神よ、何ゆえ我を見捨てたもうや

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「きれいなものから死んでいく。

 汚いものは生命力強いから」


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エリ・エリ・レマ・サバクタニ

2006年公開

青山真治 監督

浅野忠信

宮崎あおい



(昨今の浅野忠信は"人生謳歌"感がはばしい)


するの?しないの?2



「一目惚れは単に体つきや顔が自分の好みだってことにすぎない。

でも恋は、一目見た瞬間に落ちるんじゃなくて、知ることだ。

やっと出逢えた相手だと言うことを」

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運命の相手が同性の高校生だったらどうします?

わたしは興奮します。




主人公・インウが徴兵に出発する日、恋人のテヒは交通事故に遭います。

「少し送れるかもしれないけど、必ずに行くから待っていて」

テヒの言葉通り、一晩中待ち続けたインウでしたがついに現れず。

旅立つインウ。

残念ながらテヒは亡くなってしまったんですね。。


兵役が終わり、高校教師として赴任したインウ。

自己紹介のあと、「先生の初恋教えてよー!」とせがまれ

「ある雨の日のことだった。一目で恋に落ちた・・・」

インウとのなれそめを話しだすと、ある一人の男子生徒が手をあげます。

そして上記の台詞を言うんですねー。


ドキリとするインウ。

以来、ヒョンビン(男子生徒)の言動が気になります。

そのうち「あれ?テヒですか、あなたは?

ニュージーランドに行きたいと言っていたテヒですか?」

と思うようになります。

ヒョンビンもシンパシーのようなものを感じていて、

そんなふたりのことですから、学校中に噂が広がっていきます。


妻とも別れ、学校にも居られなくなったインウ。

ヒョンビンの手をとり、その地を離れ・・・・。




冒頭の出会いのシーンは、わたしの韓国のイメージに

ピタリ、です。笑






今度は女に生まれ変わるわ。

俺も女だったらどうするんだ?

それでも愛しちゃうかも。

人生の絶壁を飛び降りたとしても、

それは終わりではないとあなたは言いました。    

再び出会って、愛します。

愛するためではなく。愛さずにはいられない。

あなたを永遠に愛します。




最後のシーンは美しいです。

今は亡きイ・ウンジュ。わたしと同じ年らしい。


バンジージャンプする

イ・ビョンホン

イ・ウンジュ

ヨ・ヒョンス

監督キム・デスン

2005年公開


(しない派。どき)


するの?しないの?

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スミンは地方の孤児院出身。

大学に行くため昼は工場で働き、夜は運転代行のアルバイトをしていた。

ある日、運転代行で呼び出されたスミンは裕福な青年ジェミンと出会う。


なんとなく惹かれ合うふたり。

ジェミンは「お金部屋だったわー」と言って

スミンを部屋に誘います。

そこはやんわりと断るスミン。

その日はそれで事なきをえます。


翌日も工場に出勤するスミン。

そこでジェミンとまさかの再会。

ジェミンは工場を経営する会社の副社長だったんです。

不当解雇されたとご立腹なスミンの仲間。

しかしスミンはジェミンの粋な計らいで(?)解雇されず。

ぷぅ〜となったスミンは工場をやめてしまいます。

「なんでなんでなんで~?」となるジェミン。

はい、坊ちゃん。スミンも若いのだ。


その後アルバイトを転々とするも長続きしないスミン。

都会で生活するにはお金が必要。

先輩の紹介でゲイバーで男娼として働くことに。

するとまたしてもジェミンと再会してしまうんです。

ジェミンを拒絶し続けるスミン。

スミンを追いかけまくるジェミン。

スミン逃げる、ジェミン追う。

好きな人をお金で買うのは空しいだけ?

わたしならどうでしょう。

多分、買いますね≡⊂(^-^)⊃$



ジェミンはソウルの街をスミン探して徘徊。

スミンが他の客の相手をしているところをみつけます。

扉の隙間から光る眼差し。恐怖としか言いようがありません。

(よく女は怖いというけど、男の嫉妬や足の引っ張り合いの

ほうがよっぽど怖いわ!)

なんだかんだあって、結局ふたりはいい感じになるんです。

白い光に包まれて、いちゃこらしながら目覚めのコソコソ話。

え~わたしにも教えてよぅ^∀^☆



あ~よかったわ。はい、しあわせしあわせ!

と、思うのも束の間。

ジェミンは跡継ぎなんです。

許嫁がいるんです!(ひぇー!)

韓国って徴兵制があるせいか同性愛者に厳しいみたいです。

「他に好きなひとがいるから結婚したくない」という

ジェミンの人権は丸無視。yeah.

ウエディングドレスを母・嫁・ジェミンで見に行くも

上の空。そんなジェミンに母はキツく言います。

何度も言います。嫁にも殴られます。

「あ~もう逃げられないわ。まじ辛ぇわー」

自分の人生を呪うジェミン。

スミンに冷たくあたるようになるんです。

し、しどい!

ほんと、男って勝手!!!

あんなに追いかけてきたのに、

愛のままに我侭に気持ちを押付けてきたのに

手のひら返しがまじ鬼の所行だわ。

鬼畜の極みだわ。(何があった)


悲しむスミン。

やりきれないスミン。

どうするスミン?

どうスミン?





※ここからはネタばれになるので注意


仲間にそそのかされ

ジェミンを埋める事に。


埋めるんです、山中に。



キャー!キャー!どうなるの?

どうなっちゃうの!埋めちゃ駄目よ!

気持ちは分かるけど!

わたしも埋めたいやついるけど!

鑑賞時のわたしは相当うるさかったと思います。

(もちろん独り言☆)


命からがら、車で道路脇に突っ込むジェミンが

最後に手を伸ばしたのが良かった。

ひたすら良かった。




スミンが孤児院時代の相方(この言い方であってるのか)

と川に遊びに行く描写があるんです。

もう、それが美しくて美しくて。

白い光に包まれて(2回目)はしゃぐ性少年2名。

川+ブリーフ+行水。

はい、合掌。

まじ神感謝です。



潮風になびく包帯とか

なんか韓国独特の描写もあります~。



韓国で初めて同性愛者であることをカミングアウトした

イソン・ヒイル監督によって同性愛が正面から描かれた作品。

(wiki参照)





後悔なんてしない

イ・ハン

イ・ヨンフン

監督イソン・ヒル

2007年公開 韓国



(する派。どき)


ソフィア・コッポラ



 

 

ジョニー・マルコは『スターの男』であり、『父親』でもある。

どこに行ってもモテてしまうし、女性関係がつきまとう。

 

"男性は出産をしないから、父親になる自覚は生まれにくい"

そんな話を聞いた事がある。


 

夜中に一緒にアイスを食べる、一緒にゲームをする、一緒に泳ぐ

子どもみたい、友達みたいな父親が娘の逃げ場となる。


親と「一緒に」居たいという11歳の欲は至極まっとうだ。

我慢を覚えて大人になっていく少女の姿は痛々しくも逞しい。



 

娘をキャンプに送った後、愛車のフェラーリを走らせる。

何も無い一本道で、ついに車を停めて歩き出す。

表情は穏やかだ。彼はきっと何かを得たのだと、分かる。

 

 

 

映像も美しく、間合いの取り方も良い。

感情の起伏がこちら側にも分かり易い。

第67回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞受賞作。

レビューを見ても賞賛する書き込みが多い。

正直、私は何がそこまで評価されているのか分からなかった。

 

しかし、時間が経つごとに積雪の様に心に残り続け

雪解けの様に広がっていく。

 


 

賞は『ゴットファーザー』を父に持つ彼女の

バックグラウンドごと評価されているのではないかと思う。

 

でも、それでいい。

映画は人生だから。 

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『SOMEWHERE』

監督 ソフィア・コッポラ

主演 スティーヴン・ドーフ

98分

2010年公開

 



(どき)


 

知っているか、知らないか。




--トニー滝谷の本当の名前は

 本当にトニー滝谷だった



 

 

絵を描く事がずっと好きだった

だからずっと絵を描いていた

 

気付いた時には独りだったし、

これからもそうだと思っていた

 

 

 

 

ある日突然、出会った美しい人

「なんていうか・・・、服を着るために生まれてきたような人なんだ」

 


彩られていく日常。

『生活甲斐』のようなものを、知る。

ただの一日に、彼女が居る。

孤独という雨が止んだ。

もう一度孤独になったらどうしよう。

全く新しい不安は、これまでの「独り」とは

違う形で胸を刺した。

弱く、甘く、不安定に。

 

 

 



 

 

「ちょっと・・・買い過ぎじゃないか?」

 

 

彼女は押さえられなかった。

着なくてはいけない、という強迫観念があった。

私が着なくては。いや、買ってはいけない。・・・では、誰が着るの?

『買ってはいけないのに!!』

心がおかしくなりそうだった。

 

 

 

 

 

彼女の居なくなった家はとても黒く澱んでいて、

床上5センチくらいしか酸素がないような息苦しさ、

「独り」よりも一人を感じさせた。

この世界で、一人、生きている孤独。

 

 

 

 

スタウィルの似ている女性を雇った。

「一週間分の服を選んで帰ってくれ」

服だけの、彼女のすべての部屋で女は選ぶ。

 


 


--しばらくするとトニー滝谷が様子を見にやってきて

「どうして泣いているのか」と彼女に尋ねた

 

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こんな気持ち知らない方が良かったか?

いいや、知りたかった。ずっと知りたかったんだ。


 

 

 



今でも愛しい、いつまでも愛しい最期の人


 

トニー滝谷

2005年 市川準監督

イッセー尾形 宮沢りえ

ナレーション 西島秀俊

音楽 坂本龍一

原作 村上春樹(1990年文藝春秋)

 


(どき)