「解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯」ウェンディ・ムーア著、矢野真千子翻訳(河出書房新社)

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ジョン・ハンターは1728年イギリス生まれ。
後に「近代外科学の父」と呼ばれる偉人です。

最初は兄の解剖教室の助手をしていたジョン。
死体を手に入れる為に墓泥棒までしながら何千体も解剖する内に、生命の不思議に魅入られてしまいます。
やがて独立したジョンは、動物や人間の遺体を使って解剖を続けながら、実験的な手術を実践。

例えば、当時蔓延していた性病の治療法を見つける為、己の性器を実験台にして経過を観察。死に至る性病もあると知っている現代人からするとゾッとしますよね。

またある時は、金と引き換えに健康な人の歯を抜き、虫歯で歯が抜けた口元を気にする金持ちの歯ぐきに差し込んで糸で固定するという、今で言う入れ歯治療を実践。抜きたてが一番くっ付きやすいと、治療室の隣に歯を抜く人を待機させたというんだから驚きです。

自分の死体を狙うジョンを恐れるあまり、ノイローゼ気味になってしまう巨人症の男との攻防戦は、まるで漫画。「どっちが勝つか賭けようぜ」なんて言ってる町の人たちの様子まで出てきて、死体を狙われてる人には申し訳ないけど、あまりに荒唐無稽で笑わずにいれません。

うーむ...アンビリバボー。

天才とバカは紙一重とはこのことですかね。
完全に常軌を逸した頭のおかしいおじさんです。

「...だって、やってみたかったんだもん」ですんだら警察は要りません。

しかし、ほとんどの医者が「瀉血」(静脈を切って血を出す)を最高の治療法と信じていた時代。世間の風当たりも強い中、ジョンは好奇心の赴くままに突き進んでいきます。

また、ジョンが騒動を起こす度に「あいつがまたこんなバカをやった」と批判本を出す事が生きがいのジェシー・フットやジョンが作った数々の珍しい標本を「弟のモノは俺のモノ」とばかりに片っ端から奪っていく兄・ウィリアムの存在も、この本を面白くする最高のエッセンス。

自己犠牲の精神で人を救った聖人のような医者ではなく、好奇心旺盛で自由に生きた変人が医学を何年も進歩させた痛快さに、なんだかこっちまで刺激されて「こうしてはいられない」とお尻がムズムズするようなハイな気持ちに。

ハードカバーな上にちょっと値段が高いですが、損はしませんので是非読んでみて下さい。

ところで、現代の医者がタイムスリップして過去に行く「JIN-仁」というドラマがありましたが、逆にジョンが現代にタイムスリップしたらどうなるか。
意外と医学にサッサとあきて、他の面白そうな分野に飛びつくかもなあ。
想像すると楽しくなります。

讃岐うどん大使 大名麺通団開店!

薬院駅裏にある人気店「福岡麺通団」の大名店が事務所のすぐそばにできました!
うどんに目がないめがねも早速ちびっこOとお昼ごはんに。

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入り口で注文して、麺が茹で上がるまで待ちます。
麺を受け取ったら、上に乗せる具を選びます。

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おにぎりと小鉢もありますよ~。
これが「めんたま」とごぼ天(でかっ!)

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めんたいこと生卵とバターが絡まってうまい。洋風うどん。
こっちは「とりたま」とあじフライ

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塩味の鳥あんが卵と混ぜるとマイルド。初めて体験する味~(ちびっこO)

こんなご近所にうどん屋ができるなんて嬉しい。
しばらく通いつめそうです。

大名麺通団HP http://www.facebook.com/DaimyoMentsudan

北九州芸術劇場プロデュース公演:柴幸男演出「テトラポット」

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北九州芸術劇場プロデュース公演、柴幸男演出の「テトラポット」を観てきました。

演出家の柴幸男さんは劇団「ままごと」の主宰。
2010年に岸田國士戯曲賞を受賞した期待の劇作家です。

「わが星」で目が覚めるような体験をして以来、新作を楽しみにしてました。

舞台は海の底に沈んだ教室。
散乱する机と椅子、ポツンとおかれたオルガン。
開演までずっとザパーン、ザパーンと波が打ち寄せる音が聞こえています。

冒頭暗転した後、1人の男が出現。
「おーい、誰かー。誰か!誰か!」誰も現れない教室でおびえる男。

暗転するたびに、亡霊のように人が現れては消えていきます。
彼らは男の兄弟とその家族、母親、友人たちのようです。

なんの説明もなされないまま、打ち寄せては引いていく波のように、過去と現在が行ったり来たりを繰り返します。
そして登場人物が時折り奏でる「ボレロ」のメロディも頭の感覚を麻痺させていくようです。

彼らは男に何を伝えたいのか。

3.11を彷彿させる話でありながら、人類の今後のあり方も問題提起するような結末。
「生きろ」という前向きなメッセージも伝わってきます。

終演後、まだ海の底にいるようなボーッとした感覚が抜けませんでした。
"繰り返し"のリズムによって舞台に惹きこまれていく不思議な快感がくせになりそうです。

出演者はオーディションで選ばれた地元劇団の俳優陣が中心だそうですが、いい意味で全体としてまとまらない感じというか、各人の個性が際立つような演出が面白い。

嬉しい事に、柴さんが主宰する劇団「ままごと」の福岡公演があるそうです。

公演名:「あゆみ」TOUR2012
日時:4月19日(木)~20日(金)
場所:イムズホール

詳しくは「ままごと」公式HPへ→http://www.mamagoto.org/ayumi-2011.html

ぽんプラザではトークセッションが!

公演名:ゲキトーク 多田×柴×中屋敷 ~地域の劇作家を育成するリーディング・パネルトーク
日時:3月10日(土)16時~18時
場所:ぽんプラザホール

チェックチェック~♪♪

『Hubble 3D-ハッブル宇宙望遠鏡』

漫画「宇宙兄弟」を読んで以来、宇宙が気になります。

新聞で宇宙ネタを探し、星出さんのインタビュー記事を読み漁り、JAXAのPodcastを聞きながら夜空を眺めてみたり。

わー怖い!こうして改めて書くと、うざいアラサーです。

そんなめがねにもってこいの映画が公開されました。
『Hubble 3D-ハッブル宇宙望遠鏡』です。

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スペースシャトル・アトランティスに搭載されていたIMAX 3Dカメラで撮影した宇宙の姿と、約20年に渡ってハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された映像によるドキュメンタリー。

...って、なんだか分かったような事を書きましたが、「ハッブル」は名前しか聞いたことないし、「はやぶさ」も最近まで興味がなかった"にわか"ファン。
こんな「宇宙のロマンが分かっているかどうか怪しいもんだ」という私レベルにも、爆発したばかりの惑星の虹色の蝶のような美しさ、銀河がポコポコ誕生している驚きの映像...その神秘の数々は無言の説得力があります。

映画というよりもプラネタリウムで流れる映像の長い版といった感じなので、いい感じに癒されて一瞬眠くなったりもしますが、さすがIMAX。
ロケット発射の瞬間に一気に目が覚めました。
ブオオオッ~~~グオ~~~ズゴオオオオオオオオォオオオオオ~ッ!!!ロケット

椅子までガタガタ揺れるくらいのものすごい大音量と迫力。
思わず転げ落ちそうになって両方のてすりをガッシリ掴んじゃうくらいの臨場感です。

「宇宙兄弟」的には、巨大なプールで船外活動の訓練をする様子と、初めてのミッションで超はしゃいでる宇宙飛行士が"ミトンをはめた手で手術をするくらいの難しさ"というハッブルの修理を無事にやり遂げるかハラハラするシーンが萌えポイントでしょうか。

なんか映画じゃなくて漫画の紹介みたいになっちゃいましたが、お近くのIMAXシアターで是非体験してみてください。

ティーンに勧めたい洋画スター

マイキーに勧めたい映画のその後の報告が遅れてました。
実はあの後方向性が変わって、マイキーを泣かせる映画をセレクトする事に。
DVD借りて見てもらっては感想を聞いていたんですが、いまだ泣かす事ができないという体たらく。

...皆さん、絶対泣けるテッパン映画は何ですか...(ずーん)
今は『おばあちゃんの家』で勝負をかけてるところです。

そんなメールのやり取りの中、マイキーが衝撃の発言をしてきました。
なんと、あの「リバー・フェニックス」を知らなかったそうです。

え~~~!!!!!!(驚愕)
10歳の差ってそんなにギャップが生まれるの!?

学生時代リバーに心酔していた私には「オードリー・ヘップバーン?知らないよ?」って言われるくらいの驚き。

めがねは洋画黄金期のお尻の方にちょこっと乗っかってた世代。
ジャニーズやAKB48、K-POPアイドルに熱狂する現代のティーンたちと同じくらい、『ロードショー』と『スクリーン』で取り上げられる洋画スターに心を躍らせたものです。

トム・クルーズ、ジョニー・デップ、ブラッド・ピット...当時人気があった映画スターの中でもリバー・フェニックスの人気と言ったらもう!

金髪、碧眼、どこか陰のある寂しげな表情。
少女漫画から抜け出してきたような美しい少年です。

彼が亡くなったニュースはあまりに衝撃的で、しばらく立ち直れませんでした。
逆に、死んだ事で伝説になったとも言えます。

今は太って眉間とあごが割れてしまったレオナルド・ディカプリオも、デビュー当時はポストリバーなんて言われてたこともありました(当時は「どこが!」って激怒してたけど、あの頃のレオ様は本当に綺麗でしたね。時の流れは残酷です...)

現在、空前の邦画ブーム。
ブラッド・ピットとジョニー・デップでお客さんが来ていた時代も終わり、洋画を見る判断基準が「大作感」という時代じゃないでしょうか。

リバーなんて最大のヒット作は『スタンド・バイ・ミー』と『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(冒頭だけだけど)くらいですよ。
リバーを見たくていろんなB級映画を(おい)見ましたが、そういう"大好きな役者を見たいがためにマイナーな映画にも手を広げて見る楽しさ"みたいなものが復活してくれればいいなと思います。

そこでめがねが今のティーンに勧めたい若手がこの子。
『ヒューゴの不思議な発明』のエイサ・バターフィールド、15歳です。

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このチラシじゃ分からないんで、予告でチェックしてください。

父を亡くし、駅の時計塔に隠れ住む少年。
ひとりぼっちの彼の唯一の友人は、時計職人だった父が遺した壊れた"機械人形"です。
「人形を動かしたい、そうすればひとりじゃない」
人形が父親から自分へのメッセージを運んでくれると信じて、必死に父のノートを見ながら修理に没頭する日々。
やがて<ハート型の鍵>を持った少女とその育て親ジョルジュに出会い、少年の未来は大きく変わっていくのですが...

マーティン・スコセッシのファンタジーって...どんなの!?
と見る前は全然想像つきませんでしたが、映画愛にあふれたとても美しい作品でした。
タイトルから想像するような子供向けの作品ではないので、是非大人にも見てもらいたいです。

エイサ君は憂いを帯びた表情と強い意志を感じさせるアイスブルーの瞳が魅力的。
短パンから出た足がヒョロヒョロっと細く長くて、大人になる一歩手前といった感じ。
育ちの良さを感じさせる少年です。
...きっといい男に育つに違いない。グフフフフ。

こういう熟れ頃の少年にファンがついて、彼の出演作を追いかけてくれるといいなと思います。