Skyline With Flying People in Hanoi, 始まりました

現在、代表野田がハノイのアートプロジェクト

Skylines With Flying Peopleに会場デザインとして参加しています。 


今回number of design and architectureとして会場デザインをさせて頂きました。
その内容は、敷地であるJapan Foundationの建物を、荷物の運搬に使う木製パレットを大量に用いて構成するものでした。

R1070943.JPG

R1070940.JPG

短い施工日程の中、現地の大工さん、Japan Foundationの方々、アーティストたち等多くの方々との打ち合わせ、デザイン、見積り、施工、が同時進行で行われていきました。延べ3000枚以上にわたるパレットが使用され、今回のための空間が完成しました。

R1071438.JPG

R1071479.JPG

R1071447.JPG

先日、4日に行われましたオープニングの様子です。
決して気軽にお越しくださいと言える場所ではありませんが笑、会場には代表の野田が22日まで、展示そのものは来年の1月6日まで行われておりますので、もしハノイに行く機会のある方はぜひご覧くだざい。

製作過程も含め当ページでも改めて報告していきます。


展覧会概要

スカイラインズ・ウィズ・フライング・ピープル

Skylines With Flying People


日本とベトナムの若手作家計11組が参加する滞在制作・交流展で、

ハノイにある国際交流基金を会場に開催されます。

野田による「場」の改装から始まり、ベトナム人アーティストを中心に約10名が

施設内に作られたスタジオで公開滞在制作を行います。

その他にトーク、パフォーマンス、展覧会、なども開催され、

日本とベトナムの現代アート関係者が約1ヶ月にわたって交流を行う、

実験的かつ今までに例のないプロジェクトとなっています。


会期 2012年12月4日(火)~2013年1月6日(日)

会場 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(27 Quang Trung, Hoan Kiem, Hanoi)

主催 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター

共催 ニャーサン・スタジオ

助成 プリンス・クラウス基金

協力 ゲーテインステテュート・ハノイ/紺屋2023/東北九州プロジェクト

ウェブサイト

http://swfp.org/s/

フェイスブックイベントページ 

https://www.facebook.com/events/301765939942544/?notif_t=plan_user_invited


こちらのページで日本語の詳しいリリースをご覧いただけます
http://jpf.org.vn/jp/2012/12/01/skylines-with-flying-people/


SWFP参加と事務所不在のお知らせ

SWFP(Skyline With Flying People)という、
ハノイで2012年12月4日から12月22日まで国際交流基金ハノイオフィス(http://jpf.org.vn/)と
地元若手アーティスト グエン・フォン・リン主催によって開催される
ベトナムと日本のアーティスト交流・制作・展示のプロジェクト
「skylines with flying people」[公式ウェブサイト:http://swfp.org(英語)]
に、no.d+aが会場構成ディレクションを担当しています。


それに伴いまして、以下の期間
2012年11月26日〜2012年12月5日
事務所を不在にしております。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願い致します。

「ピーターブルックの魔笛」@北九州芸術劇場

先日の「走れメロス」でご一緒させてもらった演出家山田恵理香さんが、「私が大好きな演出家は蜷川幸雄とピーターブルック」と言われたのをきっかけに、今日北九州芸術劇場に「ピーターブルックの魔笛」を観劇に行ってきた。

世界の演劇界に多大なる影響を与えた巨匠演出家。しかし、残念ながら僕は今まで知らなかった。建築界以外の芸術分野の人がル・コルビュジェを知らないのと同じようなことなんだが、有名人・偉人て一体なんなんだろうと思ってしまう。そして、人の興味のあるないは本当にその人の可能性や思考範囲を決めてしまうな、とも改めて思った

さて、それでどうだっかと言えば、
やはり良かった
まあ当たり前と言えば当たり前だが、僕のような限りなく素人に近い者にとっても大いに楽しめた。

何より全てがシンプルだ
本来のスタンダードな魔笛を見ていないので少々無責任だが、通常3時間あるべきものが90分になっているだけあって、かなり削ぎ落とされていると感じた。しかも、本来メインシーンになるはずの部分ほど削られているように見えた。それは例えれば、描かれた部分が無くなり、余白だけになった絵画のようだ。余白を演出することで、観客の脳裏にはそれ以外の描かれていたところが同時に炙り出される。こんなシーン、わざわざ描かなくても想像できるでしょ?それよりも重要で豊かにしてくれるのは見えない行間でしょ?という風にも見える。そのためストーリーも台詞もシンプルになっていて、何も気をてらった箇所は無かった。
舞台美術も大変シンプル。完全に竹のみで構成されている。しかしそれらが大変豊かにそして柔軟に変化し、役者と呼応しながら様々なシーンを生み出していた。
衣装や音楽、照明も同じく全てがシンプル。それでいて、全てが抽象的で洗練されている。にも関わらず難解ではなく、むしろ分かりやすい。

いやあ、突き詰められた先、というか、行き着いた先、というか。
本当に必要な要素だけに絞られ構成されている、と言えば易いが、そこに至るまでの長く複雑な過程や試行を思うと、その凄さにただただ圧倒されるだけだ

福岡市 舞台芸術創造発信プロジェクト 走れメロス 是非ご来場下さい

2006年の冷泉荘立ち上げ時にオープニングを務めて頂いて以来、2009年冷泉荘終了までの毎年の周年イベントへの出演や福岡大学での講義内ゲリラ公演でご一緒させて頂いたり、「埋められた子ども」、寺山修司「アダムとイブ、私の犯罪学」やW.B.イェイツ『窓ガラスに刻まれた言葉』『煉獄』『骨の夢』などの観劇を通して、毎回驚きと新たな視点を提起してくれる劇団GIGA。http://spacegiga.com/

僕が芝居に興味を持つきっかけになった思い入れ深い劇団です。2006年はおかげで芝居からミュージカル、歌舞伎、コンテンポラリーダンスとほぼ毎月なんらかの舞台を見に行く一年になり、今はそこまでの頻度ではありませんが、見に行くことが習慣となりました。
よく言われることですが、舞台芸術は絶対に生で見ないと分かりません。そのため、2006年以前の僕みたいに、一度見たらはまるはずなのにその機会がないため見に行く習慣がない人、も潜在的にかなり多いと思います。
ただ、肝心なのは、最初に何を見るか。

そういう意味で、僕にとって実質最初が劇団GIGAだったのは幸運?だったと思います。今や東京で野田MAPに参加するようになった菊沢さんはじめ五味さん猛者さんなどの一癖も二癖もある役者さんたちと、そして「利賀演出家コンクール」優秀演出家賞を受賞している奇才演出家山田恵理香。彼らの舞台でがっかりさせられたことは僕はまだありません。むしろ必ず毎回いい意味で裏切られます。

おっと、だいぶ前置が長くなってしまいました。失礼しました。

この度幸運にもそんな山田恵理香さん演出の舞台の舞台美術をさせて頂くことになりました。
Fukuoka in Asia 舞台芸術創造発信プロジェクト 子どもとおとなのための舞台芸術「走れメロス」
http://www.ffac.or.jp/event/event-doc.asp?did=578

今回も期待を裏切らない演出になりそうです
そんな演出を美術がちゃんと受け止められているか
年明けから色々苦悩して僕なりに行き着いた答えですが、そのジャッジは観客の皆さんにして頂きたいと思いますので、ぜひ一度ご来場下さい

特にお芝居が初めての方にはぜひこれを最初の観劇にしてもらえたら幸いです
そしてそれをきっかけに舞台芸術にはまって下さったら望外の喜びです

なお、これは移動式劇場プロジェクトでもあります。今回が難しくてもぜひまた次回以降に。
ちなみに舞台美術は今回諸事情あってデザインを変更しての開催になりますので、深まっていくであろう演出ふくめ行く次回以降もぜひご覧下さい

野田

アートの力、可能性

昨日仕事で大阪で絵描きの淺井裕介くんと一緒だった。

そこで、年明けから東京都現代美術館で行なっていた彼のワークショップのあるエピソードを聞かせてもらった。

彼は、泥やマスキングテープ、白線シートなどの、日常にある素材を使って絵を描く。
ワークショップでは、マスキングテープによるワークショップを行なったそうだ。
全部で4日間の日程。最終日は震災後だったにも関わらず、全員が参加できたそうだ。
http://d.hatena.ne.jp/asaiyusuke/20110326

その参加者の中に一人の中年の会社員の人がおられた。
この方はこのワークショップに参加したことで、鳥や植物をマスキングテープを使って描く術を知った。
それが思わぬ時に力を発揮した。
それは震災時。
会社に出勤中だったこの方は震災の影響で家に帰れず、会社で一晩過ごしたのだそう。
他の同僚の人たちが、慌て、不安になり、落ち着けずにいる中、
この方はもくもくとマスキングテープで鳥をつくっていたのだそうだ。
そしてそのことで「救われた」「落ち着く事ができた」のだそう。

今東北の人たちが過酷な状況に直面している中、ほとんどの日本人、そしてたくさんの世界の人が、何か自分にもできることはないだろうかと考えている。それはアート業界の人も同じだが、どうしても「アートはこういう時に無力だ」と思ってしまう人が多いそうだ。僕も、なんて建築は無力なんだ、と流されて行く建物を見てむなしくなった。きっとそんな気分なんだ。

災害による被災者の心理的変化には4つの段階があるという記事が先日新聞に載っていた
1「衝撃期(茫然自失の段階)」 目の前で起こった事が信じられず、何もできない失望感の段階
2「蜜月期(ハネムーンの段階)」被災した人同士、または周辺の人たちが、一致団結して立ち向かおうとする段階
3「幻滅期(混乱の段階)」被災者間に格差が出たり、怒りや不満が爆発し、もめ事が起きる段階
4「再建期(復興の段階)」復興にめどが立ち、将来を考える段階

今は2つめの段階だ

しかしいずれ3つめの段階がやってくる。
もしかするとこれがある意味精神的には一番きつい段階なのではないだろうか

確かに1つめと2つめの段階では、アートやデザイン、建築には貢献できる面が少ないかもしれない
災害支援面から見れば、1つめの段階は「消防」「救命」であり、2つめは「避難支援」で、なかなかこれに関わることは難しい。

でも一番きつい3つめの段階には何か役割があるかもしれない。

例えば、避難所の殺風景な壁や天井に、アーティストが絵を描く、とか。
ワークショップなどで子供に楽しい時間を提供する、とか。
小さな演奏会を開く、とか。

今日紺屋のギャラリーでは、ライブペイントが行なわれた
現在開催中の「エイブルアート展」の企画だ。
エイブルアートは障害のある人たちによるアート
本当はもっと色々意味があるが、簡単に言うとそういうアートだ。
http://konya2008-2014.travelers-project.info/konya-gallery/2011/02/life-map--draw-the-line-.html
今日は本田さんというアトリエブラヴォに所属する作家さんのライブペイントだった。
彼は13時から16時まで、ただただ無心で描いていた。

その姿は、何か見ていて力を与えられている気がした。
特に「無心」であることが姿からよく伝わって来て、無心になることの難しさ、そして大切さを思い出さされた。今の自分にも足りていない心のあるべき状態だ。
出来った絵もさることながら、その描く姿に小さな感動を覚えた。

避難所の大きな壁に、たくさんのアーティストがライブペイントをしたら、その姿と絵がどんなに人の心を救うだろう
被災者の人々がみな思い思いにマスキングテープで鳥や植物をつくったら、どんなに心が解放されるだろう

ふとそう思った。

アートの力、可能性

それは凄いのではないか。

そしてもうすぐやってくる3つめの段階でこそ、その力は発揮されるのではないか
生命と肉体の安全が確保された次は、心の救助を文化がするべきなのではないか

もちろん簡単は話ではない。所詮現場を分かっていない者の戯言に過ぎない。
でもそう本当に心から思ったのだ。

from I-phone