轆轤(ろくろ)とノート展

300年の歴史を持つ伝統工芸「小石原焼」の陶芸家と、
紺屋メンバーでもある九州大学の池田先生の研究室、
それにデザイナーの城谷耕生氏という3者が共同で進めている
プロジェクトの過程と成果を見せる展覧会が開かれます。
3日間限定ですので、お見逃しなく!

--------------------------------------------------------------------------------------
轆轤(ろくろ)とノート展
〜九州大学と小石原焼陶芸家との共同プロジェクト〜
ディレクション|城谷耕生

日時:2月26日(金)〜28日(日) 12時〜19時
会場:konya-gallery 【紺屋2023 2F】 福岡市中央区大名1-14-28  Tel. 092-984-6292
   ★2月26日19時から、レクチャートークを行います。(場所:301号室)
    引き続きオープニングパーティー(参加費:1500円)
--------------------------------------------------------------------------------------

rokuroten.jpg

展覧会の紹介文を送っていただいたのですが、とてもすてきな文章なので、
少し長いですがそのまま掲載します。

< 主催者のことば >
福岡県朝倉郡東峰村(旧小石原村)の小石原焼は、300年の歴史を持つ、
国指定の伝統工芸品です。九州大学大学院芸術工学研究院の
池田美奈子准教授と池田研究室、ディレクターの城谷耕生、
そして小石原焼の3人の陶芸家たちが、2007年から
現代における伝統工芸のあり方を提案する食器デザインの
共同プロジェクトを進めてきました。
今回の「轆轤(ろくろ)とノート」展は、この2年間にわたる
コラボレーションの成果をご紹介する展覧会です。

「轆轤とノート」というタイトルは、陶器をつくること(轆轤)と、
調査と思考の積み重ね(ノート)を象徴しています。
「轆轤」と「ノート」が、まさにこのプロジェクトの特徴で、
どちらか一方が欠けても私たちの共同作業は成立しません。
単なる「ものづくり」ではなく、
むしろ「ものづくり」の向こう側にあるものごとに目を向け、
私たちの社会や文化、生活を考えることに多くの時間を費やしました。
物があふれる現代、これ以上必要な物はもはや殆どないと言えます。
それでもなお、物を作るならば、人々の生活や社会にとって
本当に意味のあるものでなければなりません。

長い歴史を重ね、人々の生活に寄り添ってきた伝統工芸は
大切に守るべき文化であることは間違いありませんが、
現代を生きる私たちの生活とかけ離れたものであっては
その意味が限られてしまいます。
伝統から何を受け継ぎ、何を刷新するかを慎重に見極めること、
それは祖先が育んで来た本当の知恵を見出すことにほかなりません。

物自体ではなく、物に組み込まれた「知」を見抜き、それを記録し、
新しくつくる物の中に活かすことも私たちの重要な課題でした。
今回のコラボレーションが、さまざまな調査と研究に重きをおいた理由は、
まさにここにあります。

私たちは、多くの研究の試行錯誤を書き付けた「ノート」を片手に、
「轆轤」の前に座って食器を作り始めました。
ものづくりを通して、人々とその生活文化、
さらに人々が生きる町を育てるために、
私たちはプロジェクトをさらに続けて行きます。


【朝倉郡東峰村小石原(旧小石原村)】

小石原村は宝珠山村と合併し、現在は東峰村となっています。合併前の小石原村の人口は1175人(2004年)、合併した現在の東峰村でも2500人程度です。四方を標高700メートルほどの山に囲まれた盆地で、かつては英彦山への巡礼者の宿場町としてにぎわいましたが、第二次大戦後から人口が減少し、過疎化が進んでいます。村には約50件の窯元があり、生活食器を中心に、小石原で採れる陶土と釉薬を使用し、ほとんど轆轤(ろくろ)による手作業で生産しています。窯元の多くは家族経営で、半農半陶の生活を営んできました。


調査・研究:九州大学大学院芸術工学研究院・准教授 池田美奈子+池田研究室
ディレクション:城谷耕生
制作:COCCIO(カネハ窯・早川窯・ヤマイチ窯)