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12.03.03
時代は1600年代、有馬藩。
筑後川に堰を築いた百姓たちの物語です。
舞台になる生葉郡は、目の前を水量の多い筑後川が流れているにも関わらず、高台に土地があるため、水の恩恵が受けられない貧しい土地。
それらの村で重要なのが「打水」という仕事。
「両端に長い綱がついた木桶を土手の上から川面に投げ落とし、2人で引っ張り上げて土手の反対側にある畑に流す」
想像するだけで肩がこりそうな作業です。
しかし打水を朝早くから日が暮れるまで毎日続けても、村全体に水が十分に行き渡る事はありません。
出来高とは到底見合わない年貢米に苦しめられ、自分たちの食い扶持も確保できない、貧しさの無限ループ。
高田村の庄屋・山下助左衛門は、現状を打開しようと何年もかけて周囲の山々を歩き周り、筑後川に堰を築く広大な絵図面を完成させます。
彼が発起人になって、先祖代々この"水涸れ地"に住んできた5人の庄屋が立ち上がるわけです。
でも「ここに堰を作るぞ~!」というお殿様のツルの一言で、次のページでもう出来上がってましたーと簡単にいかないところがこの本の面白さ。
主役はあくまで百姓。
百姓の上には庄屋がおり、その上に大庄屋がいて、一段階上がって下級武士がいて、その上に郡奉行がいて、その上に普請奉行がいて...と気が遠くなるくらいの縦社会だった昔の話です。
水があれば周囲の村も豊かになって、それがひいては藩全体を潤すんですから!
...なんてことは本来一番底辺にいる百姓が言いだす事ではなく、さらには「うちの村にはメリットがねえ!」と反対する村々に邪魔をされる始末。
しかし、1人の下級武士が彼らの窮状を理解してくれたことによって、ジリジリと話が動き始めます。
根回しに根回しを重ね、粘りに粘って、まさに不退転の決意で普請奉行様に涙の訴えをするシーンまでたどりついた時にはもう!
一緒になって「おねげえしますだ!マジで~」と土下座するような気持ちに。
その後も五庄屋達にはこれでもかというくらいの試練が待ち受けていますが、自分たちの為ではなく未来のために信念を曲げない彼らの姿は、次第に周囲の人々の心を動かしていくのです。
戦国時代の武将や幕末の剣客が主役というものが多い中、百姓が主役という異色の時代小説。
史実に基づいた、地味ながら感動的なお話です。
福岡出身者には特に読んでもらいたいなあと思って、紹介させていただきました。
※大石堰(福岡県うきは市HPから)
→http://www.city.ukiha.fukuoka.jp/imgkiji/pub/detail.aspx?c_id=70&id=56
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12.03.03
ジョン・ハンターは1728年イギリス生まれ。
後に「近代外科学の父」と呼ばれる偉人です。
最初は兄の解剖教室の助手をしていたジョン。
死体を手に入れる為に墓泥棒までしながら何千体も解剖する内に、生命の不思議に魅入られてしまいます。
やがて独立したジョンは、動物や人間の遺体を使って解剖を続けながら、実験的な手術を実践。
例えば、当時蔓延していた性病の治療法を見つける為、己の性器を実験台にして経過を観察。死に至る性病もあると知っている現代人からするとゾッとしますよね。
またある時は、金と引き換えに健康な人の歯を抜き、虫歯で歯が抜けた口元を気にする金持ちの歯ぐきに差し込んで糸で固定するという、今で言う入れ歯治療を実践。抜きたてが一番くっ付きやすいと、治療室の隣に歯を抜く人を待機させたというんだから驚きです。
自分の死体を狙うジョンを恐れるあまり、ノイローゼ気味になってしまう巨人症の男との攻防戦は、まるで漫画。「どっちが勝つか賭けようぜ」なんて言ってる町の人たちの様子まで出てきて、死体を狙われてる人には申し訳ないけど、あまりに荒唐無稽で笑わずにいれません。
うーむ...アンビリバボー。
天才とバカは紙一重とはこのことですかね。
完全に常軌を逸した頭のおかしいおじさんです。
「...だって、やってみたかったんだもん」ですんだら警察は要りません。
しかし、ほとんどの医者が「瀉血」(静脈を切って血を出す)を最高の治療法と信じていた時代。世間の風当たりも強い中、ジョンは好奇心の赴くままに突き進んでいきます。
また、ジョンが騒動を起こす度に「あいつがまたこんなバカをやった」と批判本を出す事が生きがいのジェシー・フットやジョンが作った数々の珍しい標本を「弟のモノは俺のモノ」とばかりに片っ端から奪っていく兄・ウィリアムの存在も、この本を面白くする最高のエッセンス。
自己犠牲の精神で人を救った聖人のような医者ではなく、好奇心旺盛で自由に生きた変人が医学を何年も進歩させた痛快さに、なんだかこっちまで刺激されて「こうしてはいられない」とお尻がムズムズするようなハイな気持ちに。
ハードカバーな上にちょっと値段が高いですが、損はしませんので是非読んでみて下さい。
ところで、現代の医者がタイムスリップして過去に行く「JIN-仁」というドラマがありましたが、逆にジョンが現代にタイムスリップしたらどうなるか。
意外と医学にサッサとあきて、他の面白そうな分野に飛びつくかもなあ。
想像すると楽しくなります。
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12.02.28
夜会の季節がやってきました。
去年は入居したばかりで勝手が分からず、てんやわんやでしたが、今年は受け入れ態勢を万全にして、気合を入れてがんばります。
「紺屋2023 夜会2012」
紺屋2023の4周年、イタリアンバーkasaの3周年を記念して行う建物全体を使ったワインイベント。
いつもはオフィスやアトリエとして使われている部屋も、この1日だけすべてオープンになり、各部屋を巡りながら、ワインと食事と会話を楽しんでいただけます。
紺屋2023が1日限りのワインバーに変身する、大がかりなエイプリルフール。
今年の4月1日は日曜なので、お昼の15時から20時までの時間帯でお待ちしています。
日曜の昼下がり、ご家族、ご友人と、あるいはお一人でふらりと、いかがですか?
日時:4月1日(日)15:00 - 20:00
場所:紺屋2023全体
チケット:1,000円 / 3cup(ワインorカップフード)
★同時開催★
イベント1 / 福岡演劇フェスティバル2012前夜祭(仮)
◎場所 : konya-gallery 企画 : アートマネジメントセンター福岡(AMCF)
◎クロストーク
15:30~ 菜月チョビ(劇団鹿殺し)×松野尾亮(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)
17:30~ 石橋美砂(九州日仏学館)×スウェイン佳子(NPO法人コデックス)
イベント2 / ORIGINAL SHOP「Oove」 場所 : konya-stay(#501)
イベント3 / 混浴温泉世界カフェVol.2 in 福岡 場所 : ART BASE 88(#306)
503号室プロジェでも映画に関する催し物を予定。
温かい食べ物を用意してお待ちしております。
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12.02.27
薬院駅裏にある人気店「福岡麺通団」の大名店が事務所のすぐそばにできました!
うどんに目がないめがねも早速ちびっこOとお昼ごはんに。
入り口で注文して、麺が茹で上がるまで待ちます。
麺を受け取ったら、上に乗せる具を選びます。
おにぎりと小鉢もありますよ~。
これが「めんたま」とごぼ天(でかっ!)
めんたいこと生卵とバターが絡まってうまい。洋風うどん。
こっちは「とりたま」とあじフライ
塩味の鳥あんが卵と混ぜるとマイルド。初めて体験する味~(ちびっこO)
こんなご近所にうどん屋ができるなんて嬉しい。
しばらく通いつめそうです。
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12.02.27
北九州芸術劇場プロデュース公演、柴幸男演出の「テトラポット」を観てきました。
演出家の柴幸男さんは劇団「ままごと」の主宰。
2010年に岸田國士戯曲賞を受賞した期待の劇作家です。
「わが星」で目が覚めるような体験をして以来、新作を楽しみにしてました。
舞台は海の底に沈んだ教室。
散乱する机と椅子、ポツンとおかれたオルガン。
開演までずっとザパーン、ザパーンと波が打ち寄せる音が聞こえています。
冒頭暗転した後、1人の男が出現。
「おーい、誰かー。誰か!誰か!」誰も現れない教室でおびえる男。
暗転するたびに、亡霊のように人が現れては消えていきます。
彼らは男の兄弟とその家族、母親、友人たちのようです。
なんの説明もなされないまま、打ち寄せては引いていく波のように、過去と現在が行ったり来たりを繰り返します。
そして登場人物が時折り奏でる「ボレロ」のメロディも頭の感覚を麻痺させていくようです。
彼らは男に何を伝えたいのか。
3.11を彷彿させる話でありながら、人類の今後のあり方も問題提起するような結末。
「生きろ」という前向きなメッセージも伝わってきます。
終演後、まだ海の底にいるようなボーッとした感覚が抜けませんでした。
"繰り返し"のリズムによって舞台に惹きこまれていく不思議な快感がくせになりそうです。
出演者はオーディションで選ばれた地元劇団の俳優陣が中心だそうですが、いい意味で全体としてまとまらない感じというか、各人の個性が際立つような演出が面白い。
嬉しい事に、柴さんが主宰する劇団「ままごと」の福岡公演があるそうです。
公演名:「あゆみ」TOUR2012
日時:4月19日(木)~20日(金)
場所:イムズホール
詳しくは「ままごと」公式HPへ→http://www.mamagoto.org/ayumi-2011.html
ぽんプラザではトークセッションが!
公演名:ゲキトーク 多田×柴×中屋敷 ~地域の劇作家を育成するリーディング・パネルトーク
日時:3月10日(土)16時~18時
場所:ぽんプラザホール
チェックチェック~♪♪