『50/50(フィフティ・フィフティ)』

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笑えるがん闘病モノとは、これいかに?
『50/50(フィフティ・フィフティ)』快作です!

明日から3年ぶり(おそらく)の韓国旅行!
久々の韓国旅行フィーバーにかき消され、見た感動が薄れてるとマズイので、
出発前に昨日(11月15日)、試写を見せてもらったアスミック配給の
『50/50(フィフティ・フィフティ)』も紹介しておきます。

先日観た『エンディング・ノート』は、ある日突然ステージ4のがん告知を受ける定年後間もないお父さんの闘病&死までの段取りと家族の絆を描くドキュメンタリーでしたが、
こちらは27才の若さで生存率50%のがん宣告を受ける青年が主人公。

劇映画ではありますが、脚本家の実体験を基にしているというからエピソードはリアル。
かつ、一般的な「闘病モノ」にあるまじく、とっても笑える作品でした。

というのも、主人公のアダムが、人一倍、温和で律儀で冷静な性格だから。
気まぐれで片付けが苦手なアーティストの彼女を広~い心で受け入れ、
口を開けば下ネタばかりの悪友にも、声をあらげることなく付き合い、
認知症の父親の介護をしながら、自分の世話も焼く母親とは、衝突しない程度に距離を置き...。

典型的な草食系"いいひと"のアダムだからこそ、
がんという衝撃的な告知を受けてなお簡単に取り乱せないというか。

健康そのものだと思っていた自分が、突然がんを宣告されるなんて、
あまりに意外すぎて実感がわかないというか、もし私がアダムでも、
きっと同じように反応をしちゃうのかも...と思ったりしました。

ちなみにアダムを演じているのは、笑顔がものすごくキュートなジョゼフ・ゴードン=レヴィット

荻上直子監督が『トイレット』のキャンペーンで来福した時、
取材で「いつか彼を主演で映画を撮りたい」とほれ込んでいた『(500日)のサマー』の人です。

アダムがある日、突然迷い込む「がん闘病」という未体験ゾーン。
その戸惑いや周囲の反応とのギャップに、「くすっ」ではなく「ぶはっ」と笑ってしまう作品です。

「がんをコメディのネタにするなんて、けしからん!」という声もあるかもしれませんが、
そのユーモアが希望でもある、とも思える1本でした。

公開は12月1日(木)より天神東宝、TOHOシネマズ トリアス久山ほかです。

オススメです!

『サラの鍵』

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今日は、11月11日(金)の試写で見せてもらった
GAGA配給の『サラの鍵』を紹介します。
クリスティン・スコット・トーマス主演のフランス映画です。

C・S・トーマスは『イングリッシュ・ペイシェント』のヒロイン役で一躍注目された女優さんで、
あのころは美しい大人のイギリス人女優という感じでしたが、
とてもいい歳のとり方をしていて、何より作品選びがすばらしい。

フランスへの留学経験もあるそうで、フランス映画への出演も多いですよね。
最近では、2009年の作品で2010年に福岡でも公開された
『ずっとあなたを愛してる』が印象に残ってます。

息子を殺害した罪で服役していた女性が、
出所後、久々に再会した妹家族と暮らし始めるという話。

"息子を殺した母親"というショッキングさとはギャップのある
彼女の繊細さや知性、そして心の傷が見事に描かれていて、
ジーンとくる感動作でした。

ちょっと話が脱線してしまいましたが、
『サラの鍵』も、そんな実力派女優C・S・トーマスが出演するにふさわしい作品。
全世界で300万部を突破するベストセラー小説の映画化だそうです。

彼女が演じるアメリカ人ジャーナリスト、ジュリアは、
フランスも国家的に加担していたというユダヤ人強制収用に関する取材を通して、
彼女とフランス人の夫が彼の祖父母から譲り受けた家が、
かつて、あるユダヤ人一家の家だったことを知ります。

と同時にその朝、その家で起こったある悲劇的な出来事のことも。

その家に住んでいた少女サラは、すぐ帰れると信じ、
幼い弟を納戸に隠し、鍵を閉めたまま収容所へ入れられてしまったのです。
サラはなんとか、弟を助けるため収容所を抜け出すのですが...。

サラの消息を追う記者のジュリアが、期せずして(45歳にして)妊娠中という設定が、
毎回「重すぎて手におえないな」と感じてしまうユダヤ人の強制収用というテーマを
現代の私たちにも、ぐっと引き寄せてくれるような気がします。

誰にも知られることなく、過去に葬られたかもしれないサラの物語が、
ジュリアとその体内に宿った新しい生命によって、
今の時代を生きる人に語られるべく、発見されたのかもな...、と感じるような。

その理由は映画のラストに込められているのですが、
それは、さすがにネタばれになるので言えません。

爽やかな涙がスーっとあふる、やさしく暖かいラストシーンですよ。

公開は、東京が12月17日(土)~銀座テアトルシネマほか。
福岡では1月28日(土)~KBCシネマで公開予定です。

「痩せたほうがいいよ」なんて、もう、お父さんに言うのやめます。

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11月9日(水)レディースデー

昨日は、支配人のM姉さんが、今年4月くらいからモーレツにお薦めしていた
「エンディング・ノート」をKBCシネマで観賞。

絶対、号泣しちゃうんで、映画館で観るのは躊躇していたんですが、
支配人の
「大丈夫、周りでみんな嗚咽してるから」
という言葉に背中を押され、1人で観に行きました。

口コミでも話題になっているので、
ご存知の人も多いと思いますが。

この作品、ステージ4のがん告知を受けた元熱血サラリーマンの父親が、
仕事ばりに自分の葬式までの段取りを組む姿を
その娘(次女)が追ったドキュメンタリー。

ちなみに、この砂田麻美監督は、フリーの助監督として
是枝裕和監督の作品にも何本か参加していて、本作が監督デビュー作。
是枝監督がプロデュースを務めています。
だからでしょうが、是枝監督がご自分のお母さんの死後に撮った
「歩いても歩いても」にも通じる
"わかるわかる"な空気感が漂っているんですよね。

最初の遺影のシーンから涙が出ちゃって、
案の定、終盤は嗚咽してました。帰りは支配人にも挨拶せず、そっと退場。
これで感動しない人はいないでしょう。
単純に泣けるということではなく、
死に方とか家族との関係について考えてしまう。

この映画の肝は、何事にも"仕事ばり"取り組んじゃうお父さんのキャラです。

明るく、まじめで、ガッツがあって
入社以来、仕事一筋で、勤めた製薬会社の役員まで上り詰めた
高度成長期の典型的なジャパニーズ・サラリーマンのお父さん。

驚くのは、どこまでも前向きで謙虚で冷静さを失わないお父さんの立派さ。
その立派さが、時々場違いで妙に笑えたりするわけです。

だって、自分ががんで余命いくばくもないのに、
どこに行っても、誰に対しても
「私事で恐縮ですが...」とか、
「ご迷惑ばかりおかけし、申し訳ありませんが...」とか
周囲への気配りばかりしているんだもの。

自営業でわがままなうちの父親につめの垢でも煎じて飲ませたい。

とはいえ、6ヶ月前にはあんなに恰幅良かったお父さんが
6ヵ月後には別人のように痩せてしまうとは...。

原田芳雄さんの最後の舞台挨拶の模様を観た時も思ったんですが、
人って病でこんなにも急激に痩せてしまえるもんなんですね。

うちの父親も太めで、会うたびに
「痩せたほうがいいよ」なんて言っちゃうんですが、
もうそんなこと、言うのやめることにします。

でも、うちの父親は糖尿の気があるから、
やっぱり痩せたほうがいいのか...。

『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』

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今週の映画はじめは、
11月7日(月)、天神東宝で行なわれた
『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』完成披露試写会
天神東宝に導入されたばかりの3Dシステムでいち早く見せてもらいました。

作品は、言わずと知れたスティーブン・スピルバーグの監督最新作にして
初のアニメ作品(ですよね?)。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソンと共同プロデュースということで、
そのVFXも世界最強。

これ実写じゃないの?と思わず目を見張るリアルな背景やディテールとともに、
童顔のヒーロー(というか、少年記者か)のタンタンやキュートな相棒犬スノーウィーが
生き生きと活躍する見ごたえある作品でしたよ。

ある日、蚤の市で見事な船の模型を手に入れたことから、
17世紀に海で忽然と姿を消した伝説のユニコーン号をめぐる冒険に巻き込まれていくタンタン。
その模型は伝説の船長が3人の息子に残したもので、
それぞれの模型には宝地図が...とシンプルなストーリーながら、
全編がアニメならではのアイデアとユーモアいっぱいの
スペクタクルな見せ場とアクション・シーンの連続。

特に、砂漠から妄想(回想?)シーンで、海上のシップ・バトルが始まるところとか、
宝のありかが記された3枚のメモをめぐって繰り広げられる
鷹(あるいは鷲?)×犬(スノーウィー)が入り乱れたカーチェイス・シーン
アニメならではの楽しさで、子供に見せたら死ぬほどリピート見するだろうな~と思われるユニークさと痛快さでした。

イラストを観たことがある程度で、全然予備知識なかったのですが、
「タンタンの冒険」はもともとベルギー漫画なんですって。

原作の雰囲気を残しつつも、かなりリアルなルックスの映画版タンタンは、
若干、ディカプリオ似? 
彼のパートナーになる酔っ払いのハドック船長は
かなりのトミー・リー・ジョーンズ似でした。
ちなみにハドックの声は、今話題のアンディ・"猿の惑星"・サーキスです!

女子的には、もう少し感動エッセンスがあればな~!とは思いましたが、
エンタメ冒険モノの3Dアニメとしては、破格の出来。
相棒犬スノーウィーの愛くるしさも半端なく、
見た後は、確実にスノーウィーのぬいぐるみが欲しくなりました(メロメロ)。

『ミッション:8ミニッツ』&『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』

こんにちは、ちびっこOこと大迫です。
10月31日(月)、久々のハリウッド映画『三銃士』の鑑賞で、
洋画好きなマインドをにわかに思い出した私は、
なんと翌日からスタッフめがねとともに、洋画エンタメざんまい。

11月1日(火)は映画の日で 、『ミッション:8ミニッツ』を鑑賞。
前の週に『王様のブランチ』の紹介されてて気になってたんです。
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こちらデビッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズの監督作ということで食指がうごく人も多いかもしれませんが、
私のツボは、ずばり"タイム・トラベルものSF"というところ。

とはいえ、人間が肉体ごと時空を超えるわけではなく、
意識だけが、その時その現場に居合わせた者の肉体に、
"8分間だけ"転送されるというのがミソ。

よくあるタイム・トラベルものでは、
過去に戻るのは、未曾有の事故を未然に防ぐため、ってパターンが多いけど、
この作品は、「確定した過去は変えられない」という理論が前提。
だから、ミッションを遂行している米軍の目的は、
あくまで過去に起こった事故で犯人を特定して、
これから起こるかもしれない事件を未然に防ぐことなのです。

ここで、そのミッション遂行のため、爆破8分前の列車に乗っていた
犠牲者(まじめでシャイな学校の教師らしい)の肉体に、
何度も何度も意識を転送される主人公、
米軍エリート大尉の胸中に疑問と葛藤が起こってくるわけです。

転送されるたびに列車の中で目覚めると、
目の前には魅力的な笑顔で自分を見つめる女性クリスティーナ。
そして、なぜ数日前まで前線で戦っていたはずの自分が、このミッションについてるのか...?

繰り返される8分の中で次第に分かってくる真実と、
ネタばれになるんでこれ以上は言えませんが、
期待を裏切らないラストのドンデンは満足度大アップでした。

11月4日(金)は、キャナルで『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』を鑑賞。
通りすがりの高校生まで「『猿の惑星』観て~」というほどのヒット作。
これを観ておけば、ひとまず時代には着いていっている感じがするでしょ?
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で、いろいろ「こりゃ、すごい」ポイントはあったんですが、
一番つっこみたくなったのは、
猿の知能の進化が早すぎること、と
サンフランシスコに生息する猿の驚異的な多さ。

「いやいや、さすがにそれなないだろう」と随所で突っ込める詰めの甘さと、
強引なスピード感が、久々にきたハリウッド(大味)テイストで楽しめました。