしているし、それで判断している。
そして「なんて日本は勝手な国で、全然戦争から懲りて無いじゃないか」
と思っている可能性は無いだろうか。
例えば日本で少数派が反中デモを行い、あたかも中国メディアがそれを全日本国民の総意のように
報道したら中国人はどう思うか。
もしかしたら日本のメディアが取り上げる反日デモがごく少数の人の行動なのかもしれないのだ。

結局両国ともメディアなどに大きく影響を受けて判断していて、
実際に自分が行って確かめたものでもなければ、実感からくるものでもない。
なのにこういった重要なことに限ってメディアの影響を受ける。
というかこういう次元のことはどうしてもメディアを頼らざるを得ないからはっきり言って仕方無い。

だからこそ、メディアはもっと多角的な報道をしてほしい。
そして、たいしたイデオロギーが無いなら、ただただ正確に情報を流して欲しい。
ある一部の人の意見やある一部の現象、ある発言の一部だけをを使うような、
そういった、情報に誤りはないが「勘違い」させる、報道は避けて欲しいと切に願う。

僕はまだ中国本土に行ったことはない。
だから今回の現実はよく見えていない。

でも自分が確かめるまでは、マスメディアの報道を鵜呑みにはしたくない。
あくまでも一つの側面であるとして見ておきたい。

そう肝に銘じる。



荻窪▶北柏▶広尾▶羽田空港

今回の東京出張は今日で終わり。 北柏の祖母の見舞いや、広尾の解体前フランス大使館の建物及び開催中のアート展「NO MANS LAND」が少しだけど見れて、良かった。


from I-phone

場所:品川

花と兵隊@KBCシネマ

タイやビルマに残る未帰還兵のドキュメンタリー映画を見てきた。良かった。色々考えさせられた。鑑賞している人たちも普通の映画とは違った。たまたまお正月に「ビルマの竪琴」を見ていたので、ますます色々想いが巡った。偶然とは言え、見ておいてから行けて良かった。 from I-phone

社会の階層

ネイティブアメリカンのアーティストに会う機会があった

多民族国家をうたいながらもけして平等ではない国

誰が最初に住んでいたか などという問いは不毛だろうが

今置かれている社会構造を把握し、動くことは重要だと思った

社会構造をアートに落とし込み、対比的に見せる展示

しかしその展示自体が既に構造の一部であるということ

社会構造の階層は複雑だ